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これを読んだときはあまりカーを好きではなかったことを覚えている。相変わらず不可能犯罪がちゃんと解決されるというのが凄いと思う。まあ無理なところもあるけど。「楽屋の死」「銀色のカーテン」「目に見えぬ凶器」。
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『新透明人間』
マーチ大佐シリーズ
向かいのアパートで殺人事件を目撃したというホレイス・ロドマン。人間観察を理由に向かいのアパートに住む夫婦をのぞき見するロドマン。グルリッペン博士そっくりな謎の男が空中に浮かんだ手袋の持った銃に撃たれたとの証言。事件などなかったというアチソン夫妻。舞台装置の開発を職業とするミスター・アチソン。
『空中の足跡』
マーチ大佐シリーズ
夢遊病のドロシー・ブラント。彼女の隣人トパム夫人が雪の降る夜に殴打される事件が起きる。雪の上に残された女性ものの靴の足跡。夢遊病の中外に出た記憶を持つドロシー。トパム夫人とドロシーの確執。盗まれた夫人のお金。捜査に当たるマーチ大佐の発見した細い生垣に残された足跡。
『ホット・マネー』
マーチ大佐シリーズ
銀行強盗事件で盗まれた2万3千ポンドの現金と証券。捕まった犯人グループは所持していなかった。疑いを向けられたブローカー・アイアトン・ボールダー。ボールダーの部屋で大量の紙幣を目撃したという秘書のミス・ドーソン。目撃後に部屋を見はり警察とともに踏み込んだが消えた紙幣。マーチ大佐の語る「見えない家具」の謎。
『楽屋の死』
マーチ大佐シリーズ
オリエント・クラブ謎のスリを捜査中に札バサミをバックに入れる女性を目撃したジム・マシューズ。フランシス・ラポールのショー中のできごと。ショー終了後女性と共にラポールの楽屋を訪れると悲鳴を上げる女中。ハサミで殺害されたラポール。ラポールの手に握られていた手紙に書かれた名前。ラポールの情夫トニーの秘密。女中の手についた油の謎。
『銀色のカーテン』
マーチ大佐シリーズ
ジェリー・ウィントンに奇妙な仕事を依頼したデヴォイスと名乗る男。路地にあるエイベルと名乗る医師の元を訪れる。デヴォイスの後ろを歩くジェリー。目の前で倒れたデヴォイス。首に刺さったナイフ。遺体から発見された2つの札バサミ。ホテルでの盗難事件との関連。
『暁の出来事』
マーチ大佐シリーズ
岸壁の上誰も周囲にいない状態で突如倒れたノーマン・ケイン。居合わせた友人の医師ヘイスティングスの診断は何者かによる殺人。事件を目撃した姪のミス・ケインの証言。波にさらわれたケインの遺体。容疑者として逮捕されたミス・ケイン。
『もう一人の絞刑人』
ランドール・フレイザーを殺害したとして死刑を宣告されたフレッド・ジョフリ。死刑執行当日開かなかった絞首台の仕掛け。失敗の直後ランドールを殺害したと自首してきた女。戻された牢獄で首をくくられて死んでいたジョフリ。自首してきた女と執行人エド・ネイバーズとの関係。
『二つの死』
実業家トニー・マーヴェル。弟であり医師でもあるスティーブンの勧めで周囲との関係を絶ち1年間の世界一周旅行へと旅立つ。旅立ちの豪華客船の中でキャンセルされたとう予約。1年後帰国したトニーの見た新聞。トニーの自殺を報じる物。スティーブンの驚愕と死。
『目に見えぬ凶器』
共和制の時代。美しい娘メ���リーと婚約中の地主オークリー。王政復古により財産を失ったオークリー。新たな実力者として村にやってきたヴァニング。メアリーを狙うヴァニング。ヴァニングとの会見中に無数の傷を受けて死んだオークリー。消えた凶器。7年後ガラス窓に首を突っ込み死んだヴァニング。
『めくら頭巾』
クリスマスパーティーに招かれたハンター夫妻。約束の時間に遅れて到着するが家人が誰もいない。現れた謎の女の語る過去の事件。
1997年9月19日購入
2011年3月9日再読
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古典ミステリの代表とも言えるカーの短編集。
