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最初は外交戦術に関する本であるかと思ったが、これは「外交官とはどうあるべきか」を述べた本である。
欧州はフランク王国の時代から、いまのEUに至るまで紆余曲折と一口で片付けることができないほど、権謀術数渦巻く歴史をたどってきている。そのような中、鍵を握るのは「外交官(交渉家)」であるが、どのように振舞うべきか、どのような作法を取るべきか、どのような人が向いているか、などが赤裸々に語られている。
各国が相互に大使を置くようになったのは、てっきりヴェストファーレン条約が結ばれた後なのかと思っていたが、16世紀ごろからあったようである。また外交官の不逮捕についても、書かれており、興味深く読むことができた。
また著者この本の訳注は、この本で触れられている史実に関係する歴史の概ねの概略を示している。ここも資料的価値が高い。
何はともあれ、いまの外交官はこの本を一度読むべきであると思う次第である。
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17世紀に宗教的な教義とは距離を保ち、国家理性に基づく外交を展開したリシュリュー枢機卿。彼から多大な影響を受けた外交官カリエールが、外交を体系的に記した書物がこの「外交談判法」である。
外交官の心構えや適性、規則などが記されており、現代風に言えば外交官の「How to 本」といったところ。のちに外交理論を精緻化させたH.ニコルソンやアーネスト・サトウにも影響を与えた外交論の古典である。
純粋に外交論の古典として読むも良し、雅な宮廷外交の世界に浸るも良し、はたまたビジネスの交渉術と捉えて読むのも良し...要は読む人次第でしょう。
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外交官とはどうあるべきか。に関して書かれた本。
個人的には外交官とは国益のために時には汚い手段を使うものであると考えていたが、この本では正反対のことが書かれていた。
外交官とは国益のために、相手国に対して信頼醸成に努めるものであり、そこに嘘や軍事を背景とした脅迫はしてはならない。と主張されていた。これは現代でいうソフト・パワーを重視した対外政策である。
しかし、外交官に求められているものがあまりにも完璧過ぎてこのような人間は存在するのか、が問題である。