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人を化かすキツネが出てくるお話ですが、この作品では怪しい技を使ったり変身したりすることはなく、後ろ足で歩いて、服を着て、人間のふりをする、というささやかなイタズラをする、それがホイティという名のキツネです
そんなささやかさなので、人間の目からはキツネだとバレバレなのですが、困ってる旅人のふりをして美味しいご飯をご馳走してもらいに来るホイティを面白がって、たっぷりもてなしてこっそり笑う、仲良し3人組のおかみさんたち…という、女性たちとホイティとの距離感が独特に感じる話です
先日読んだ『遠野物語』なら、人間の服を着て現れた段階で、ホイティは包丁で刺し殺されそうですが、こちらのおかみさんたちは、おいしいカレーなどでたっぷりもてなします 平和!
その後、ホイティはおかみさんがたを調子こいて馬鹿にしだすのですが、それに怒ったおかみさんたちは、ホイティに込み入った罠をしかけて、お前の浅知恵など分かっているんだぞ! と、矜持をへし折る形で叩きのめします でもご馳走は食べさせてやってる おおらか~
旅人をもてなしたり、キツネに対しておおように構えたりしているのって、お国柄なんでしょうか
すごく文化圏が違う手触りを感じました いい意味で
ホイティのぐにゃ~とした仕草や、やけにテンション高く、ぶるんぶるんした動作で踊るネコとかほかのどうぶつとか、それらも見ごたえあります おかみさんたちの家の近くの山というか森というか、それらも生命力にあふれていて、物語全体の精気の強さがすごいなって感じです
一方、日本と同じだなーって感じたところもあって、おかみさんたちが結束が深いところもそうなんですが、お客さんが来てるのに、もてなしたり話したりするのはおかみさんらに任せきりで、旦那さんらが一言も喋らず普通に食卓について自分だけメシを食ってたりタバコ吸ってたりすることです
料理や来客の世話は女性の仕事なんですね 男は何もしやしねぇ
ホイティには苛々しませんが、旦那どもには腹が立ちます
まあ、読者が腹立てる筋合い無いですけど