紙の本
凄いですね。
2021/04/02 08:36
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投稿者:ちょびリッチ君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
二人の仲で揺れ動いているのかと思いきや
そうでもなかった。
夫婦のきずなは強いと改めて思いました。
おもしろかった~
紙の本
東野作品第二期の始まり
2020/01/22 23:00
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:テトラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
運命の悪戯、そうとしかいいようのない三人の運命、いや文字通り“宿命”を描いた作品。
晃彦、勇作、美佐子の抱えるやり場のない感情の行方、お互いの間を交錯する想いが届きそうで届かないもどかしさが読み進むにつれて胸に痛切に響いてくる。
典型的な勝ち組と負け組を描いた対照的な2人の人生。自然、読者は勇作を応援する側に回ってしまうだろう。
しかしこれこそ東野圭吾氏が仕掛けたマジックなのだ。
家族のみならず妻の美佐子にも決して心の内を打ち明けず、いつも一人超然と佇む晃彦。彼の真意が終章に至ってようやく読者の眼前に明かされる。このとき、東野氏がマジックを解くのに、指をパチンと鳴らした音が聞こえたような気がした。
とにかくこの3人の人生に纏わる奇妙な結び付きが、冒頭からモヤモヤとした形で少しずつ眼前に差し出されるが、それは眼の前の靄を晴らすのではなく、新たなる靄を生み出し、更に読者を物語の深い霧の中へといざなうようで、居心地の悪ささえ感じた。しかしこれこそ東野ミステリの特徴であり、私はこういう趣向のミステリを待っていた。
本作は三角関係という恋愛小説の色も持ちながら、青春小説の側面もあり、なおかつ明かされる三人の過去には科学が生んだ悲劇という通常相反する情理が渾然一体となって物語を形作っているのが特徴的だ。この絶妙なバランスは非常に素晴らしい。
特に科学の側面を全面的に押し出さず、あくまで人間ドラマの側面を押し出して物語を形成したのは正解だろう。やはり「推理小説」はあくまで小説であるから、物語がないと読者の心に響かない。
個人的には勇作と美佐子が若かりし頃に交際していた件がベタながらも鼻にツンとくるような甘酸っぱい感慨を抱かせ、非常に印象に残ったエピソードだ。読んでいる最中、尾崎豊の”I Love You”が頭の中を流れていた。
しかし東野氏の熱すぎず、かといって冷めすぎない抑制の効いた筆致がありがちな過剰演出を抑え、逆に読者の心に徐々に一つ一つの事実が染み込んでいく。そして最後に明かされる真実が哀切に響いてくる。
ミステリを書く上で、これは最大の長所であり、続けて読んでもくどさが無く、飽きが来ない。これこそ彼の最たる特質だろう。
考えるに、本作は東野氏の第2期の始まりを告げるものではないだろうか。
青春小説のテイストとそれまでに培った科学知識を応用したミステリのハイブリッドを目指した人間に焦点を当てた東野ミステリの始まり、本書はそんな作品のような気がしてならない。
デビュー当時の青春ミステリと違うのは既に大人になった彼ら・彼女らが過去を振り返るところにある。そして事件の鍵がその過去に因縁に深く根差しているところにこの第2期の特徴があるように思う。
また本作が刊行された90年というのは一世を風靡した『羊たちの沈黙』が訳出された一年後である。つまりサイコホラー元年の翌年、世にはこの手のサイコホラー系ミステリが横溢していた。
そして本作もまたこの類いの影響下にあったに違いない。人の心こそ最も怪奇、恐ろしいというこのジャンルは当時画期的であり、東野氏はその側面に脳科学の分野にスポットを当て、独自のアプローチをしたに違いない。そして恐らく本作は後の『変身』に続く里程標的作品になっているだろう。
しかし本作はなんといっても文庫版の表紙のイラストに尽きる。この何の変哲もない屋敷のイラストが開巻前と読了後では全く印象が変わってみえる。
本書がスティーヴン・キングの代表的サイコホラー、『シャイニング』の表紙に酷似しているのは単なる偶然ではないのかもしれない。
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高校時代の初恋の女性と心ならずも別れなければならなかった男は、苦闘の青春を過ごした後、警察官となった。男の前に十年ぶりに現れたのは学生時代ライバルだった男で、奇しくも初恋の女の夫となっていた。刑事と容疑者、幼なじみの二人が宿命の対決を果すとき、余りにも皮肉で感動的な結末が用意される。
2009/09/02 弟から
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学生時代のライバルが殺人の容疑者と警察官という立場で再び対決することとなった。
ラストが切なくなる傑作。
ラストで二人の心が通じた様に感じたのは私の希望的観測だろうか。
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UR電産の社長・瓜生直明の死後、社長に就任した須貝正清がボーガンの矢で絶命した。
その捜査に当たる和倉勇作。直明の長男である晃彦は奇しくも勇作と幼馴染であり、また彼の妻は勇作の初恋の相手でもあった。宿敵とも呼べる晃彦との再会は勇作にとって決して懐かしいものでは無なかった。凶器のボーガンは直明が残したコレクションの一つであり、事件を捜査するうちに勇作は晃彦に疑惑の目を向けるようになる。
