紙の本
日常と狂気の錯綜
2017/10/15 22:53
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投稿者:弥生丸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日常に潜む狂気と夢想を堪能できる短篇集。
『砂男』は主人公が友人に宛てた書簡で始まるが、その記述が既に狂気をはらんでいる。幼少期に垣間見た砂男の幻想に取り憑かれ、次第に狂気へ墜ちていく様は息詰まる展開である。
『廃屋』は怪談風だが、実は恋人に裏切られた傷の深さから狂気に捕らわれる哀れな女性の物語である。ジプシーの老婆を介在に不実な恋人への復讐を遂げる執念が凄まじい。
『ファールンの鉱山』は、天涯孤独となった船乗りの青年が、謎の老鉱夫に導かれ数奇な運命を辿る物語。怪奇をまじえた悲恋物語とも云える。
収録作品の中で、上記の三編が特に面白かった。人間の狂気について考えさせられる。
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「くるみ割り人形」も「コッペリア」も、実は元ネタが結構コワイ。特にコッペリアは、なんと言っても「砂男」だし。
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狂気と不気味さを醸しだす、ドイツロマン主義を代表するホフマンの短編集。
「クレスペル顧問官」「G町のジェズイット教会」「ファールンの鉱山」「砂男」「廃屋」「隅の窓」の6編を収録
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ホフマンの手にかかれば、日常の何でもない物事も、幻想的な世界への入口となるようだ。彼の幻視力、想像力の豊かさはやはり尋常じゃない。話としても面白い(どちらかというと怖い、か)し、オススメですよ。
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ホフマンの代表作である「砂男」などをはじめ六編のお話が入っています。死と狂気と優しさを感じたい人へ。
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クレスペル顧問官G町のジェズイット教会ファールンの鉱山砂男廃屋隅の窓(池内紀 訳)「おばけのホフマン」の面目躍如、といったところでしょうか。巻末の、訳者による「ホフマンと三冊の古い本」は、解説といった域を越えて、ひとつの読み物として味わうことができます。
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ホフマンの短編のうち、「クレスペル顧問官」「砂男」「廃屋」など6篇を収録。普通の生活を送っていた人間が、ふとした拍子に幻想の世界に迷い込むさまを巧みに描写している。その際の道具は、窓であったり、望遠鏡であったり、鏡であったり。本来ただの道具にすぎないものが、幻想の世界の入り口になる不気味さは、現代の都市伝説などにも通じる。
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『G町のジェズイット教会』
画家ベルトルトさんの人生。
芸術というものは難しい。
彼は彼である限り、アンジョラと幸せな結婚をすることも、彼の理想としていた画家になることも、ないのであろうし、そうならないことが彼の人生そのものなのだ。
…と、大分上から目線のような言葉を書いてみた…。
真偽のほどなど全く不確か―そもそも真偽などはここには無い。
いやいや、本当に芸術と真正面から向き合った人生って、難しいと思うんだ。
そんな人生ってどんなものだろう。
この世にあるのかしら。
『砂男』
これは本当に面白い。
中々寝ついてくれない悪い子への夜の迷信。望遠鏡とレンズと目。
…そういえば自分の幼い頃は、草木も眠る丑三つ時ということで、幽霊に怯えたりはしていた。
文章としてもとても読みやすく、また狂気(と取り敢えずここでは呼ぶ)の書きようも、さらりとしていて個人的にはちょうど良くて好きです。
ホフマンの描く“幻想”の世界からは、中々抜け出せそうにない。
「まわれ、まわれ、まわれ、まわれ-…」
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クレスペル顧問官 Rat Krespel.1819
G町のジェズイット教会 Die Jesuiterkirche in G.1816
ファールンの鉱山 Die Bergwerke zu Falun.1819
