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Xの悲劇の次に読んだ。Xの悲劇はとても面白い作品だったがYの悲劇は事前評価の圧倒的な高さのわりに、読み終わると不満点が多々あった。
最も大きい不満点は犯人である13歳の少年が小説の筋書き通りに犯行をすすめるため、ヴァニラの匂いのする軟膏を自分の手首に塗る、という場面。13歳の知能ならこれがヨーク・ハッターを示す手がかりであり、塗ることの無意味さを自覚できるものだろう。でないとしたら、ジャッキーが並外れてバカなのだろうか?
この行動は「真の犯人は死んだヨーク・ハッターでありジャッキーが傀儡である」という解釈を成り立たせるためなのだろうか。そうすると、作品を入れ子構造に持ち込んだがために13歳の知能を著しく低下・過小評価するということなってしまう。付け加えるならばヨーク・ハッターが小説を書いている=犯罪を扱う小説は探偵小説である、というレーンの推理はもはや決め付けである。発表当時はそうだったのかしれないが…。
こういう所に不満を覚えると作品全体がミステリーのための土台であり作り物めいた感じがする。これは解説にあったとおりで、Yの悲劇全体をとってみても漫画のようにチープで人物に生命感といったものが希薄なのである。
期待はずれてではあったがZの悲劇が読みたくなるくらいには面白かった。
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有名過ぎて一回くらいは読んでいただろうと思い込んでいました。
未読。びっくりするぐらい初見。
読み始めが偶然にも2月2日だったので、プロローグでやたらとテンションがあがりました。
名探偵が敗北宣言をするという、古典定型からすると衝撃があります。
13歳のいいところのお坊ちゃんが4歳の弟と一緒にきいきい騒ぐのも衝撃。
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日本では読者が選ぶなんとかかんとかでしょっちゅうトップになるけど、
海外の評価はそこまでではない、らしい。
どんなもんなんかいな、と思いながら読んでたけど、普通になかなか面白かった。
ちょっとクリスティっぽい感じ?Xの悲劇の時は主人公は完璧超人だったけど、
こっちはちょっと違うし。
とは言え、最後の一文で暗示された内容は
クリスティはやらない(クイーンはときどきやる)ことですな。
例によって解決編(「エピローグ」)が明確に分かれてるけど、私は久々に犯人が
わかりました。
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少し前、アガサ・クリスティーの作品(ポアロとグリーンショアの阿房宮)をこの歳になって初めて読んだのですが、そういえば、私は、海外の本格ミステリー(推理小説)はコナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」シリーズぐらいしか読んでいないかもしれません。
といいうことで、今回は「エラリー・クイーン」。その中でも「Yの悲劇」を選んでみました。「Xの悲劇」からではないのは、たまたま図書館の書棚に「Xの悲劇」がなかったという単純な理由からです。
さて、当然ながら“ネタバレ”を避ける意味でコメントはひと言だけ。確かに期待を裏切らない骨太の秀作でした。見事ですね。