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- カテゴリ:一般
- 発売日:2023/10/20
- 出版社: 春秋社
- サイズ:19cm/242,9p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-393-44425-2
読割 50
紙の本
科学をうたう センス・オブ・ワンダーを求めて
著者 松村 由利子 (著)
短歌を詠むということは、世界を言葉で切り取ること。三十一文字という小さな器に注がれた広大な世界−。遺伝子から宇宙まで、日常を支える科学技術を詠んだ短歌約300首をとおして...
科学をうたう センス・オブ・ワンダーを求めて
科学をうたう
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商品説明
短歌を詠むということは、世界を言葉で切り取ること。三十一文字という小さな器に注がれた広大な世界−。遺伝子から宇宙まで、日常を支える科学技術を詠んだ短歌約300首をとおして、科学と文学の接点をみつめる。【「TRC MARC」の商品解説】
福岡伸一氏(『生物と無生物のあいだ』著者)大推薦!
「詩ごころと 科学のココロ ともにあり 福岡ハカセ おすすめの本」
短歌を詠むということは、世界を言葉で切り取ること――
三十一文字という小さな器に注がれた広大な世界。短歌をとおして見つめる科学と文学の接点。
・・・日常に潜む不思議や瞬間的な美をとらえ、感動する心――それは「センス・オブ・ワンダー」と言い換えてもよいかもしれない。
遺伝子から宇宙まで、ありとあらゆるテーマで詠まれた歌の数々は、「いま」という瞬間を鮮やかに切り取り、地球環境や人間の歴史について深く考えさせる。(「はじめに」より)【商品解説】
目次
- はじめに
- 第1章 パンデミック
- 第2章 暮らしの中で
- 第3章 生きものの世界
- 第4章 美しい地球
- 第5章 広大な宇宙
- 第6章 私たちと科学
- おわりに
- 作者別・歌の索引、出典
著者紹介
松村 由利子
- 略歴
- 〈松村由利子〉福岡県生まれ。朝日新聞、毎日新聞記者を経て、フリーランス。「31文字のなかの科学」で科学ジャーナリスト賞、「光のアラベスク」で若山牧水賞受賞。
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紙の本
見つめて開く
2023/12/02 22:41
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うみひこ: - この投稿者のレビュー一覧を見る
短歌と科学。この文系と理系のような対立すると思われているものが、それぞれ同時に、この世界をいかに見つめ、探求し、すくい上げてきたかが如実に感じられる本だ。
著者は歌人たちの歌を引用しつつ、エッセイの中で普通の読者が知らない科学的な言葉を解説してくれる。歌人の中には科学者や医学やそれを学んでいる人たちもいて、初めて聞く言葉も多いのだ。そして、その言葉を日常としている人の思いや、その言葉を知った喜びや驚きを教えてくれる。そして、気がつけば著者に手を引かれて、人間の赤ちゃんから始まって、いろいろな生物が生きている世界とその生物が見ているだろう世界を教えてもらったり、広大な宇宙を知る科学の営みを教えられたりしていくのだ。
考えてみれば、少し前まで、インフルエンザのワクチン注射の前ぐらいにしか気にしなかったA型とかB型とかのウィルスの変異というものが、コロナのおかげでこの三年あまりに日常的な関心事となってしまった。私たちが生き抜くために知らざるを得なかった科学的な知識や身につけた予防医学を思うと、私たちの日常がいかに科学に守られているのかと愕然とする。
さらに、東日本大震災と福島原子力発電所の事故を思うとき、知っていたのになぜ防げなかったのかという強い反省は、あのとき著者だけではなく日本中に吹き荒れたと思うのだが、現在の無反省な再稼働への様相をみると、暗い気持ちになる。そして、ここにある歌人たちがあのとき歌った忸怩たる思いを、これからも何度でも口にしていかなくてはならないだろうと思うのだ。
それにしても短歌というのは実に不思議なものだ。そんな日常を短歌が歌い上げるとき、悲しみや絶望に満ちたものになるかと思いきや、少しユーモアが漂うのはなぜだろう。言葉が歌い上げると、この世界が少し開かれていくのを感じてしまう。
ここには短歌約三百首が納められているのだが、あまり現代短歌になじみのない私でも、このエッセイを読むうちに、いつの間にかお気に入りの歌人を見つけることができて、そのことも実に楽しかった。最後に、暗澹とした思いから見事に新しい扉を開けて見せてくれた一首を記載して、この歌を教えてくれた著者に感謝したいと思う。
「マスクしてコロナウィルスに抗へば不要不急のものらかがやく」
驚きを持って世界の美しさを見つめていこうよと、このエッセイは誘いかけてくれている。