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豊臣秀長の半生が描かれた上下巻のうちの上巻である。秀長を一言であらわすと、名補佐役すなわち名ナンバー2である。この本は彼の長所について2点指摘している。第一に、調整力である。秀吉が前をひたすらにすすみ、それによって表れる弊害を彼がひとつひとつずつ摘んでいったということが主張されている。特に、上巻では石垣の積み上げや信長の掲げた「能ある者には権を、功在りしものには禄を」という人事管理の割を食って苦労しながらもまとめていくというシーンに表れていると感じた。
第ニに、謙虚さである。常にナンバーワンである秀吉に対して敬意を払い、決してナンバーワンになろうという素振りを出さないことで、組織のバランスを支えていた点は戦国乱世の世をかんがみると非常に評価が高いと考えられる。また、竹中半兵衛に対しても常に目上として立てていたことも同様に彼の謙虚さを表したエピソードのあらわれであると思われる。
しかし、この本には問題点もある。いずれにしても、資料が少なすぎるのである。そのため、どうしても筆者の予想、想像の領域に依拠している部分が多く、筆者の理想とするナンバー2像を当てはめただけなのではないかという疑問がある。
そこをかんがみても、読み物としては非常に面白いし、人生を考える上で大きな影響を得た。
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今月から月に1冊本を買うことにしました。
今月はこれを購入。
古本屋で100円だったので。
他の名将が500円ぐらいする中、秀長は100円。
何故に!!
でも、スイスイと読めてなかなか良かったです。
秀長も名将ですよ!!
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初めて読んだ戦国本。ウチにあったのでなんとなく読んでみたら…思わぬ伏兵でこりゃまいった。
政治家さんが書かれているだけあって、治世とか経済とか人事とか、そういった面に重きを置いて話はすすみます。
丁寧で解りやすいです…!
でもまだ下巻よみおわってない…!あばば
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豊臣秀吉の実の弟の話。補佐役として活躍したらしいが、自分も含めてほとんど知られていない。成功者の陰には必ずそれを支える者がいることが理解できた。
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秀吉ばかりに目が向いていた時期。せいぜい、謀臣としての竹中半兵衛、黒田官兵衛しか光が当てられていない中、実は秀吉の展開統一の全般を支えた、隠れた補佐役に光を当てた本書は、読者の目からたくさんの鱗を落としたことであろう。
また、小説の形態をとっているが、必ずしもそのような書きぶりではなく、歴史エッセイの趣きも感じさせる。
彼が死んだ途端、坂道を転げ落ちるように秀吉の運気・栄達も下がっていく。謀臣でも、寵臣でもない秀長(長秀)の意義を、組織の盛衰とも併せて叙述する良書である。
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どちらかというと、上巻は物語風、下巻は史実書風に描かれているが、歴史小説として良く知れ渡る信長〜秀吉史・物語も、あまり中心に据えられない秀長の視点で描かれるところは、新鮮に感じられた。
『巨いなる企て』では、合戦の描写がほとんどなかったが、その後に読んだ本作品では、賤ヶ岳など秀長目線での戦略解説的に描かれているところは、読み応えがあった。本作品をよむまでは、補佐役=参謀と漠然と思っていたが、2つはまるで違うものとよくよく教えられた。読んで良かったと思う作品の一つだった。