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やはり、円太郎のエピソードが印象深いですね。
とは言え、格闘小説、やはり格闘パートもそれぞれに良くて。
中村−佐村の試合の記述もすばらしいし、保科の試合も良いけれど、やっぱり横山の試合が一番良かったかな。
主人公は保科なんだろうけど、個人的に全体的に印象に残るのは横山の試合だったなぁ。
作者も技の華麗さよりも単純な力比べの方が好きなんじゃないかな。
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沖縄唐手の達人と講道館 四郎による、行き詰まる寝技と立ち技の死闘の先にあった、決まり手『それまで』。 同じく講道館四天王 横山と、中村半介の死闘は、さながら全日本プロレス四天王時代の、60分フルタイム激戦の様。その決着は『あずかり』。凄か結末。そして終盤にちょっぴり登場する前田光世。 続編への期待は煽られるが… 「地の巻」は、いつ着手されるのですか夢枕先生!
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二度目の「警視庁武術試合」で西郷四郎は、唐手の使い手と死闘を繰り広げる。死闘を経て、苦悩の末に四郎が下した決断とはー。
4巻まで一気に読まされました。
これほどまでに熱い格闘・時代小説いわゆる剣豪小説があったかと思うくらい、格闘場面が見事に表現されていました。
まさに命を賭けた格闘をここまで表現できた小説はないのではないでしょうか。
嘉納流柔術が現代に柔道という形で世界に展開していることを思うと、この明治という時代に闘った男たちの熱い思いが連綿と続いているのだと思うととても感慨深いものがありました。
天の巻はこれで完結しましたが、あの心に残る結末から次の地の巻につながるということなので、今からとても楽しみです。
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私がフォローしてる〇〇さんの感想を見て読んでみたくなった作品。「神々の山嶺」以来、久しぶりの夢枕獏先生。
冒頭いきなり「まえがき」で著者が語る。
「いいなあ。
まっさらな状態でこれが読めるなんて。
あなたのことが。ぼくは本当にうらやましい。
作者が本気で読者に嫉妬しているのであります。
2008年9月12日
東京にて 夢枕 獏」
より始まる物語。
相当な入れ込み様です。
これに近い導入は何度か他の著者にて拝読した事がありますが、読む前にハードルが上がってしまい逆効果で残念な手法として記憶しています。
しかしながら流石夢枕獏先生。私の予想を良い意味でかるーく裏切ってくれました。
確かに面白い。
柔道が総合格闘技であり、柔道で1番強い者が、世界で1番強い者、という時代の物語。
写真や逸話でしか知らない凄い「漢達」がそれぞれに面白いエピソードを持って登場してきます。しかも皆豪傑である。そして紛れもなく実在の人物で、それがまた物語の奥深さや真実味を増す。
闘いのシーンも凄まじい。
競技としての「JUDO」しか知らない私自身、当時の「柔術」を見た事がなく、当て身がどの様なものか想像するしかなく、目潰しや金的有り、腕一本を折ったり靭帯断絶は当たり前、かつ試合時間も無制限となれば、試合なのか?殺し合いなのか?紙一重で、敢えて試合と呼ぶなら、試合内容は私の想像の域を超えて「決闘」と形容する以外の言葉も表現も持ち合わせていません。それを作中、著者は対決する二人の心の対話で見事に表現しています。
物語の後半での闘いのシーンは文字や文章が音符と化し行間から溢れる音楽にあわせて踊っているかの如く、流れるままに読んでいると、いつの間にか闘う者達の息遣いしか聞こえない世界に引き摺り込まれています。
この「天の章」で11年、次作の「地の章」で何年きることやら。早く続編が読みたい。著者があとがきで言ってる「絶筆」だけは勘弁してほしいものです。
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友人に薦められて読了。
中学生時代に空手バカ一代の大山倍達に憧れたのを思い出した。
それの嘉納治五郎版と言うべき書である。
講道館柔道が如何にして確立されていったかがその弟子たちの個性的と強さとともに描かれている。
今の柔道とは違い、当てという空手の突きもOKという試合もあった。
合気道の気もスゴイということをこの書を通じて知った。
姿三四郎のモデルになった人も嘉納治五郎の弟子だったことも知る。
それにしても戦いの描写が痛々しい。
格闘技とは痛いということがよくわかった。
あと、勝海舟は明治維新に多分野で活躍していたんだということがよくわかった。
嘉納治五郎を尊敬します。