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(内容)
後漢末、「魔」が目覚めた。
この世のものならぬ魑魅魍魎が人界の動乱を求めて騒ぎ出したのだ。
そのころ、北方のはずれに剛勇でならした若者がいた。
後に「人中の呂布」として恐れられた武将の若き日の姿である。
やがて呂布はその力を足がかりに、少しづつ中央へと近づいていく。
しかし、それには常に影がまとわりついていた。
彼の行くところ、必ず動乱が起こり、人々に不幸がもたらされるのだ。
呂布自身も知らぬことではあったが、それこそ彼を狙う「魔」の導きであった。
漢王朝は今、波乱の時代を迎えようとしている。
裏切り者の代名詞、黒い英雄呂布を描く、「三國志武将列伝」第二弾、ここに登場!
(ブックカヴァーより)
(感想)
1993年に発売された作品。
三国志演義で呂布が登場するのは、養父・丁原に従い董卓に睨みを利かせるシーンだが、本作はそれ以前の若かりし呂布を、幻想的に描いている。
元々は北方の騎馬民族出身と思われる呂布だけにストーリー前半では、どちらかといえばモンゴルの遊牧民の話に近い部分もあり、その点は、他の三国志本とは違った印象。
呂布といえば、自分本位、裏切り者、といった形容がパッと思いつきますが、本作では、それを「妖魔に取り憑かれた」というトンデモ理由にしており、ツッコミたくなるが、昔の人は悪魔や神を非常に信じていたようなので、(実際に、呂布が妖魔に取り憑かれたかどうかはさておき)そういった類のことを信じていても、不思議ではないかもしれません。
もっとも、本作における妖魔は、人の持つ欲望のことであり、これに取り憑かれる前の呂布は、純粋に強くなろうとしていたり、素直な性格を持っている。
そうした純粋さに野心を含めた欲望が加わったことで、人間殺戮機のような呂布が出来上がったんだな〜、と。
考えてみれば、呂布は、あれだけ信用出来ない人間でありながら、陳宮や張遼、候成といった一角の人物が、最後まで従っている(候成は裏切ったけど)
超人的な武力によるカリスマ性はあったのだろうが、それだけではない何か別の人間的魅力もあったのかな〜、と思わずにはいられない。
……でもクラスに呂布がいても友達にはしたくない。