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孤独な留学生が、留学生活の最後を一緒に過ごしたリスの死骸を持ち帰る。それがペスト菌に感染するキッカケとなる。
別の場所ではストーカーが人気キャスターを誘拐し、部屋に監禁してしまう。無関係の二つの出来事が繋がって、事態はさらにややこしいことにー
という話。
この先どうなるのかと、最後まで気になってやめられんくなる。
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日本人留学生が持ち帰ったペスト菌。
女性キャスターを誘拐するストーカー。
2つの事件が徐々にひとつに重なっていく・・・
当時まだストーカーと言う言葉もなかったように思うのですが、
その時にこんな薄気味悪いストーカーを登場させているんですよね。
テンポも良くて、先も気になるのですぐに読めちゃいました。
ペストってよく知らないのですが、これを読むとめちゃくちゃ怖い。そしてこのストーカー男もめちゃくちゃ怖い。
ペスト菌やストーカーなんて、自分には関係ない遠い彼方の
出来事だと普通は思っている。
でも気付けばそのさなかに居た、と言う恐怖。
彼方の悪魔が知らぬ間に忍び寄っている・・・・・
そして悪魔に打ち勝つのは??負けるのは??
サスペンスフルで面白かったです。
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久しぶりのミステリーだったので、途中から本が手放せなくなるほど入りこんでしまいました。
ペスト菌と誘拐のダブル恐怖。わかりやすい怖さだけれど、それゆえに入りこみやすかったです。
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ネタバレ 無関係な複数の人物を輻輳させながら、庶民派主婦キャスターに迫る二つの危機。それはパンデミックの危険を胚胎するペスト禍と狂気に彩られた男。リスの死骸を日本国内に入れる冒頭展開と、複数の人物が収斂していく様はやや強引と思わなくはないし、オチも呆気なかったが、監禁された女性に危機が迫っていく模様に関しては、ペスト感染の具体的模様と監禁男の異様な愛情表現とがあいまって、ぞくぞくさせられた。この真綿で締め付けるような中盤は著者の長所が良く出て、読みごたえがある。サスペンスというより、ライトなスプラッタホラーの趣き。
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以前にあめん坊さんが絶賛していた作品ですので、
ぜひ読んでみたいと思っていたところ、偶然、図書館で見つけ、さっそく読みました。
リスの死骸と共にアメリカから帰国した留学生健一。
青年期の屈辱的な体験で精神を病み、
美人テレビキャスター千春を誘拐して我がものにしようと企む軍治。
ある街の同時期に、この2人による2つの恐怖がおこりました。
精神を病んでいる軍治の誘拐の仕方も少し不気味です。
マンションの一室に少女趣味な防音無菌室を作り、
そこへ誘拐してきた千春を監禁するというものです。
千春の好みも自分と同じだと思いこんで、
自分好みの花をかざり、自分のペットのように可愛がろうとします。
一方ではリスの死骸から病魔に感染した健一は病院へ。
リスの死骸を調べた医師たちは、
そこで恐るべき病魔の正体がわかり、驚愕の恐怖に陥ります。
隔離、感染防止、とあわてふためくなか、
リスの死骸をもてあそんだ健一の飼い猫が感染し、
街へ彷徨い出てしまします。
その飼い猫に唯一引っ掻かれたのが、軍治でした。
病魔に感染した軍治、
拉致監禁されている千春にまで感染してしまうのでしょうか。
中盤からぐっと物語の面白味に拍車がかかり、
読むスピードは、もうどうにも止まりませんでした。
最後の章の記述に、病魔が、
「一人の青年の人生の一部を変え、一匹の猫を死なせ、一人の狂気にかられた男の命を絶って、どこかへ去ってしまった。」とありますが、
まさしくその通り。
まったく違った方向からおこった二つの事件ですが、
最後には、見事に一つに交わってしまいました。
すでに日本では忘れられていた悪魔のような病魔。
感染病をうまくストーリーに取り入れて
ぐいぐいと読者を引き込む、このテクニック。やはり上手いです。
「ストーカー」という言葉がなかった昭和62年の作品ですが、
作品の中の軍治はあきらかに、今でいうストーカーです。
こんな不気味な犯罪者心理を早くに作品とした小池さんには、
先見の目があったのでしょうね・・・。
予想以上の面白さにはまり込んでしまいました。
はまり具合を病気感染に例えるなら、
この感染力は病魔以上になると思います。
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小池真理子の過去作、特にサスペンス作品は今の時代でも評価されて欲しいな...
容姿端麗な誘拐犯と、平凡な男の生活が交差し、想像を絶する悲劇を産み出すサスペンス。
官能的で美しい文体が大好きだ。