紙の本
読後感良い?
2023/12/25 16:05
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投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る
蒼子が受けてきた事象を読んだら、嫌な気持ちになっちゃったよ。
必死なのは本人以外では、お母さんとバナミさんだけじゃん。
他の人達は一体何をやってるわけ?
のほほんと暮らしてるだけ?
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氷室冴子青春文学賞大賞受賞作の表題作があまりに良すぎて、かつとてもさらっとした終わり方だったので書き下ろしの方の「アイムアハッピー・フォーエバー」を読むのを少し躊躇いました。でもそっちもすごく良かった。両作ともに氷室冴子よりも氷室冴子でした(語彙力)。
日本の中学で英語を習ったなら誰でも必ず通るあれがタイトルと関連しているのも良かったな。なんならそっちが正しいのではとも思いました。
オススメです。
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中三の夏、蒼子の母が家に連れてきたのは余命僅かのバナミさんだった。
あの時の夏を鮮やかに切り取った物語。だからその外側のものが不意に垣間見えた時に、どきりとさせられる。
少女が少女であらんとするためにもがき進む、正にど真ん中の少女小説。
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Amazonの紹介より
「さらわれてきちゃった」。中3の夏、蒼子の家に突然やってきたのは、余命わずかのバナミさん――。第4回氷室冴子青春文学賞大賞を受賞した傑作青春小説。書き下ろし長篇も収録。
中三の夏休み、蒼子の母が元同僚で余命わずかのバナミさんをさらってきた。なんでうち。なんで今。腹を立てる蒼子だったが、ひょんなことから一緒に受験勉強に励むようになり――受賞作「私が鳥のときは」
英語の授業は気づまりだし、部活は基礎練ばかり。「社会」というもののハードさに気づきはじめた、中一のバナミと友人たち。夏休み、お屋敷に暮らす老婦人・英子さんと出会って――書き下ろし長篇「アイムアハッピー・フォーエバー」
少女と元少女たちに訪れた、奇跡のような夏の物語。
軽やかに瑞々しく、世界をあざやかに変える、傑作青春小説、誕生!
第4回氷室冴子青春文学賞・大賞作。
最初はウザい存在と思っていたバナミさん。知れば知るほど、愛おしい存在であり、誰かのために頑張る姿は、何か勇気をもらったように感じました。
「家族」のなかに他人が棲みつくという蒼子のみならず、普通に考えたら、嫌に決まっていると思います。
ましてや、テレビを占領したりと他人の家でもお構いなしな行動にバナミさんの印象は悪くなる一方でした。
紐解いてみると、余命わずかやバナミさんの家族、特に息子との関係などが明らかになっていき、バナミの生き様が凄まじかったです。読んでいるうちに愛おしくなってきました。
とはいっても、蒼子にとってみれば、ウザい存在。心の中で閉じこもっていたモヤモヤ感が、段々と発散していくのですが、背景に青春の風を感じつつ、心の変化がとても表現されていました。蒼子はずっとイライラしているのに、バナミの破天荒ぶりに押されるという何とも言えないアンバランスさが印象的で、バナミの存在が気になって仕方ありませんでした。
後になってわかるバナミと息子との関係にスカッと感があって、不覚にも感動してしまいました。息子と蒼子との過去やそれに対抗するバナミの構図が印象的で、清々しかったです。
そして二作目は、そのバナミの学生時代が描かれています。
運動部での先輩に対する葛藤を描いたり、自分達で成し遂げようと奔走したりとバナミの人生の一部分しか垣間見ていませんが、元気さが溢れていました。
大人のバナミのような元気たっぷり感とまではいきませんが、積極的に行動している姿は、楽しそうでもあり、爽やかさもありました。
ただ単に青春を謳歌しているわけではなく、二作品ともちょっとした謎めいた要素も入っています。
二作目では、英子さんの手紙がちょっとしたミステリーになっています。それを解こうとするバナミ率いる学生達。意外な繋がりがあって、こちらも感動してしまいました。
どちらも意外な展開であり、苦いながらも瑞々しい青春の1ページを垣間見た作品でした。
人は見かけによらず。「優しさ」が詰まっていました。
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第4回氷室冴子青春文学賞大賞受賞作の表題作と「アイムアハッピー・フォーエバー」の二篇収録。
青春小説と呼ぶに相応しい、きらめきを感じる作品だった。
物語は中3の蒼子の視点で描かれる。
蒼子の家に突如同居する事になったのは、母の元同僚で余命わずかのバナミさん。
バナミには家族がいるのに一体何故?
