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小谷は行き、須永も逝き、そこには現世の泥の詰った容器が1つ残されていた。お前はまだしばらく泥とともにこの世を生きろというに等しいではないかと田岡は呻いた。
高村さんの短編が5つ、警察官だった男達が、警察を辞めたあとの人生を描いています社会の中の異質になりながらも、それでも自分の信念を曲げられない人達の話です
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【ネタばれあり】
高村作品3作目で、ちょっとライトテイストのものを読みたいなと思い、唯一の短編を選びました。これまでの作品と違い、比較的平易な文体、構成で書かれていたので、読み難いということはありませんでしたが、いずれの短編にも後半部分に少しだけ難解な高村節が顔を覗かせていたと思います。
作品の評価ですが、5作品目の「去りゆく日に」は比較的まとまって作品として完結していたと思いますが、その他の4作品は少々消化不良気味の終わり方だったかなと思います。特に4作品目などは途中までおもしろかっただけに残念です。
主人公がいずれも元刑事(5作品目を除く)で、現在は他の職に就いているという設定はとてもおもしろいと思いました。特に表題作である「地を這う虫」での主人公の行動癖が独創的でおもしろかったです。
作品の読後感としては他の高村作品と同じく、スッキリという訳にはいかず、地味でやるせない印象が残りました。
評価点としては、リヴィエラを星4つにしたので、この作品はどうしてもこのような評価になってしまいます。それと、高村薫はあまり短編には向いてないような気がしました。
高村薫作品: 3作品目読破
読書期間: 2009.1.13~1.19
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先に読んだ文庫版には「去り行く日に」という作品が抜けていると知り、購入。
他の短編も文庫版と内容が異なる作品があり、どっちがいいかはそれぞれ好みだと思うが、「去り行く日に」はこの短編集を締め括るにあたって、読後感の良い作品だと思う。何故消したんだろう?
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・哀訴の花
・地を這う虫
・巡り逢う人びと
・父が来た道
・去りゆく日に
読み応えがっつり保証の短編集。
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警察を退職した者たちの物語の短編集(去りゆく日にだけ毛色が違う、文庫には掲載されていないらしい)
現実的でないようでいながら生々しいのは普段覗くことのない刑事という職業の世界と、そこに生きてきた者の日の当たらない部分にスポットを当てているからか。
物悲しいけど、どんよりとするだけではない読後感。
李歐が自分にハマった高村薫作品、このハードボイルド感がいい!けどやはり重厚な長編がいいなあ。
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刑事物5つの短編集。
4編は警察を去った刑事の物語、残りは退官当日に自分の勘を信じて行動したベテラン刑事の物語。
どの物語も、たばこ臭い、鼻持ちならない警察の男の臭いがプンプンするストーリーです。
警察を去っても、退官間際でも、警察に関わった人間の宿命のようなものを感じさせます。
高村作品に嵌りそうです。
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「人生の大きさは悔しさの大きさで計るんだ」。拍手は遠い。喝采とも無縁だ。めざすは密やかな達成感。克明な観察メモから連続空き巣事件の真相に迫る守衛の奮戦をたどる表題作ほか、代議士のお抱え運転手、サラ金の取り立て屋など、日陰にありながら矜持を保ち続ける男たちの、敗れざる物語
失意の内にあっても誇りを失わない男たちよ。老刑事、国会議員の運転手、サラ金の取り立て屋が見据えた闇の底。
短編が6つで構成されている本ですが、私には少し、重い内容でした。
地味なリアルさが、日陰に身を置く方たちの生活の息遣いが聞こえてくるような感じがして、読んでいる途中から重苦しさを感じ、後味があまり良くありません。
内容的にはそこそこの重量感はあり、
人それぞれ好みはありますが、私の好みではありませんでした。