砂男 Der Sandmann.1815
廃屋 Das öde Haus.1817
隅の窓 Des Vetters Eckfenster.1822
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有名な『砂男』だけ既読。ジャンルとして、当時新しかったのかなという印象。内容が不思議な話なので、途中前に戻ろうかなと思ったが、最後まで読んで理解できた。
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1815年の「砂男」から最後の作品1822年の「隅の窓」まで5篇を集めたホフマンの短編集。どれも奇妙で不思議な話ばかり。(“奇妙なもの”と“不思議なもの”との違いについての論考が収録作品「廃屋」の中に書かれている)
全ての作品に共通するのは望遠鏡などによってもたらされる視覚による死の情景だ。謎は全て解けた!という明快さは無く不可解さが尾を引く。ゴシック調ではあるがどこかロマン主義的でもある。メルヘンとミステリーの中間といったところか。
「砂男」が最も有名だが、「クレスペル顧問官」の不気味さ、「G町のジェズイット教会」の哀れさが強く印象に残る。
また、ヒッチコック映画の“裏窓”のようなサスペンス風ででいて推論の掛け合いがまるで落語のような「隅の窓」がとてもおもしろい。
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コッペリアの原作「砂男」を初めとして、ホフマンらしさあふれる「クレスペル顧問官」「G町のジェズイット教会」「ファールンの鉱山」「廃屋」「隅の窓」の6篇が収録されています。
奇妙な世界へ迷い込む様を描くのが、ホフマンは非常にうまく、ある意味で最高のホラー作家の1人です。
もしかすると、普段の日常から、気がつくと奇妙な世界に入り込んでいる、この感覚が病み付きになるかもしれません。
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最古のホラー小説と呼ばれているらしい。けど、全然怖くないですよ。確かに幽霊が出てくる話もあったけど…最後が「死」で終わるものや「死」を匂わせてるものが殆どなのは確かです。
クレスペル顧問官、G町のジェズイット教会、ファールン鉱山、砂男、廃屋、隅の窓の6つの短編。
このうちG町のジェズイット教会は、ゾラの『制作』を思わせる。どちらも画家の話で、描きたいものと実際に描くものとのギャップ、どちらも理想と思える女性と結婚するものの理想が徐々に崩れていく様…芸術家じゃないからわからないけど、辛いんだろうな…と思う。
実はバレエ『コッペリア』の原作『砂男』が読みたくて本書を手にしたのだけど…全然違う❢コッペリアは明るく楽しいストーリーだけど砂男は無駄に恐怖を煽っていて、しかし怖くなくて…つまらない。
全体通しても、やはり悪戯に恐怖を煽ってるかんじで、だから何?って感じです。
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古典とは思えない。短編の天才。
狂気や心の不安が生み出す幻想世界。
短編だけれど、満足度が高いし、展開が想像もしないところのセンスにワクワクする。
リアリティ(怪奇)と夢想(不思議)が絶妙な具合なのです。
ー推理や探偵でないところの意味のミステリー。ー神秘ーは謎のままのもの。
キャラクター型ホラーとはひと味違うダークファンタジーたち。エドガー・アラン・ポーや夏目漱石、手塚治虫などいろいろな世界の文豪たちに影響を与えているという。
収録作
■「クレスペル顧問官」★4
著者の体験談として読者に語る。展開や視点が素晴らしく、着地が想像もしないところだった。歌姫の狂想曲に余韻が残る
■「G町のジェズイット教会」★4
著者が旅先で出会った人と事を読者に語る。多彩なホフマンの芸術感が垣間見える。
徐々に蝕まれていく芸術家の正気が痛々しい。絵や音楽も嗜むホフマンならではの説得力か。
■「ファールンの鉱山」★4.5
これの前に読んだので感想飛ばし。
■「砂男」★4
怪奇幻想。
書簡体小説からはじまり、友人の話として語る。
子供時代から引きずる不安症な狂気と愛と幻想が入り乱れる。
恋も狂気と紙一重。
精神を蝕む病みは怖く深い。
背筋に寒気というよりは脳に冷気が来た。
■「廃屋」★2.5
友人が著者等に経験談を語る。導入部が長く感じる。これもキーの女性が登場してからが盛り上がったけれど、錬金術を使った呪いなのか釈然としないまま。
■「隅の窓」★2
従兄とひたすら対話形式で人間観察をする。
怪奇も起きず。