紙の本
名作といえども
2001/05/29 05:38
5人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:春都 - この投稿者のレビュー一覧を見る
すでにおおまかな筋を知っているという意味では、ポー『モルグ街の殺人』も同じだったが、そちらは既知の部分以外がすごく新鮮であり、また読んではじめて知るところが多く、とてもおもしろかった。
その点、『吸血鬼ドラキュラ』は、礎を築いた(確立した、もしくは広く知らしめた)部分、つまり「襲われた人間は手下になる」とか「聖なる物・ニンニクに弱い」とか「姿をコウモリや霧などに変化できる」など、現代の読者には言わずもがなである部分以外に、広がりが見られない。
すじを知っている作品を読むという行為が、骨に肉をつけていくような感覚だとすると、『モルグ街』はそれがしなやかな筋肉であったのに対し、『吸血鬼ドラキュラ』はほとんど脂身のぜい肉といったところ。
登場人物たちそれぞれの日記という形式をとっており、これは他の作品でも見られるものだが、ことこの作品に限って言えば、「回想」の安全性がネックになっているのではと思う。
リアルタイムで、つまり物語と同時に書いていくならば、記述者がこの先どうなるかといったことはわからない。しかし日記という回想では、すでに書いている時点で「書ける状態」にある、少なくとも生きていることが読者にまっ先に知られてしまう。特にホラーでは大切になるだろう。
主人公(語り手)はめったに死なないとわかっていても、ドキドキ感が違ってくるのではないか。この点をふまえて、ひねってある作品も他に見られるが、『吸血鬼ドラキュラ』の場合、工夫は見られなかった。
風化したとは言わない。ただ名作とはいえ、僕にはおもしろくなく、退屈で、冗長に感じられた作品というだけである。
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……私の持ってるもの(青ベタ一色)と表紙が違う……。「ドラキュラ紀元」と似たようなデザインになっていてびびりました(笑)
吸血鬼ものの原点中の原点。なのだけど、意外と読んだことがない、という人が多くて驚く一冊。
百年前の倫敦を舞台に、日記、あるいは書簡形式で吸血鬼の恐怖が綴られます。
古典ホラーと分類されがちですが、実は作中では催眠術、蝋管録音、速記術など、当時のハイテク技術がふんだんに盛り込まれています。
そう、ヘルシング教授は、民間伝承とハイテク技術を駆使して、悪しき吸血鬼に挑むのです…… と書くと、なにやら昨今のライトノベルと変わらなくなってしまいますが。
100年の時を越えて今に残っていることからも判るように、ここに書かれている恐怖は「本物」です。
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中世ヨーロッパの伝説から忽然としてよみがえった恐るべき吸血鬼の跳梁か? ヨーロッパの辺境トランシルヴァニアに、無気味な謎に包まれて住む城主ドラキュラ伯爵の秘密。昼は眠り、夜は目覚め、永遠の生命とともに人血を求めてさまよう呪われた吸血鬼の宿命。現代の恐怖と怪奇を描いて百万読者の心胆を寒からしめる、名作怪異譚!
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世にあるドラキュラ物語の原点。原点はこんなにもこんななんです。恋とドジ話に満ち溢れていると言ったら怒られるか。登場人物が全員何らかのドジを踏んでいる。ある意味全員人間ぽい。これを読んでしまったら他の吸血鬼ものなど読めはしない。ヴァンパイアハンターDなんてモロこれのパロディと思われる描写がばっつん出てて一冊めで読むのをやめた。映画のヘルシングもなんであのドジっチョ教授(好きだけど)があんなアグレッシブになってるのか不思議すぎて観たくもない。ブラム・ストーカーは最高の作品をものしたものだ、と実感。
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何を隠そう私は大のドラキュラ好きです。きっかけは自分でも謎なんですが、クリストファー・リーの古い映画もけっこう観たし、ヴァンパイアものと聞くと胸が躍ります。
訳が古臭く関係者の日記や手紙という断片的な文章がまとまっているという変わった手法をとっているので、好きものじゃないとなかなか読破する気になれない気がします。
ベラ・ルゴシ主演「ドラキュラ」の特典でこの小説の事を"三文小説"と言い切ってたのにはちょっとショックを受けましたが。頑張って読んだのに!(笑)
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こういう昔の本てたまに読むとすごく面白い。(これってミナ出てくるのであってるかな)何か真面目におっちょこちょいしてるあたりが良かったり。笑
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トランシルヴァニアの山中、星明りを封じた暗雲をいただいて黒々と聳える荒れ果てた城。その城の主ドラキュラ伯爵そこは、昼は眠り夜は目覚め、狼やコウモリに姿を変じ、人々の生き血を求めて闇を徘徊する吸血鬼であった。ヨーロッパの辺境から帝都ロンドンへ、不死者と人間の果てしのない闘いが始まろうとしている……。時代を越えて読み継がれる吸血鬼小説、最高最大の傑作!
