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ちと古臭いけど訳がとてもきれいだなぁ、と思ったら訳者さんのあとがき中、初めて翻訳してから45年後に再訳した、豊かになったボキャブラリーと、それを可能な限り日本の書簡として美しくするか、に力を入れた翻訳らしい。こういう翻訳で他の作品も読みたいわ。
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(1998.07.08読了)(1998.04.02購入)
(「BOOK」データベースより)amazon
世間から侮蔑の目で見られている小心で善良な小役人マカール・ジェーヴシキンと薄幸の乙女ワーレンカの不幸な恋の物語。往復書簡という体裁をとったこの小説は、ドストエフスキーの処女作であり、都会の吹きだまりに住む人々の孤独と屈辱を訴え、彼らの人間的自負と社会的卑屈さの心理的葛藤を描いて、「写実的ヒューマニズム」の傑作と絶賛され、文豪の名を一時に高めた作品である。
☆関連図書(既読)
「白痴(上)」ドストエフスキー著・木村浩訳、新潮文庫、1970.12.30
「白痴(下)」ドストエフスキー著・木村浩訳、新潮文庫、1970.12.30
「賭博者」ドストエフスキー著・原卓也訳、新潮文庫、1979.02.20
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最後の作品「カラマーゾフの兄弟」は読んでいたのに、最初の作品である本作は読んでいなかったので、購入。
40代後半の下級役人マカールと、10代後半の無職女性ワルワーラとの往復書簡。処女作で既にこの完成度なのは、圧倒される。貧しき人々の哀しい物語ともいえるし、愚かすぎる2人の物語ともいえる。マカールは決して貧乏な運命なのではなく、コミュニケーション能力が欠如しており、意志も弱い。ワルワーラがいなくとも、遅かれ早かれ破滅していただろう。
また、ワルワーラの空気の読めなさも尋常ではない。
ただ、このような欠陥だらけの2人であるからこそ、この物語は成立し、また、何処か共感し、胸に残るのだろう。読めてよかったと思う。