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さまざまに矛盾する面を持ったワーグナーの才能を語った講演集。
ちょっと形而上学的でむずかしい。ワーグナーがドイツ的なものを体現していたということは歴史的にそうなんだけど、実際の真にドイツ的なものは政治から離れて神話の中にあるというひっくり返しがおもしろかったかな。
「解説」を先に読んだほうがわかりやすかったかも。
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ヴァーグナーに関する知見が無いと何とも良く分からん、まさに自らの無知を恥ずべきか。
しかし当方のような無知な人間からしても、まぁ『地獄の黙示録』で使われたように、あの色んな意味で戦慄するような音楽、そりゃまぁ煽り感は半端でないのは確かなことで、天才の仕事であること疑いなく。
でも天才だからこそ自分の置かれた立場を感知する能力が問われる訳で、もしかするとこの作曲家は、、、ということを暗に言いたかったのかな、この巨人というべき作家は。
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(「BOOK」データベースより)
ヴァーグナーの人と作品を語りつつ、マンが自らの芸術観を披瀝した講演(1933)。この講演は、ヴァーグナーをドイツ民族音楽の理想として利用したナチスを厳しく批判したことで、彼の亡命生活への一因にもなった。ヴァーグナーを通してみた出色のドイツ論。「リヒァルト・ヴァーグナーと『ニーベルングの指環』」を併収。
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トーマス・マンから見たワーグナー。
ニーチェの後年のワーグナー批判は有名なところだが、マンはワーグナーの芸術に対する一貫した矛盾を指摘し、その真のドイツ的本質を開示させる。
ニーチェとは違ったワグネリアンの素質をマンからは感じられる。
ドイツの十九世紀中頃を語る上で重要な文化的ターニングポイント、音楽家ワーグナーはもっと掘るべき。
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現代からみれば、あきらかにワーグナーへの賛辞に満ちているこの講演が、どうしてナチスの批判になるのかよくわからないところがあるが、当時の状況はわたしたちの想像以上にセンシティブなところがあり、それはトーマス・マンに亡命を余儀なくさせるほどのものであったということが驚きである。