前半部分6編はマーチ大佐を中心とするD三課に関連する事件が扱われている。D三課というのは、奇怪な事件を専門に処理するための課である。
1900年代に書かれたミステリであるため、このマーチ大佐を中心とする短編のトリックは、現在の視点からみると不可解というわけでもなかったり、現実不可能なものが多いと言わざるを得ない。
後半の4編は、この時代の法律や雰囲気を色濃く表現しながらも、不可解かつ理論的なミステリとなっている。
特に「もう一人の絞刑吏」は、法律をうまく利用したトリックとなっており興味深い。
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カー短編全集その1。
長編よりいいかもしれないなあ。
続く2〜5も読みたい。
2〜5はタイトルが推理小説というよりは怪奇小説っぽいけど。
短いけど本格ミステリとして充分成り立っている。
怪奇テイストの話も多い。
最後は完全に怪奇小説のように思えるけれど、
事件にはきちんと種明かしがあるという点で推理小説かと。
『二つの死』に関しては解説の中島河太朗氏と同意見で、
そっくりな人間が出てくるのは甘いと思う。
でも全体的にクオリティが高く、
短編集としてはクイーンより好きかもしれない。
字が昔同様小さくて良かった。
最近の字が大きい文庫は好きじゃない。
収録作品
・新透明人間
・空中の足跡
・ホット・マネー
・楽屋の死
・銀色のカーテン
・暁の出来事
・もう一人の絞刑吏
・二つの死
・目に見えぬ凶器
・めくら頭巾
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「綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー」で紹介されていた「新透明人間」が収録されています。マジックのトリックをちゃんと小説に仕立て上げる技は、さすが。
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小学生の頃よく読んでいた海外推理小説。大人になってから読むと、また違った印象になります。
この独特な世界にすんなりと入り込めた子供時代は、今思えば貴重だったのかもしれません。子供の想像力は偉大、とでもいうか…。
短編集ですので、空いた時間にちょっとずつ読めるのが嬉しいです。タイトルには「犯罪捜査」とありますが、中にはホラー的なものもまじっています。
全10編のうち、おすすめは「二人の絞刑吏」。
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ミステリ黄金時代の作家ディクスンカー
ここで私が下手なこと書くより、まわりのレビューの方がたぶん的確だと思う
この人はコアなファンをたくさん持ってるって言うし
なので感想だけ
シリーズものは手が出しにくいからと読み始めた短編集だったけれど一本一本がしっかりとしていて短編とは思えない読み応えでした
短い中でも物語はこれでもかとごろごろ転がってくので、長編になったらどうなるかと楽しみです
個人的には銀色のカーテンと二つの死がすき
特に銀色の方は題名のネーミングからして秀逸
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ディクスン・カー短編集。
短編で読み易く、そして読み応えがあった一冊。
ほか短編も読んでみたくなる。
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カー短編集1。スコットランドヤードに設置された「不可能犯罪捜査課」に所属するマーチ大佐が不思議事件を解決します。
カーらしく、怪奇趣味もふんだんに盛り込まれていて面白かったです。長編と違って読みづらいところも薄まっているので(笑)カーの入門としては短編集お勧めかもしれない。
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素敵だ。現代のミステリみたいに派手なトリックやあっと言わせる感じではないけど、なんというか人間にたとえると「佇まいが素敵な人」。