脳内でいくつもの疑問符が浮かび上がる中、蒼子の感情の揺れに共感しながら読み進めた。
視点を変え見えて来たのはいじめや虐待の背景。
家族の枠を超えた絆に胸が一杯になった。
中1時代のバナミを描いた書き下ろし作品も瑞々しい感性が光る。
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スピンオフのほうになりますが、こういう中学生がいい意味でみんなで企むのが、一番小説読んでいて心地いい。
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2篇収録。
たしかに受験生の家に急にバナミさんが来たら戸惑うし、は?ってなるわなー。それは正解。
虐待やいじめなども背景にあり、思ってたより重めな話でした。
2篇目はバナミさんの中学一年生の頃のお話。こちらはザ青春って感じのお話でした。
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二話を通して話そのものは青春小説と呼ばれるジャンルなのだろうけれども何とも物哀しい思いに捉われてしまう。
鳥になった彼女はこんなに生き生きとした青春時代を過ごしていたのだ。
長さでは無く質なのですね。
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2024-025
バナミさんの命を賭した生き様に感動した。最初は変な人だなと思ってだけど、残りの命を必死に生きてる姿には胸を打たれた。
アイムアハッピーフォーエバーの方もなかなか面白い。
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第4回氷室冴子青春文学賞大賞の表題作とアイアムアハッピー・フォーエバーの2編。
表題作は350ページ弱の一冊の3分の1程で残りが2編目というかなりの変則構成。
家に帰ると「さらってきちゃった」という穏やかでない母の言葉と共にあっけらかんと居を構えるバナミの姿が。
母のパート先の元同僚で病により余命宣告されている身だという。
夫も息子もいるのになぜうちで世話を!?
主人公蒼子(そうこ)の憤りもよそに、無神経とも言えるバナミ(とその病身の世話)が日常に溶け込んでくる。
蒼子は受験生だが、学校でイジメに遭い塾通いのみで高校受験を目指す。
塾でできた親友ヒナちゃんとの関係が救いとなっているが、そのヒナちゃんは家庭内暴力の悩みを抱えている。
とあるきっかけから、2人の受験生とバナミの距離が縮まったことから、高校には行けず、中学すら中途半端だったというバナミの希望を掬い、3人での受験勉強生活が始まる。
その過程、英語のifの用法を巡る場面に心震える。
if I were a bird, I could fly freely in the sky
もし、私が鳥だったら空を自由に飛べるのに。
仮定法過去ってやつですね。
そうではないことが分かっている中で示す願望。
でも文法的な解釈はさておき、
if it rains, I hold an umbrella
雨が降ったときは、傘を差します。
の「とき」のようにifを扱ったっていいじゃないかと。
私が鳥のときは、空を自由に飛びます。
前半の負の感情渦巻く不安定さ、中盤に感じる希望、終盤で訪れるそれでもの苦味、さすが氷室冴子青春文学賞大賞と感ずる一編でした。
一転、「アイアムアハッピー・フォーエバー」はバナミの青春時代(中1)の話。
理不尽な上下関係はびこる中学の部活を跳ね除ける、若くしなやかな友情の力を感じる爽快物語。
ミステリ読みの自分からすると、いろいろと伏線かと思っていたのがあれ?みたいな肩透かしのようなエピソードも多々あるのだけれど、「まともに練習したい!」と東奔西走する純粋なティーンズ達の姿は、読んでいるだけで力を貰える。
あー、部活したい!!
