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この世代のコバルト作家からエロの女神のように扱われた図子慧の本です。この人、本当はすごい人なんだと思うんだけど、いまいち華やぐ機会がなく、残念。ルドルフォとかすごく面白かったのに、途中で出してもらえなくなってしまった。コバルトじゃなくていっそ早川とかからデビューすればよかったのに……でもあほな話を書くのも好きそうなんで、まあ、いいんですが。「ガール」は少女とエロスの不条理さを描いたミステリータッチのお話。同居していた高校時代からの親友に失踪された美苑は、家庭教師をしている高校生に押し倒されてやってしまい、と思ったら、その高校生に恋をしている彼の従兄の助教授にまで押し倒され、あげくその助教授の恋人に嫉妬され、けっきょく親友は自分を好きだったために失踪したというホモとヘテロの入り混じった五角関係の話です。この本が大好きなのは、この話の舞台がわたしの母校と思しき大学だから……その上ヒロインとは学科まで一緒だ(笑) 当時の少年少女向きでのエロスの限界に挑んだ作品だったんじゃなかろうか。(いまだったらさほどじゃないと思うんですが)