紙の本
入門から一歩進んで、じっくり味わう杜甫
2022/02/25 03:37
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投稿者:719h - この投稿者のレビュー一覧を見る
同じ岩波文庫から出ている、
鈴木虎雄氏訳註の全8巻の杜甫詩集の
補訳注も手掛けた編者による、杜甫選集です。
「登岳陽楼」、「春夜喜雨」、「旅夜書懐」
といった名作を、懇切丁寧な解説に助けられて、
味わってみては如何。
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杜甫の素晴らしさはその人間賛歌です。
大昔の、異国の地の作品にも関わらず、
親近感すら抱かせる普遍性もあります。
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題名のすぐ後に、詩の形式、書かれた年号、歳、場所の説明がある。説明の次に原文が上、下に書き下し文がならんで置かれる。さらに訳、注釈がついていて非常に良い。巻末に略年譜と短い解説も付いている。文字の大きさもちょうど良い。140首、年代順。
好きな詩は「登岳陽楼」(p. 371)
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かの俳聖芭蕉翁が愛好したという杜甫の詩。
好きではあるが、李白に比べて整いすぎた詩風や、愚痴じみた長ったらしい詩が多いことからむしろ苦手だったりもする。
しかし、「春夜喜雨」「落日」「旅夜書懐」「夜」
「秋興」「登高」「登岳陽楼」など、成都に流寓してからの詩と南国を漂白していた頃の詩には自然、景勝、感懐を巧みに詠み込んだものがあり、これが非常に好みでやはり疎かにはできない詩人だと改めて感じた。
編者の嗜好なのか、「貧交行」「飲中八仙歌」
「曲江」「蜀相」「絶句」などが載っていないようで、非常に残念。
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この書籍は、中国の唐の時代の「詩人」で有名な人「杜甫」の詩を選んで掲載されています。
掲載の仕方は、他の書籍とは違っていまして「詩」を「杜甫」の生きていた「人生」通りに掲載していますし、上部に原文をその下に書き下し文。その次にその「詩」の意味が載っていますので、読者が解るようになっています。
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岩波文庫 杜甫 詩選
この本も吉川幸次郎「杜甫ノート」同様に 詩を 浪人生活、安史の乱、成都、南国漂泊の4時代に区分している
1区分(浪人生活時代)から2区分(安史の乱時代)において、詩が大きく変化していることがわかる
2区分の詩は ストーリー性があり、虚構が著者の感情を代弁していて、日本語訳だけでも面白いのに対して、1区分の詩は 季節感のない風景と不平不満ばかり目立って、日本語訳にすると面白みがない
3区分(成都時代)以後の詩は 松尾芭蕉の原型を感じる。モチーフの中から無常観、自然の秩序と人間界の無秩序の対比 を捉え、一喜一憂することなく、軽々と生きている感じ。
漢詩の単調な強さは 中国の強さなのかもしれない。助詞(てにをは)がないことで、漢字そのものの意味を強調しながら、類似音や韻字の繰り返しでリズムを作っている