さて、この2話目と1話目の間の空白の時間。
バナミは中3で妊娠、出産し、「結構人気者だと思っていたけど、子どもが出来た途端に皆離れていった」と語っていた。
そのミッシングリンク的な物語も作者の頭の中にはありそうな気がするけれど、その話はエンディングが難しいか。。。
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中三の夏休み、母が「さらってきちゃった」となんでもないように言ったその先に「さらわれてきちゃった」とあっけらかんとしてバナミさんは家にいた。
母と同じパート先だったバナミさんは余命宣告を受け、母と同じ和室で寝て過ごすという…。
受験生なのに…と蒼子は言ったが、母は何も変わらないよと。
そのうちに蒼子は学校で虐めにあって不登校で塾だけ通っていたという事実や塾で唯一話す友達のヒナちゃんは家庭内暴力をうけていることがわかるのだが、誰にも言えないのか周りも気づかないのか…
バナミさんにも夫と息子がいるのに蒼子の家に来た理由が、蒼子が息子と同じクラスだということで全てを知ってのことだったとは…。
蒼子のためなのか…
息子を改心させたかったのか…
自分の育てかたが間違ってたというバナミさんは、しっかりとした母の姿をしていたのではと思った。
この「私が鳥のときは」のバナミさんが中学1年生のときの物語が、2編目の「アイムアハッピー・フォーエバー」である。
こちらはテニス部に入ったバナミが、その活動に問題があるのでは…と部活動に参加せず近くにテニスコートがある家を見つけて借りてみることから始まる青春物語である。
読みながらこちらの方が長い…
バナミの部活以外の恋愛もしくは高校中退までの糸口になる話がわかるかなと思ったが…そこまではなかった。
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氷室冴子青春文学賞大賞の「私が鳥のときは」と書き下ろしの「アイアムハッピー・フォーエバー」の2編。
どちらも主人公は中学生。最初のは、夏休み、受験生なのに母の職場のバナミが家に居候してきて苛立っていたけれど、嫌だと思っていたバナミの事情や魅力に触れるうちに嫌だと思っていた部分を受け入れられるようになり、一緒にいる時間に充実感を覚えるようになる。
2編目は、バナミが中1の頃のお話。部活の上下関係や内容に納得できないけれど流れに逆らうのは、、、ともやもやしている。でも練習場所を提供してくれた婦人との交流を堺に、部活とは別に自由に練習するグループを友達と作ったり、疎遠になっていた幼馴染とまた縁ができたり、自分の名前を肯定的に受け取れたり。最後は自分達で起こした奇跡的瞬間に立ち会うことで、人生に期待感を持てるようになっておわり。
どちらも、主人公の気持ちの変化にわぞとらしさがなく自然な感じなのがよかった。アイアムハッピーの方がより青春ぽくて明るくて好き。
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読み進めていくうちにバナミさんが、好きになっていく。
最初は、「図々しくて無神経な、、、。」ってイライラしてたのにwww
「《私が鳥のときは、私は自由に空を飛びます》」
なんて、バナミさんらしい。
と思ったのはアタシだけではないはずよね?
☆私が鳥のときは
☆アイムアハッピー・フォーエバー
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とてもいい作品。「私が鳥のときは」は特に秀逸。バナミの人生を亡くなった後に追うのは野暮だし、心配になったけど、美しいところだけ描かれてホッとする。
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【私が鳥のときは】
理不尽にも、中学3年の語り手蒼子の生活に割り込んできたバナミさん、
しかもいろいろ我慢させられて、いろんな用事に使われて、「なんで私が⁉︎」って、怒り、うんうん、わかる!なんなんこの人、怒っていいよ、当然だよ!!
なのに、一緒に暮らすうちに、バナミさんだけでなく、塾の友達ヒナちゃんも含めて、お互いのいろんな思いが交わり、縒り合わさっていく。
もし私が鳥ならば、と、もし雨なら、の違いがしっくりこないバナミさんと受験勉強をする2人。
フィクションだからこそというところもあるけど、こういうふうにできればお付き合いは避けて通りたいと思っていた相手とも、時間と思いを重ねることで、産み出されてくる何かが、確かにあるかもね、、、、とも思う。
こうして少女と元少女が奇跡の物語を紡ぐように、そういうわけわかんない繋がりを受け入れながら過ごすことも、(少女と)元少女たちにとって救いのひとつになるのかもしれない⁈、のかな?、って。