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山本周五郎賞受賞作「五年の梅」でこの作者を知つた。
今囘讀んだ「霧の橋」は第7囘時代小説大賞受賞作品ださうだ。
讀んでみて納得。
妻の實家を嗣いで、武士を捨てて商人になつた主人公が、商賣敵の陰謀に對抗して商賣に工夫をこらす。
武士だつた過去を忘れて、商人になりきろうとする主人公だが、商賣敵の雇つた者どもに襲はれるに至つて、武士のこころが甦つてしまふ。
妻は夫が武士に戻つてしまふのを恐れて、夫婦の仲があやしくなつてゆく。
そして、父の死の原因となつた女が登場すると物語は一氣に佳境に入つてゆく。
ラストシーンは霧の橋の上。
詳細をここで書くつもりはないが、なかなかしつとりとした、こころに響くラストシーンであつた。
2003年10月26日讀了
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武家の次男坊だった主人公が、紅を扱う小物問屋の娘おいとと結婚し、商人として生きていく中で起こった二つの出来事がメイン。
武家の出としての父の敵討ちと、店の主として、大店の陰謀から自分の店、ひいては同業者の問屋を守ろうとする、ふたつの大きな伏線があって、それらが複雑に絡み合って、ドラマチックに描かれている。
勧善懲悪のベースがあるから、安心して読める。
第七回時代小説大賞受賞、と書かれても、それがどんな賞なのか知らないので「ふうん」という感じだけど、でも確かに面白いと思った。
主人公を始めとする登場人物が魅力的で、情景描写や時代考査、複雑な背景がきちんと丁寧に描かれていて、好感が持てる。
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なんか見覚えのある粗筋、と思ったら、数年前に年末の特別ドラマになってた話でした。終始漂う緊張感がたまらん!
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たった今、読み終わりました。
サスペンスじゃないのに、ドキドキした。ラストシーン。何か起こるんじゃないか、ドキドキ。たぶん、敢えて奥さんの心理描写をあまりしていない。だから、ラストシーンがどうなるのかが全く読めない。だから、サスペンスじゃないのに、最後何かどんでん返しが起こるんじゃないかとドキドキする。でも、奥さんの気持ちになって読んだ。心が通い合ってよかった。
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古本屋で偶然目に止まり買った本でしたが、これはいい!!
続きが読みたいです。新刊でもいいから買おう。
あまりにも感動したため、著者について調べてみたらこの作品、第7回時代小説大賞受賞作らしいですね(古本のためオビはついてなかったんですよ)。
この緊張感と哀愁感が好きです。
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友人と「江戸時代に生まれたら、職業は何につきたいか」という話になったことがある。
侍は堅苦しいし、下手したら切腹だし絶対に嫌だというのがお互い一致した意見。
私は「手代か通い番頭」希望だった。
が、本書を読んで商人も現代のサラリーマンと同様、何かと気苦労が絶えなかった様がうかがい知れた。
刀を捨て町人となった主人公。
婿として商家に入り、妻は賢く夫婦はうまくいている。
侍としての自分は忘れたつもりでいるが、妻や商人仲間はどこかで侍だった頃の主人公を意識している。
侍の出世競争も激しいが、商人の世界は輪をかけてしのぎを削った商売争い。
しかも酒を酌み交わして一見味方の様に振舞っておきながら、裏では足の引っ張り合い。
最後は希望がもてる終わり方なので、いいちゃいいんだけど、
駆け引きの苦手なわたしには到底無理っす、商人。
因みに友人が就きたい職業は「花魁」だそうな
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全1巻。
時代小説。
おお。
しみる。
あれね。
時代小説は歴史小説と違って
史実に引っ張られないから
現代小説みたいにいいと思える話を書けるのね。
元武士が町人になろうとしてなりきれずにもがく話。
その骨の上に経済サスペンスなのが肉付けしてる感じ。
最後はジーンとする。
やっぱり夜明けの使い方が上手い。
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武士って大変なんだなあ。でも、現代と相通じる悩みもあるのだなあ、と思った(書いている人が現代人だから当然だけれど)。
最後はいい感じ。
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もとは武士だった男が、紅屋の主人として生きる、人情あり、駆け引きありの物語。
この作者は、一本の物語を描きながら、その裏に表のストーリィに負けないくらいの設定を用意する、というのが手法なんでしょうか。
「喜知次」でもそうでしたが。
商人としての浮き沈みが主ですが、裏筋の方が気になるというか、きっと作者はそれを描くために主筋を描いているのでしょう。
夫婦の絆もあり、駆け引きの面白さもあり、かなり「読ませる」お話ですが、はらはらするような展開はちょっと苦手なので星4つ。
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父が薦めてきたので読むことに。
時代小説大賞受賞作。
と、いうわけで面白くないわけがない。
元武家の商人の江戸での生活を追った”新感覚”(だと思う)時代小説。
よく読後感が最高!
って小説ありますよね。
乙川さんのこの小説はまさにそうです。
LASTシーンがいいです。
あ~~~~!面白くてスッキリした!
と思いたい方はどうぞ♪
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藤沢周平のようなみずみずしさがある作風で、好感が持てる。武士上がりの町人という設定が秀逸だが、経済小説的側面と遊離している気がして、少々プロットがいびつな印象も。
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元武家である主人公は、父の仇を討ちその後商人に・・
ラストの橋の欄干での妻の心情がすばらしい。
寝間着に裸足、たたずまいが目にうかぶ。
山本周五郎に傾倒したと思われる文節に、親しみを覚える作品。
この先もずっと読み続けていきたい作家。
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乙川作品初期の傑作。テーマは”辛い過去との決別そして昇華”。武士を捨て、小さいながらも紅屋の主人になった惣兵衛。大店の陰謀と父の死の真相が愛する妻とのささやかな幸せに揺らぎを引き起こす。物語の背後に緊迫感を漂わせ、揺れ動く心の機微を繊細な言葉にて書き込む技は流石。ラストはヒタヒタと感動が押し寄せる~。
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武士を捨てて商人になった惣べえ。しかし、心の底から商人になりきれず、武士としての立ち居振る舞いや考え方が顔をだす。「銀2貫」が思い浮かんだ。武士は、仇討だなんだと大変だ。商人として目の前の幸せがふいになりそうで心配したよ。
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読後、いい時代小説を読んだと心地良い余韻に浸れる小説でした。
情景が目に浮かぶラストシーンは本当に素晴らしかったです。