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ファンタジー。久々に面白かった。ただ、子供が読むのに、ちょっと過激というか、強烈な箇所もいくつかあるように思ったけれど。
主人公のマロリーは、読んでいて痛々しいほどの逆境の中にいて、けれど決してくじけない、本当の意味で強いヒロインで、かっこいい。
魔法使いのアルビカンは、時々自分勝手のように感じて苛立たしいときもあるけど、魔法使いとして、理を知る存在として強調されているのだろう。
公明正大な公証人のラワンや、気の弱い、けれど正直者のパースルさんなど、彼女の味方は少ない。登場人物のほとんどが、マロリーから何か奪い取ろうとする大人たち。
貪欲で、自分の欲にだけ忠実なパースル奥さんや、森番、狡猾で残虐なスクラップナーなど、おいおいちょっとやりすぎじゃないのと思えるくらいだけれど。
なんていうか、宮崎駿が好きそうなストーリーだと思った。というか、キャラクターとして模倣している面もあるんじゃないかと思えるくらい。これでアルビカンを見た目若くして、エピソードを少しずついじれば、宮崎駿の映画そのものというか、もっと言えば見てみたいです(笑)
まあ、アルビカンを若くしてしまったら、あの「ザ・魔法使い」というべき存在感を台無しにしてしまう恐れもあるんだけれども。
私はこれをイギリスのファンタジーだと思ってたのですが、作者はアメリカ人で、ブリデイン物語シリーズという、ウェールズ(イギリス)を舞台とした有名な作品を残している人でした。