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学生時代から本書の存在は知っていたが、読む機会、時間が無かった。就職して一年ほど経ち、偶然手に取る機会に恵まれた。作者が黒井千次ということもあり、文章は堅く読みづらいが、その実書かれていることは簡潔で、同調したり、疑問を抱いたりする。
特に引っ掛かった「「労働」が病んでいる時には、「遊び」もまた病んでいる」という一文には、「では、病んだ労働がその会社では通常であり、それらを強いられた時、それはつまり、病んだ人間を生み出すことになる」ということなのだろうか? 今の世の中はこういう現場があまりにも多い気がする。
本書が出版されたのは30年ほど前というのもあり、現在にも残る本質的なものを知り得た上で、自分が望んだ答えはどこにも無いことだけ、心残りだった。
優れた啓発書ではあるが、少々年期が経ち過ぎている。
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自分の働いていた時と同じ憤りとかが、全くその通りに書かれていた。
自分の中に仕事が入っていたかというと、入っていなかった。一部分になっていなかった、故に確かに上司には、こっちが改善を求めても諭されて終わった。そういう熱意的なものが見透かされていたと思う。
昔の時代の問題と、今の時代の問題とをうまく説明している。それ故に変わってきた概念。これからの時代もさらに変わる。
また概念が変わり問題が出た時、黒井千次さんの分析が、解決策の糸口になるかもしれない。
仕事について、職業について、とても細かく分析し、切り込んだ話。
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p31 ここにあるのは教科書や研究論文ではなくソロバンなのであり、高邁な理論ではなく実務なのだということをー。
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自動車メーカーに入社した小説家がどのように自己変容していくかを丹念に振り返った本。
単に仕事をこなすことから、生産物に自分の責任を感じるようになってきて仕事をしていると言えるようになってくる過程の描写が興味深かった。それは自己完結的なものではないにせよ、かといって制度的なものではなく、内発的・間主観的な過程として描かれる。
企業意識と職業意識が区別される。その企業に属している・その企業で働いているという感覚よりも、生産品やその受け取り手・共に仕事に従事する仲間をリアルだとみなす感覚においてこそ自己実現ができるだろうという話はなるほどと思う。
企業に属するということは確かに決められた労働時間内だけ拘束されることではあるのだが、個々人はその労働時間内に労働するため実質的には他の時間も活用せざるを得ない。また、会社員という身分は労働時間外も享受しているものである。
企業の外にいては自由ではない、しかし企業に入ったらもちろん不自由であり、単なる企業意識から職業意識へと突き抜ける必要があるという話。
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労働の本質について。
仕事と遊びの違いと共通点。
企業意識と職業意識の違い。などなど。
就職前や、就職中でも現状に漠然とした不安を抱いている人などにおすすめ。
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働いていない人が読んでも本書の全部を理解できないと思います。社会人10年位経験してようやく本書の全部を理解できると思います。
1.この本を一言で表すと?
働くことの本質を著者の実体験から考察した本
2.よかった点を3~5つ
・仕事そのものが自然の内に人と人とを結びつけているのに他なるまい。(p171)
→夜の残業の話はよく理解できる。達成感の共有が人同士を結ぶのだと思う。
・自分は国鉄職員であるからキップを切るのか、キップを切るから国鉄職員であるのか。(p51)
→この問いが生まれるのは理解できる。
・たとえ困難であろうとも、「会社員」は会社の中でなんとかして自分の職業を探すべく務めねばならない。(p121)
→自分の職業を持つという気持ちは常に持っていたい。
・会社を辞めた時の感慨には忘れがたいものがある。(中略)背後の樹が突然消え失せ、広い野原に一人で投げ出されたような気分が迫ってくる。(p154)
→自分も退職した時に同じような感覚を感じた。
・働くということは生きるということであり、生きるとは、結局、人間とはなにかを考え続けることに他ならない。(p180)
→人間とは何かは考え続けることは必要だが答えは出ないと思う。だから、働くことの意味の答えを出してからではなく、ひとまず「走り続ける」ことが重要ということだと理解した。
2.参考にならなかった所(つっこみ所)
・会社が求めているのは職場にいる時だけでの人間ではなく、二十四時間の企業人なのだから、と。(p149)
→副業が認められる現在では、この考え方はあまり受け入れられない気がする。
・
3.実践してみようとおもうこと
・仕事の中に遊びを見いだす
5.全体の感想・その他
・35年以上前の本だが、内容に古さは感じず、若手社員が感じるであろう疑問・不満を分かりやすく説明している。
・自分の経験と重なる部分が多く、考え方も賛同できる部分が多い。
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自分は何をしたいのか、何になりたいのか、どう生きたいのか、を仕事を通じて考えていくこと。業種や職種を規定することは、さほど重要でないのかも知れないと感じた。
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烏兎の庭 第一部 7.7.03
http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto01/yoko/kuroisenjiy.html