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デカダンスを克服しようとして選んだ救済がデカダンスの別のいち表現にすぎない・・・。ニーチェには何年も驚嘆させられっぱなしで参ります。短い著作だし翻訳も良いのでかなりお勧めです。
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ニーチェはどうして、あんなにも激しくキリスト教文明に闘いを挑んだんだろう?
また、イエスその人には闘いを挑んでいない、という説もあるけど、実際は、どうなんだろう?
分からないけど・・・。
『アンチ・クリスト』におけるニーチェのブッダ理解の正確さに驚く。
ニーチェは大方の日本人よりも、正確にブッダとそのダンマを捉えている。
ただし、それは当時ヨーロッパに紹介され始めていたパーリ語のもの。日本や中国やチベットに伝わったサンスクリット語、またはハイブリッドサンスクリット語の仏法ではない。
それは、より、ガウタマ・シッダールタの生の音声に近いなまの言葉であり、それを、キリスト教文明と対峙させている。
もとが文献学者だから、分析が正確なんだよね。
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何周もすることでやっと理解が深まってきた。こういう作業は本当に楽しい。しかし、「アンチクリスト」におけるニーチェの、イエスに対するほとんど盲目的な愛、「真なる」福音といった箇所は、一体どう理解すればいいのか。やはり、ニーチェ哲学は一人のキリスト教者によるキリスト教への内部告発に「過ぎぬ」のではないか。それは自己批判・自己超克という相貌を帯びる限り、極めて美しい芸術作品であるとともに、あらゆる既成の価値から完全に自由となった精神による批判にはなり得ない代物なのではないか。