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ディクスン・カー短編集第1巻には短編10編が収められている。初めの6編にはロンドン警視庁D3課のマーチ大佐が事件解決に携わり、残りの4編は独立した話となっている。「新透明人間」ロンドン警視庁D3課は奇怪な事件が専門の警視総監直属の機関。そこへ殺人事件を目撃したという男が駆け込んでくる。話によると男の向かいの新築アパートの1室で、空中に浮く手袋が持つ拳銃で老人が撃たれたという。ミステリ定番の登場人物である事件の目撃者を、詮索好きの覗き趣味として笑いものにしてくれた傑作。トリックはマジックの定番。「空中の足跡」一人暮らしの老女の家で強盗事件が発生。雪の上に残る2すじの小さな足跡から、犯行が可能だったのは隣に住む若い女性と思われた。しかも彼女には夢遊病の気があった…。捜査中に見つけたもう一つの足跡がヒントに。足跡の真相が面白い。「ホット・マネー」銀行強盗犯が逮捕されたものの奪ったはずの大金が行方不明。逮捕現場付近の屋敷主が怪しまれたが、部屋中どこを探しても見つからない…。徹底捜査でも見落とす、心理的に目に見えぬ家具がヒント。オチはダジャレ。「楽屋の死」ナイトクラブのダンサーが楽屋で殺害された。犯行を疑われた男はステージ上で観衆の前におり完璧なアリバイがあった…。舞台メイクがヒント。「銀色のカーテン」フランスのカジノ場で有り金をほとんど失くした男が、もうけ話を持ちかけられる。約束の場に行った途端、目の前で人が刺された。しかも自分以外には誰もいなかった…。理屈はわかるけど現実的にはちょっとあり得ないトリックで疑問に思った。そんなにうまくいくものなのか?「暁の出来事」ライオンの手と呼ばれている岩がある砂浜で、男が突然倒れた。駆け寄ってみると脈がなく死んでいた。目立った外傷はないものの、自然死か他殺、自殺が疑われ…。なんとなくホームズの「ライオンのたてがみ」を彷彿とさせる冒頭部。遺体が波にさらわれ行方不明になったことがヒントに。「もう一人の絞刑吏」街中の嫌われ者が情況証拠だけで有罪・死刑判決を受けた。絞首刑の日、器具の不具合で刑が一時延期となったところに、タイミングよく冤罪を知らせる電話がかかる。ところが…。「法に定めるところを守った」完全犯罪。人が下す刑について考えさせられる、短編ながらも深い作品。「二つの死」休養のため世界一周の船旅に出かけた男。出航時の不愉快な出来事、何者かにつけられている気配、そして帰国して目にした自分の死亡記事…。トリックはちょっと禁じ手ながらも筋の通った話で、最後はホラーっぽいオチ。「目に見えぬ凶器」ひとりの美女に好意を寄せる二人の男性。3人が集まった密室内で暗闇となった間に、彼女との婚礼が決まっていた男が13ヶ所もの刺傷を受けて殺された。もう一人の男が疑われたが凶器がどこにも見つからず、年月が過ぎ…。通常の捜査では見落としは考えられないものが凶器。因果応報のラスト。「めくら頭巾」かつてクリスマスに起きた悲劇を怪談仕立てで物語る。不幸な出来事、防げた悲劇。白いめくら頭巾で追いかけてくる女が怖い〜!さすが本格推理小説の大家。小技の効いた短編ぞろい。ただホラーオチは個人的にやっぱり苦手…。今だった��首をかしげるようなトリックもあるが、時代背景等を考えれば許容範囲内かと思った。
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4
初めてのカー作品。いや、厳密に言えばコナン・ドイルの遺児アドリアンとの共著「シャーロック・ホームズの功績」を既読なのだが、カーは半分にしか関わっていないし、個人的にはアドリアン一人で書いたものの方が印象深く、カーが巨匠であるという知識はあってもそれがどうしたぐらいにしか思っていなかった。