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昔のホラーでしょ、と思って読み始めたが、面白い。おもしろくてどんどん読み進める。1970年頃の訳で、少々古めかしい日本語なのだが、物語の舞台が19世紀後半なのでかえっていい雰囲気を醸し出している。古い言い回しが逆に新鮮だったり、再発見したり。ところどころ妙な訳がされているけれど、そのへんは目をつむって読んでいる。
シャーロック・ホームズと同時代の、東ヨーロッパ、トランシルヴァニアへの旅行記のような文章から始まり、その後、舞台は英国へとうつる。著者や語り手の姿はなく、さまざまな人たちの手紙、日記、日誌などが時間軸に沿って並べられている。もちろん読み手は吸血鬼の存在を知っているが、文章の書き手たちは皆、状況がわかっていない。それが緊迫感を生み出しているのかな。
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ミステリ・・・?ゴシックホラーとでも言うのだろうか?
吸血鬼伝承が好きな私には、たまらん。基本です。
化け物の話ではなく、結ばれない愛の物語だと思ってます。
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前半はかなり楽しめました。後半、伯爵との直接対決では文量も多いせいか、あきてしまいました。最後の結末もあっけなかったですしね。今読むとちょっとおかしなところもあります。輸血のシーンとか。
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どっしりとした感じ。重厚だな〜というのが最初の感想でした。
作品は、書簡体で書かれており、序盤は1人の人物の日記で書かれているため、伯爵の様子は城の様子などが書かれていて、ゴシックの彩り濃厚。
中盤からは人物が増え、遠巻きに伯爵とその関係する物がかかれるため、物語に伯爵の不気味さを伝えております。
後半のドラキュラ伯爵を追跡する所も、なかなかの迫力!!
映画の印象が強かったんですけど、こうして原作を読むと、非常に深みのある、そして面白みのある作品だったんだなと思いました。
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有名なのだが、映画やらマンガ、それに付随するパロディー、連作が多いため、原作を読んだような気になって、この人の本を手に取らない人は多いのでは? かく言う樓主もその一人だったのだけれど。
この吸血鬼は実に、高貴じゃない。
食べるのは人妻でもいいし、剃刀で怪我をしたその旦那を危うく襲うところであったし、水夫もオッケー。なんていうのか「がっついた」性格だった。 っていうか、彼の一番の気に入りが若い人妻だっていう時点でこの化け物は・・・・・・って感じだな。
ええい、おっさんめ。
物語の冒頭は実に涙ぐましい。
貴族という設定らしい彼は、従者がいないので御者に化けてその旦那を迎えに行く。
城も一人で切り盛りしているので、旦那に見つからないようにこそこそっと客室を整えたりする。
ああ、哀しや、伯爵様。金はあるのに。
近隣の村人から嫌われて恐れられているので、「住み込み手伝い」はむろん、「パートタイム」とかにも入って貰えなかったらしいな。
しかも、彼はデリケートなので故郷の土がないと眠れない。
このあたりは貴族だけど、柩に入って貨物として船に運ばれるあたりで、もはや威厳がない。
しかも、船員を食っていった。別に処女の生き血でなくても一向にかまわないらしい。
実に存在が、非耽美だ。
むむ? この紹介だとギャグにも取れるな。
こういう線で、パロディ出すかな(笑)
ドラキュラ視点で。
記録のみで綴っていく構成は、斬新。
有名だから、図書館に置いてあるはず。
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平野耕太先生の漫画『ヘルシング』が好きな方は是非一度読まれたほうがいいです。
生と死、血と生命と魂、そして化け物に立ち向かう人間の力強さが描かれています。
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いまさらながら、ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」を購入、読了しました。ドラキュラは映画はいくつか見たことがあるのですが、本で読むのは初めてです。
最初は、開いた瞬間、文字のポイント数が小さい上に、ぎっしりみっちり文章がつまっているので、これは読むのに時間がかかりそうだなあと思ったのですが、いやいやいざ読んでみると、これがテンポ良くさくさく読めるので驚きました。
文章が読みやすいのと、物語の展開が意外とテンポが良いんですよね。
この作品、ホラー小説に分類されてはいますが、ホラーとしての怖さよりもドラキュラに対峙する人間達の勇ましさのおかげで、むしろアクション小説のような印象を受けます。特に終盤は熱い!
エイブラハム・ヴァン・ヘルシング教授、ジャック・セワード博士、ウィルヘルミナ・ハーカー、キンシー・モリスあたりのキャラが立っているのも好印象。
見た目のとっつきにくさと違い、万人にお勧めできる逸品です^^
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映画の印象ばかりが強かったんですが、文字にして読んでみると本当、別物って感じ。
ゴシックホラーというよりサスペンス…?
まぁ、映画でこのままやっても面白くはならないだろうなとは思う…
最後が意外とあっけなくてびっくりした。
ヘルシング博士のお茶目さが可愛い。