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自閉症児を持った母親が書き記す記録。
まだ自閉症の存在が広く受け止められておらず、「なにかおかしい、どこか普通と違う」と親が感じていても専門家たる医師にすら判断がつかない時代の話。
過度に期待せず、絶望に足をとられず、人間に背を向けて孤城に閉じこもろうとする娘の城に手を変え品を変え挑み続ける母の努力に頭が下がる。
自閉症の動物学者の本「動物感覚」を読み直したくなった。
知能的には問題がない自閉症児が何を考え、感じながら生きているのかとても知りたい。
何が分かり、何が分かりづらいのか。どんな形で示されれば理解できるのか。
それを学んでいくことが、「普通」の人と動物、動物に近いメンタリティをもつ人とのコミュニケーションの架け橋になりえるのではないか、と思う。
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自閉症の少年の人物評伝。
同種の書にも書いたが、この種の評伝は余り参考にならないことが多い。それほど自閉症・発達障害というのが多様性をもつ疾病だからだ。
しかも、教育システムの全く異なる海外のそれは、療育という観点からも有用性は欠ける。
本書のような書は、努力により様々な能力を身に着けたという自閉症児の賛歌に満ちたものになることが多いが、そのような賛歌に止まっていては何の問題点も解決しないという現実も存在するのだ。
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自閉症児エリ−の記録 クララパーク 河出書房新社
母による娘の記録である
この著者は自らインテリだと自負しており
愛を計算尽くの情としてしかとらえられないようだ
無償の愛を理解していないし
社会的な評価を大事だと思っているし
とても素直に思いのまま赤裸々に書いているようだ
しかし事実は他者の目を気にして行動していることに
気も付いていないのだろう
云わゆる良妻賢母として100点を目指す母のようだ
とは言えエリーという自閉症児との関わりを
克明に記録していることで
読む者にとって助けになる本だといえる
又英国の福祉は成功と言えなかったと思っていたが
それは行政的な失敗であって
巷における市民感覚としては行政の窓口担当車を含めて
意識が高く柔軟に法と現状をすりあわせているようだと知った
政治を利権の舞台にしてしまったアメリカの医療制度や
心理療法や人間疎外の経済的支配による意識の低い選択が
いかに貧しく不安恐怖を抱えているかを知ることができる
義務と権利と責任を押し付け合うことで
負のブーメラン効果による自虐的な社会を
生み出していることを見出すことができる