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友情よここで終われ (創元推理文庫)
有名編集者である女性が失踪した。自宅には血の跡があり、2階には鎖でつながれた老人がいた。ベストセラー作家や出版社の社長など、怪しい人物がふえていき…。出版業界をめぐる泥沼...
友情よここで終われ (創元推理文庫)
友情よここで終われ
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商品説明
有名編集者である女性が失踪した。自宅には血の跡があり、2階には鎖でつながれた老人がいた。ベストセラー作家や出版社の社長など、怪しい人物がふえていき…。出版業界をめぐる泥沼の事件に、刑事オリヴァー&ピアが挑む。【「TRC MARC」の商品解説】
世界累計1100万部突破!
刑事オリヴァー&ピア・シリーズ最新作!
出版業界を舞台に描かれる人間の闇
ドイツ発、大人気警察小説!
著名な編集者であるハイケが失踪した。彼女の家のドアには血の痕があり、二階には鎖でつながれた老人がいた。捜査が始まり、老人は彼女が介護していた父親で、血痕はハイケのものと判明する。殺人の動機を持つ者として、彼女に作品の剽窃(ひようせつ)を暴かれたベストセラー作家が浮かぶが、出版社の社長をはじめ、怪しい人物が増えていく。刑事オリヴァーとピアが出版業界をめぐる事件に挑む! 解説=吉野仁【商品解説】
著者紹介
ネレ・ノイハウス
- 略歴
- ネレ・ノイハウス
1967年、ドイツ、ミュンスター生まれ。夫が経営するソーセージ工場で働きながら、2005年に初の長篇ミステリUnter Haienを自費出版した。〈刑事オリヴァー&ピア〉シリーズ第一作『悪女は自殺しない』と次作『死体は笑みを招く』も自費出版し、地元の書店で絶大な人気を博す。その後、評判を聞きつけた老舗出版社ウルシュタイン社からの出版が決定し、2009年正式にデビューした。同シリーズにはほかに、『深い疵(きず)』『白雪姫には死んでもらう』『穢(けが)れた風』『悪しき狼』『生者と死者に告ぐ』『森の中に埋めた』『母の日に死んだ』がある。
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シリーズよ、これで終わるな!
2024/04/28 14:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kapa - この投稿者のレビュー一覧を見る
オリヴァー&ピア・シリーズの最新第10作。今回のテーマは題名にある「友情」。かつては親しかった者たちが、様々な行き違いで不仲になり、最後には殺意を抱くほど憎しみあう関係になることは、ミステリ・サスペンスの世界ではよくある設定。著者はその親しかった仲間たちを、自身も関係の深い出版業界関係者として登場させ、業界事情や、多分著者が経験したと思われる内幕エピソードを交えながら物語を展開していく。「森の中に」は42年前の迷宮事件、前作「母の日」は30年前の連続殺人事件、そして本作は30~35年前の二つの自殺、と過去の事件と現代の殺人事件の時空を超えたつながり、登場人物と容疑者の多さ、短い章立てによる場面転換、オリヴァー&ピアや登場人物の私生活・人生の細やかな描写など、ノイハウス流の一気に読ませる仕掛けは相変わらず冴えている。前作クライマックスは「ハリウッド映画」風の手に汗握るアクションであったが、今回は仏警察との国際捜査。事件の発端となったリゾート地でのヘリとカーチェイス。しかもオリヴァー&ピアを彷彿とさせる仏警察レジーヌ&イヴのコンビが活躍し、息をつかせぬ展開。
第10作という節目か、また、出版業界を舞台だからか、作者の遊び心が満載だ。前作ではピアの前夫で法医学研究所長ヘニングが書いたミステリ・デビュー作が出版されるとなっていたが、今回事件の舞台となったヴィンターシャイト社が出版するのだ。ヘニングの文芸エージェント、彼に代わって出版社と契約交渉・著作権管理を行う代理人のユリア、今回の事件解決のキーとなる人物で活躍する、がシリーズ原書を出版しているウルシュタイン社に務めたことがある。ノイハウスのデビュー作2冊は自費出版であったが、3冊目からがウルシュタイン社の目に留まっている。ヘニングのデビュー作でベストセラーとなった『悪女は自殺しない』、そして二冊目は『死体は笑みを招く』、これってこのシリーズと同じタイトル?そしてはヘニング・ミステリーのオリヴァー&ピアは、フォン・ブーフヴァルト&イナ・グレーフェンカンプで登場、また、オリヴァーは、現実世界のTVドラマ出演俳優のティム・ベルクマンにそっくりと言われるなど、物語、物語内小説、そして現実の三つが重なり合う面白さ。ヘニングはこれからも現実に出版されたシリーズと同じタイトル名で執筆・出版していくのか、そうならば世界累計1100万部だ。
本作は日本では2024年2月出版で、前作2021年10月から約2年半のノイハウス・ロスがあったわけだ。ところが、この間に仏ミステリ『アストリッドとラファエル文書係の事件簿』が2022年7月から2024年3月まで全4シーズンが放送された。繊細な頭脳派のアストリッドと大胆な行動派のラファエル、オリヴァー&ピアとは違った正反対の女性バディだが、何よりヘニングと同じ法医学者フルニエが、重要な役回りで味のある演技が印象に残り、ロスを埋め合わせてくれた。
いつもそうだが、読み終わって、些細なことだがあれが事件を解くカギだったのか、ということがある。その一つが翻訳書カバーにはないが独原書の表紙に描かれた黒猫。事件の背景の予想外の拡がりを解く重要なカギであったことがわかり、それで表紙に登場したのか、と納得。
最初の事件は「悪女」で2005年、今回は2018年、物語中ピアは50歳を超え読書眼鏡をかけながら、また、腰痛に悩まされながらの捜査。ドイツでは年金受給は早ければ60歳から、そうする後10年は現役なので、毎年事件を解決するとした場合、さらに10作のシリーズが続くだろう(年上オリヴァーは65歳まで頑張る前提だが)。