紙の本
現代的意義を持つ警告と理想の書
2018/09/28 23:18
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:マー君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
現代社会の課題である気候変動や格差や貧困の問題は、国家を超えた世界市民の連携が必要な課題であり、そういう意味で本書は改めて見直されてよいと感じる。世界政府が全てを解決するというのは、あまりに楽観的ではあるが、その様な意識や理想を持った市民の存在が今後ますます重要性を増してくるように思われる。
最近のアメリカの自国優先やEUの混乱、ロシアや中国の領土的野心の兆候は、2回の世界大戦前の国家のエゴがむき出しであった時代に近付いているようにも感じ、人類は同じ過ちを繰り返すのではないかとやや悲観的になったウェルズの気持ちも理解できる気がする。
科学的な生命や人類の進化から語っていることに大きな意味があるように思え、それは人類は奇跡のような生命進化の産物であり、ひとつの人類であることを示しておりそれが世界政府や世界市民に通じていると感じる。ただし、注意点として、個々の内容はさすがに古く、最新の科学的知見を十分理解して読むことが必要である。
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世界史のおおまかな流れが分かる本はないかと探して、見つけた本がこの本。
世界史という物語の「あらすじ」を読む感覚で読めます。
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タイトル通り世界史を概観する本。新書だから薄いけど、中身は濃い。著者は言わずと知れたSFの祖。タイムマシンの著者。
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実際この本を読んでみようと思ったのは、世界史に関する理解を深めるためだった。とりわけ作者が日本人でない事が、今まで読んできた世界史のテキストとは違った観点から見つめられるような気がして惹かれた。しかし、冒頭の解説によると、この書は思想的な物であるようで僕がこの本を手にした動機とはずれた感がある。なるほど読んでみると、確かに思想的ではある。しかし自分の世界史に理解を深めるという目的には特に問題はないと思う。いろんな思想に触れてみるのもいいことだと思う。それに、客観的な物を求めてそれに安心するよりは、いろいろな思想を自分の中で処理してみてもいいように感じる。
内容に関しては、上巻は人類の起源から十字軍の頃までだった。高校の時の世界史のテキストのような内容だけど、前述の通り思想的(作者の見方が述べられている)ので、教科書ほど退屈な物ではなかった。やはりというか、ローマに関することが大量に述べられていて、中国に関しては述べられていることは少ない。日本に関しては全くない。日本史との比較がないのは僕のような日本人には理解しにくかった面もある。けど本当に世界史を眺めているという感じは味わえた。ところで、ローマというのはヨーロッパ、ひいては世界に大きな影響を与えた帝国だったのだなぁと言うことを改めて感じた。
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H・G・ウェルズは「タイムマシン」「透明人間」等の作品で世界的に有名なイギリスのジャーナリスト。
(最近曾孫の映画監督が「タイムマシン」を映画化した)
「SF(サイエンス フィクション)」というジャンルを確立した神です。
この作品は戦前に一度別の名前で売り出され、「いまさらなにを、古臭い」と思われがちですが、ユーモアが効いてかなり面白いです。
また、当時「白人の歴史まんせー」な時代に、他の地域の歴史をきちんとリスペクトして取り扱ってます。戦前日本でもヒットしたのもうなずけます。
アショーカ王の章なぞは「お前世話になったのか?」ぐらいの勢いで書かれています。
また、歴史上の人物に対してかなり辛らつな皮肉を飛ばしているのも笑えます。
歴史上の事件・出来事に解説をつけ、年表やちょっとした小話をつけたよくあるタイプの「世界史がわかる本」とはまったく違い、「科学ジャーナリストが世界史について思索した本」という感じです。
「歴史の本」というよりも「思想書」といったほうが良いかもしれません。高校生のときにこれを呼んでいたら…ヽ(`Д´)ノ ウワァァン!! ...
