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限りなく透明に近いブルー みんなのレビュー
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紙の本
とけてしまいたくなった。
2003/12/03 23:22
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ジャンピン - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み進んでいくうちに襲いかかってくる閉塞感。
鼓膜がどこかにくっついて、心臓の音だけを強調させようとする。
僕はいつものように電車の中で本を読む。電車が線路とぶつかり合って奇声をあげる。本の中に陶酔して消えていく音。
死ぬまぎわ視界はスローモーションになる。壁にカタカタカタと8mmが僕の生涯のドキュメンタリーを照らし出す。主人公と僕はまるで違う人生なのにそんな気がした。
現在の僕が幽体離脱をして、過去の記憶の一部始終を冷静沈着に上から眺めているみたいだった。
僕は「帰りたい」と言ったリュウか龍だかいう小説の主人公に初めての共鳴を覚えた。
戦争が今もなお終わることなく続いている。
平和・和平・PEACE・MHP・FRED・PAIX・PAZ・PACE・PACO・VREDE・FRIEDEN世界に存在する「平和」という言葉を叫びたくなった。
小説は時空を越えて叫び続けている。
僕はこの小説の中にとけていきたくなった。
紙の本
今、退廃なんて言葉は死語だと思う。
2002/08/04 13:52
3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Aya - この投稿者のレビュー一覧を見る
「コインロッカー。・ベイビーズ」の後、この本を読んだ。さすがに文庫版が出ていた
から、小学生の小遣いでも買えて、ブック・カバーしてもらったので親バレしなかった。
昔、「ドラッグ・セックス・ロックンロール」と言う言葉があったが、今の私はその
状態に限りなく近い「リタリン・不倫SEX・ヴィジュアル系バンド」で生きている
から、この間読み返しても新鮮だったし、常時ヴァーチャルな世界にいる私が、久々に
リアルを感じた。
乱交してもいいじゃないか? 避妊と「世間」(=村上龍はこの言葉を徹底して排除
しようとしている。私も大いに賛成だが、やや認識が違う)が許容してるんだから。
今でもマンションの1室で営業してる乱交クラブを知っている、週末は若いカップルで
賑わうらしい、愛してるはずの女を他人に抱かせて楽しむのは、あくまでも個人の趣味
の範囲内である、と言う“事実”を認めないと、高度成長期とバブルで踊り疲れた日本
では希望無く奴隷の如く生きていくしかない。
ただ、10歳の子供にはドアーズはわからなかったが。
紙の本
清潔な退廃。
2002/06/17 18:51
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:凛珠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
24年も前の本だが、未だに色あせてはいない。汚濁や喧騒を書きながらも、どこか冷めて静まり返っている。そこが退廃でありながら清潔である。独りよがりな雰囲気も無い。表現もきめ細かく、流石は大物のデビュー作だけあると思う。現代でも全く通用する話だ。逆に現代でも、この作品の焼き直しのようでいて内容の薄い小説を、新しがって有難がる風潮はどうかと思う。
紙の本
空しく懐かしい鮮明さ
2001/01/20 22:11
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Achille - この投稿者のレビュー一覧を見る
簡単に言ってしまうと、クスリ打ってラリって乱交しまくって、現実との狭間でクラクラしてるってだけの話である。(タイトルから、都会の男女の気取ったラブストーリーを思い浮かべる人は相変わらず多いらしい。)
遊びまくって夜が明け、疲労感と空しさと心地よさの入り交じる妙な気分になった経験は誰にでもあると思う。本書を読んだ後の感覚はある意味それに近いが、村上龍ならではのハイビジョン的描写力が、幻想と現実との距離感を徹底的に引き離す。「幻想」の部分での気持ちよさと居心地の悪さ、「現実」の部分の清々しさと退屈さがリアルに目前に現れ、読み手もその狭間を往復することになる。
文庫版カバーには「きずな」という言葉が使われているが、私は必ずしもそれを感じなかった。本書での登場人物の大半は、「幻想」の中の1アイテムに過ぎないのではないだろうか。すべての出来事はあくまで1人の人間の意識の中で終始する。それが故に非日常的(若い頃は日常だったのかもしれないが)な空しさと懐かしさが、デジャブ的に読み手の脳に入り込んで来る。それが本書の魅力だと思う。
紙の本
Almost
2001/01/20 17:58
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投稿者:katokt - この投稿者のレビュー一覧を見る
読むと色が浮かんでくる小説が好きだ。別に題名に色がついているとか、本人がしたという装丁が印象的って話ではなく、とにかく記憶に刻み込まれる。朝帰りの空を見て、この題名をつぶやいたこともあったけなぁ。
こんな感想を持つのも珍しいかもしれないが、とにかく描写がよいと思う。それは熱く“ぐちゃぐちゃにたぎる”ストーリーを、冷たい手で急速に冷やしてくれるようでそのギャップがとにかく非常に気持ちよくさせてくれる。詳しくは