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紙の本
ドグラ・マグラの世界 (講談社文芸文庫)
著者 鶴見 俊輔 (著)
重層的夢野久作論集。埋もれた怪奇幻想探偵小説が「再発見」される契機となる作品論「ドグラ・マグラの世界」と、夢野久作の実像を描き、その作品世界の価値を評価した「夢野久作迷宮...
ドグラ・マグラの世界 (講談社文芸文庫)
ドグラ・マグラの世界/夢野久作 迷宮の住人
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商品説明
重層的夢野久作論集。埋もれた怪奇幻想探偵小説が「再発見」される契機となる作品論「ドグラ・マグラの世界」と、夢野久作の実像を描き、その作品世界の価値を評価した「夢野久作迷宮の住人」を収録する。【「TRC MARC」の商品解説】
巻頭に置かれるのは、夢野久作が読書界から顧みられることのほとんどなかった1962年に鶴見俊輔が雑誌「思想の科学」に発表した「ドグラ・マグラの世界」である。この評論により、日本の戦後期には忘れられた存在となっていた夢野久作は「再発見」される。
「ドグラ・マグラの世界」の発表がきっかけとなり、鶴見と夢野久作の長男である杉山龍丸の交流が生ずる。やがて杉山龍丸の著書や杉山が編纂した夢野久作の日記などを資料としてじゅうぶんに咀嚼したうえで、鶴見は夢野久作論『夢野久作 迷宮の住人』を執筆する。
夢野久作について少年期の鶴見俊輔が出会った夢野久作の『犬神博士』の紹介から、『夢野久作 迷宮の住人』の第一部は始まる。そして『氷の涯』という日本軍のシベリア出兵をモチーフにした作品、さらに異色の長篇推理小説『ドグラ・マグラ』へ。そして、これらの作品が昭和初期の読者にどのように受けとめられたのかと問いが生まれる。
第二部では作家夢野久作の本名である杉山泰道の側からその生涯が辿られる。泰道の伝記的事実の多くは、さらにその長男杉山龍丸の著書によるが、伝記的事実と時代背景を結びつけて読み解くことで、より作品世界に深くわけ入ることができる。
第三部では、夢野作品受容の変遷が綴られる。江戸川乱歩ほか同時代の探偵作家たちにはやはり異形のものとして解されている。しかし年少の読者だった福永武彦や中井英夫たちには強烈な印象が残っていた。敗戦後、占領期に夢野久作が思いおこされることはなかったが、1960年を境にふたたび関心が寄せられるようになり、作品研究・分析が進む。そこで見えてきたものは、中央から遠い地方で、土地の日常言語を駆使して人間の根本問題に迫る、きわめて独創的な作家の姿であった。
本書により、夢野久作というきわめて独自性に満ちた作家に多角的に光が当てられ、読者にとってもそのイメージが鮮明となることが期待される。
【商品解説】
目次
- 目次:
- ドグラ・マグラの世界
- 夢野久作 迷宮の住人
- はじめに
- 第一部 夢野久作の世界
- 第二部 杉山泰道の生涯
- 第三部 作品の活動
- あとがき
- 夢野久作年譜
著者紹介
鶴見 俊輔
- 略歴
- 鶴見俊輔(1922・6・25~2015・7・20) 哲学者。東京生まれ。15歳で渡米しハーバード大学で学ぶ。在米中にアナキスト容疑で逮捕されたが、留置所で論文を書き上げ卒業。交換船で帰国。戦後、丸山眞男らと「思想の科学」を創刊。京都大学、東京工業大学、同志社大学で教鞭を執る。70年、警官隊導入に反対して同志社大学教授を辞任。著書に『鶴見俊輔集』全12巻・続全5巻(筑摩書房)、『鶴見俊輔座談』全10巻(晶文社)ほか多数。稀代の読書家として文芸評論や書評も多く執筆。82年に『戦時期日本の精神史』で大佛次郎賞、90年に『夢野久作 迷宮の住人』で日本推理作家協会賞、94年に朝日賞、2007年に『鶴見俊輔書評集成』全3巻で毎日書評賞をそれぞれ受賞した。講談社文芸文庫の既刊として、埴谷文学と『死霊』論を集大成した『埴谷雄高』がある。
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