しかし、「地球の始まり」から話を始めているのが…いくら科学ジャーナリストとはいえ…
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歴史の最初というのはそれほどしっかり書く意味があるのかどうか。ヘーゲル的切り捨ての意味が少しわかる。
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古本屋で上下巻共に2冊で販売していた。折しもマクニールの『世界史』文庫版がベストセラーになっていたのでこれはと思い手に取り以後1年近く本棚に眠っていた本である。
読み進めてみればなかなか面白く著者の思想面が前面に出てくるために退屈しない。他宗教に比べキリスト教を賛美しているところは無宗教の日本人として違和感を感じる。図が少ないのも欠点である。
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良書です.SF作家が著しており,教科書とは違った臨場感,物語性を感じます.話の関係性や要点,主張が明記してあり,頭に入りやすいです.似たような出来事を対比したり,人間性を考察したりなど,深く考えさせられる点も多いです.また,宗教や人種といった大きな括りや流れを本筋としており,歴史を俯瞰的に眺めることができます.地球の誕生から生命の誕生までのお話も割と多く含まれており,人類が誕生したのがいかに最近で,いかに見事な文明を築きあげてきたのかということを思い知らされます.
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「ユダヤ人が聖書を作ったというよりも、むしろ聖書がユダヤ人を作ったのである。」(93頁)
フェニキア人の消滅は、聖書を持ったユダヤ人に同化したためとする分析(同頁)は、どの程度正確なのだろう。
紀元前6世紀は、ユダヤ教、ギリシャ哲学、ブッダ、孔子、老子が同時期に活躍した人類の青春期。
中国とヨーロッパは、どちらも、異郷の遊牧民がしばしば政治的統一を達成して、定住文明地方を征服・支配したという共通点がある(127頁)。
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古い本だけど良書。
ちゃんとウェルズの歴史に対する見方が示されているのが面白い。特に、キリスト教も含めて時に辛辣に、大胆に解説する点は好感触。ただ、民族名なんかの述語が多過ぎて、ある程度世界史を知っていてもよく分からなくなる部分もある。下巻にも期待。
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文字通り、世界史の概要をかなり端折ってまとめたもの。
あの「H・G・ウェルズ」の手によるものなので期待したが、物語として読むならサピエンス全史がよいし、年表として読むなら情報不足。歴史上の重大なトピックについて外観を眺めるように理解するには良いかも。
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20180830-9月中に読了
昭和14年に『世界文化史概観』の名で翻訳されたH.G.ウェルズによる歴史書のリバイバル。世界史を通史で読むのは初めてなので、いろいろと新鮮。以下、気になった単元の抜粋。
(22ユダヤの僧侶と予言者)「そして、彼らはすべて、聖書によって、そして聖書を読むことによって団結していた。エルサレムは最初から彼らの名目上の首都に過ぎなかった。彼らの真の首都は、この書中の書たる聖書だったのである」←じゃあ今のパレスチナ問題って一体
(33ローマ帝国の成長)「ローマ民族はほとんど気づかないで巨大な行政的実験を行ったわけである。…ある意味ではこの実験はまだ終わっていない。今日のヨーロッパやアメリカは、最初にローマ民族が直面した世界政治のやりかたの謎を今なお解こうと試みている。」EU統合とか
(43マホメットと回教)「(イスラム教について)神の支配と父性とを単純・熱烈に信仰するものであり、それには神学的錯綜性がない。…生贄をつかさどる僧侶や寺院が全くない」
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2011/4/29 My本棚のこれまでに登録していなかった本を登録。
古い本、こだわりの本がある。
TT用も
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世界の始まりから、法皇権勢時代まで。
全貌がぼんやりと分かった。
人名や民族名や地名がたくさん出てくる箇所はついていけない。
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ハーバート・ジョージ・ウェルズの『世界史概観(上)』
H・G・ウェルズは、ヴェルヌと双璧をなすSF小説の大家である。
SF小説というものをつくった人だとも言われる。
この本は、この出版当時1866年(英語版)で白人至上主義の気が強い中、欧米のみではなく中東から中国圏に至るまでの歴史を意図して書かれてある稀有な書と言える。
欧米のみの過去の時事を知っても真の意味で世界の歴史を理解したことにはならない。
歴史とは、さまざまな国と国が影響を及ぼし合っている最中で生まれるドラマであって、決して一国や一地域の中で独立して作られるものではないからだ。
そもそもの歴史という言葉の真の意味を、そう言った全体性を持たせたものとして使いたいところだ。
ウェルズのこの世界通史に見られる特徴としてはまさにそのところであり、世界をなるだけ俯瞰してみようとするところが見て取れる。
また、ウェルズの文章には出来るだけ歴史の中で、できるだけ事実のみを浮き彫りにし、
そこに対してウェルズ自身の解釈をあてていくというようスタンスが感じられ、子気味良い。
歴史は知れば知るほど面白くなる。