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全体を通して暗く灰色の雲が立ち込めているような雰囲気が漂う。忘れ川の向こうとこちら側は何を表しているのか?
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現代は「ガラス職人の子どもたち」。
魔女が登場するファンタジックな要素もありながら、
どこか暗い雰囲気が漂う、美しい童話です。
なんでも他人の願いを叶えてやることが好きな領主と、
そのせいで自分の願いをすべて奪われてしまった夫人。
どこか寓話のような2人のやりとりが印象に残っています。
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美しくも暗い世界の中で切なく動くガラス職人夫婦とふたりの子どもたち、そして魔女フラクサ、領主と領主夫人。幼い二人の兄弟の無事を願いつつ、深い人間描写も感じながら読みました。
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児童書だけど、大人の心の動きが気にかかる
ファンタジーの世界に行ってしまう子どもたちの話ではない
北欧の伝説なども背景にあって深いテーマがある物語
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マリア・グリーペの世界って、本当に不思議で、美しくて、初めて触れる世界というか、
これ児童書か?と思ってしまうのは、あまりにも北欧神話に馴染みがないからかしら。。
ガラス職人の夫は、芸術家肌で商才はない。ある日、たまたま高額でガラス器が売れ、倹しい妻に指輪を買ってやる。
そこから物語に影が落ち、不思議な世界に入ってゆく…
魔女のような機織りの占い師、怪しげな指輪売りの老人、巨人のような子守り、片目を亡くしたカラス…
涙のように美しいガラスの器のように、神秘的な世界でした。
マリア・グリーペ、もっと読みたいんだけど、再販された「夜のパパ」も絶版になり、もうどれも手に入らない…国際アンデルセン賞を受けてる作家だと言うのに。
どうか復刊してくださいー。
自分的メモ
P142 月の光とリンゴの花ふぶきにつつまれて、フラクサの姿はたちまち消えていった。
P208 環はきちんととじ、すばてはもとどおりになったのだ。
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スウェーデンの作家さんの児童ファンタジー。
全ての子どもにおすすめできるわけではないけれども、夜空の星のように、全体としては暗い中で非常に美しい光の感じられる作品。
仕事に打ち込んでばかりのガラス職人の夫と、孤独にさいなまれる妻。
貧しい夫婦の子どもたちはあまりかまってもらえず、寂しい思いをしていた。
村はずれの丘に住む知恵者の老女フラクサは、夫の側に子どもたちがいなくなってしまう未来を予言し、妻の側にもしも不幸が起こったときは彼女の指輪を差し出すよう告げる。
果たして子どもたちはさらわれた。
さらっていったのは、「忘れ川」の中州の「エンスケスタード(願いの町)」の館に住む領主夫妻。
領主は己を善人であると信じ、人に施すことに幸福を見出し、妻の願いを何でもかなえようとする。
一方の夫人は、何かを願った途端に夫によって叶えられてしまう状況に、かえって願いを奪われていた。
領主は夫人の慰めにと子どもたちをさらってきたが、ほどなくして館中のガラス製品が割られる怪事件が起きる。
領主から望むものを全て与えられてきた子どもたちだったが、それによってかえって喜びを失い、弟の方が隠れてガラスを片端から割っていったのだ。
困惑した領主はナナという子守りを雇うが、これが館の人間たちの不幸をさらに加速させる……
母親から指輪を託されたフラクサは、物語という織布の絡まった糸を解きほぐすため、館へと旅経つ。
フラクサの従える、物言うカラス・クローケが非常に印象的。
非常に賢いカラスであったが、知恵の泉をあまりにも深く覗いたことで「夜の目」を失ってしまった。
「昼の目」のみでものを見るクローケは、物事の明るい面、幸福な面しか見ることができない。
そんなクローケを信用しなくなったフラクサに、彼女の考えの深さを感じる。