『レインボウ』　クロノス・クァルテット、アリム＆ファルガーナ・ガスモフ、ホマユン・サキ（＋ＤＶＤ）【CD】

クロノス・クァルテットとガスモフ親子が合体
さらにアフガンの弦楽器ルバーブもフィーチャー！

現代音楽を中心にこれまで多方面の音楽家と共演を重ねてきたアメリカの弦楽四重奏団、クロノス・クァルテットが、アゼルバイジャン独自の古典音楽「ムガーム」を現在に伝えるアリム・ガスモフ＆ファルガーナ・ガスモフ親子と、アフガニスタンの伝統弦楽器ルバーブの演奏家ホマユン・サキを加えた異色のコラボレイションを聴かせるという意欲作です。
　クロノス・クァルテットは1973年にヴァイオリン奏者デイヴィッド・ハリントンを中心に結成された弦楽四重奏のグループで、現在サンフランシスコを拠点に活動しています。彼らはこれまでに様々なジャンルの音楽家とコラボを重ねてきていて、ロック系ではデイヴィッド・ボウイやビョーク、またワールド系ではジプシー・バンドのタラフ・ドゥ・ハイドゥークスなどと共演を果たしています。そんな彼らに、強力な歌声を持つガスモフ親子とそのバンドが加わっただけでも凄いのですが、さらにアフガニスタンを代表するルバーブ奏者ホマユン・サキと、その彼と活動を共にしている打楽器奏者らをフィーチャーし、より一層強力な中央アジア色を加えてくれました。
　冒頭は楽器隊だけで28分にも及ぶホマユン作曲のインストゥルメンタル曲を披露。そして２曲めからガスモフ親子が登場し、アゼルバイジャンで親しまれている曲などを全部で５曲演奏します。これだけ大勢の音楽家が参加しているだけに、伴奏はこれまでのガスモフ作品と比べても格段に厚みがあり、さらに西洋音楽と中央アジア音楽との両方からのアプローチが混ざりあって、無国籍な風味がより強く感じられるサウンドに仕上がっています。そしてガスモフ親子も普段と勝手の違う伴奏にややテンションが高まっているのか、いつも以上に張り切ってその強靱なコブシを聴かせてくれています。
　そんな様子はＤＶＤでも確認することができます。ＤＶＤではリハーサルの様子や公演の模様、さらに民俗楽器の説明などが収録されています。フルカラー・ブックレット（44ページ）。
　これぞワールド・ミュージック！　と言いたいくらい、凄まじいまでの異文化衝突が感じられる作品。近年希にみる意欲作と言っていいかもしれません。（metacompany）

【収録情報】
CD
1. Rangin Kaman
2. Kohlen Atim
3. Mehriban Olaq
4. Getme, Getme
5. Leyla
6. Qashlarin Kamandir

　クロノス・クァルテット
　アリム・ガスモフ＆ファルガーナ・ガスモフ（ヴォーカル）
　ホマユン・サキ（ルバーブ）
　アンサンブル

　録音方式：デジタル（ライヴ）

DVD (NTSC)
・リハーサル風景、インタビューを含むドキュメンタリー（約25分）