カーのオリジナル作品に触れるのに最初に選んだのは「三つの棺」だったが、30頁程読んだところで状況描写の緻密さ、難解さに、これは手強いと痛感。参考書代わりに「有栖川有栖の密室大図鑑」を読み直し、あらすじは理解したものの、いざ作品に戻りいつものスピードで読もうとすると、さっぱり頭に入らず挫折。
ならば短編集ではと手に取ったのが本作。
これはどれもすんなり入り込める。ストーリーテリングは巧みと言う他なく、その上物語は濃密。トリックは現在では少しありふれたものという印象がなきにしもあらずだが、大家の名に相応しくその用いり方、解き方に捻りがあり巧妙。「新透明人間」「銀色のカーテン」などは映像が目に浮かぶようで特に印象深い。中には「ホットマネー」のようにピンとこないものもあったが、「空中の足跡」のバカバカしいトリックにニヤニヤとし、「暁の出来事」を読んで我孫子武丸もこれを読んだのだろうなと思い馳せ、終盤に連続するさして興味のない怪談話ですらすっかり堪能してしまった。他の作品も楽しみである。
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1970年2月17日初版
訳者 宇野利泰
目次
・新透明人間
・空中の足跡
・ホット・マネー
・楽屋の死
・銀色のカーテン
・暁の出来事
・もう一人の絞刑吏
・二つの死
・目に見えぬ凶器
・めくら頭巾
解説 中島河太郎
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こ・・・これはあまりにトンデモすぎるやろ!というトリックのオンパレード。
なんか古き良きミステリ黄金時代を感じさせて、それもまた「味」かな。
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ディクスン・カー(以下、カー)の『不可能犯罪捜査課』を読了。
今回はカーの短編集。今では使い古された基本中の基本と言えるトリックもあったが、読者の意表を突くものもあり、なかなか楽しめた。
全10編収録されているので、それぞれ簡単に説明したいと思う。もちろんネタバレはない。
・新透明人間手袋だけの手が銃で人を殺害。しかも死体は消失。しかし実際は...
・空中の足跡雪上の足跡トリック。靴の固定観念に囚われるべからず
・ホット・マネー
強盗は捕まえたが大金が消えた。隠し場所は意外なところ
・楽屋の死
ダンサーが殺害された。古典のアリバイトリック
・銀色のカーテン
男が殺害された。犯行は状況的に見て、その場に居た青年にしか不可能。だが…
・暁の出来事
夜明けの海。周囲に不審な点がない状況で、老人が死亡した。死体の状況から見て殺人の疑いがある中、警察が来る前に死体は流されてしまった...
・もう一人の絞刑吏
絞首台の調子が悪く、1度刑を免れた男。監房に戻された直後、冤罪が発覚。しかし男は監房で首を吊って死んでいた..
・二つの死
静養のため旅に出た男。旅を終え帰る途中、自分が自殺したという記事を目にする。何かに追われながら家に帰り着くと…
・目に見えぬ凶器
部屋の中で十数カ所以上刺されて死んだ男。しかし部屋の中には傷跡に合致する凶器は見つからなかった...
・めくら頭巾
密室状態の中、夫の帰りを待つ妻が殺害された。際だってホラー要素の強い作品
新透明人間~暁の出来事までの6編は、マーチ大佐というキャラが探偵役として登場。あとがきによれば、そばかすだらけの顔の大兵肥満の温厚そうな男で体重238ポンド(約108kg)、赤毛の大きな頭、火皿の大きなパイプで音を立ててふかす煙草が焦がさんばかりの口ひげ、テントのようなレインコートを着ている、という設定。何やら凄まじい。
しかしカーの作品に登場する探偵役は、『ユダの窓』などに登場するH・M(ヘンリー・メリヴェール)卿と、『三つの柩』などに登場するギデオン・フェル博士の二人が主である。どちらもマーチ大佐と同じような設定であるし、逆に言えばマーチ大佐もこの二人と同じようなイメージだ。カーは探偵のイメージ自体にはそれほど重きを置いていないのかもしれない。
残り四つの短編は、それぞれの話のみの探偵役がいたり、もしくは話の構造上、探偵役が存在しないものもある。いずれにしても、面白いには違いない。