文句無く面白いです。中篇という所為か、後半の事件解決が弱冠足早な感じはしますが、きっちりと解決しますし、別角度から浮上した謎も綺麗に片付いてます。
殺人事件自体も面白く読めるが、なんといっても二人の絡みですね。こういう人間模様を書かせたらこの作者はとても上手いです。
「白夜行」や「幻夜」の場合は、その人間模様的な部分に重点を置いてるので、事件自体の希薄感はあるが、これはほぼ同等的に書かれてあるので、推理モノ好きの人も楽しく読めるのでは。でもまぁどちらかと言えば、事件重視では無く、二人の宿命重視ですね。
凝りに凝った本格系が好みの人には物足りない感じはするかもしれませんけど、伏線で置かれている謎が一つ一つベールを脱ぐのはワクワクします。なのでむしろその展開を楽しんで読んで欲しいかと。
そして、著者自らが、最後の一行が気に入ってるというように、ラスト1行がとても良いです。
これは大満足という感じ。ある人物が発する言葉で締められているのですが、こう言って欲しい!という読み手の感情を裏切らない台詞でしたね。
でもって、文庫の組版も良く、頁を繰った瞬間に1行が書かれているという感じで、効果も抜群。“間”の取り方は読み手次第という感じですからね。この組版をした人を尊敬しますよ。ですので“間”を長く取るのか短く取るのかはお好みに合わせてどうぞ(笑)
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UR電産社長、この地域で最も威勢のいい人間は誰かというアンケートを取れば、間違いなくベストスリーに入る人物だ。
公平だな、と勇作は思った。死ぬ時は公平だ。考えてみれば、人間の世界で唯一フェアな部分かも知れない。(p.68)
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「宿命」の意味が最後にわかります。このタイトルの意味が最後にわかるってのは東野作品の特徴なのかな。
よかったんだけども何かが少し物足りない感じかも。
ってかレビューにネタバレ書くのやめようよっ!(←めちゃくちゃムカついてる人)
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おもしろかったぁ〜!!謎解きも気になったが宿命の関係も気になった・・・。
あまり書くとネタバレになるからやめよ!
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――犯人は誰か、どういうトリックか―手品を駆使したそういう謎もいいけれど
――もっと別のタイプの意外性を創造したいと思いました。
――このような題名をつけたのも、そういう意図のあらわれです。
――そして今回いちばん気に入っている意外性は、ラストの一行にあります。
――だからといって、それを先に読まないで下さいね。
著者のことば
東野さんのことばどおりの作品。
あぁ そうだったのか、と頷かされるラストである。
半ばくらいではもっとドロドロした糸(意図)を想像したりもしていたのだが 東野さんはそれほど人が悪くなかったようだ。
結局根本は何も解決されてはいないのだが なぜか未来は明るいような気がしてくるのは 晃彦の気持ちの変化ゆえだろう。
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犯人は誰かという謎解きは特にどうということも無かったけれど、想像もつかなかった二人の宿命にはびっくり。そしてラストの一行が最高! 途中、つまらなく感じた部分もこれで帳消しになった。
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殺人事件におけるトリック、というかなんというかにももちろん感心したんだけどそれよりもメインの二人をめぐる「宿命」そのものの面白さが強い。ぐいぐい引き込まれるストーリーといい段々と明らかになっていく事件の真相と二人の因縁といい物凄く面白かった。
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東野圭吾の宿命を読みました。ミステリというのはあらかじめ隠された謎を主人公やその他の人たちが解明していくものですが、この小説ではその謎が縦横に織られています。物語は縦糸を中心に語られていき、通常のミステリと同じように謎が解明されていくのですが、それにあわせて隠された横糸の模様も浮かび上がってきます。最初のプロローグから最後のエンディングまでつながる横糸が用意されているのでした。東野圭吾の小説はやっぱり長編がいいなあ、と思わせる1冊でした。
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事実は小説より希なりという言葉に挑戦した作品。
感想はこちら。
感想はこちら。http://xxxsoraxxx.blog11.fc2.com/blog-entry-17.html
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東野圭吾さんの小説はほとんどウマが合います。この作品は個人的に好きです。宿命の設定はわざとらしいというか、ありえないだろうという点が微妙ですが。。。
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いやーラストの展開には驚きを隠せません。でも随所にヒントが散りばめられているので解る人は結構途中で解ってまうかも。
読んだ後なぜかスッキリした。