投稿元:
レビューを見る
『DL2号機事件』
爆破予告のあった飛行機から降り立った男。大地震が起きたばかりの田舎に引きこもり前科者の運転手を使う。男の持つ「信仰」の謎。
『右腕山上空』
気球の上で殺害された元コメディアンの男。現れた男のもと相方。
『曲がった部屋』
呪われた団地に住む人々。団地で起きた殺人事件。夫婦の部屋の奇妙な行動。
『掌上の黄金仮面』
男女の銀行強盗を追う刑事が遭遇した殺人事件。仏像の掌上でチラシをまく男が射殺された。なぜ彼が殺害されたのか?
『G線上の鼬』
連続タクシー強盗が起きる街。タクシーの中で殺害された男。
『掘出された童話』
奇妙な童話を書き。奇妙な年の祝いをする男の謎。
『ボロボの神』
太平洋戦争中に妻の死を悼み自殺したと思われた部族の酋長。態度が軟化した軍曹と帰国途中死亡したその軍曹に隠されたなぞ。
『黒い霧』
黒い霧をまかれた町。なぜ黒い霧をまいたのか?発見された死体との関係は?
2009年9月12日読了
投稿元:
レビューを見る
泡坂妻夫デビュー作を含む、名探偵連作短編
読了日:2006.03.12
分 類:連作短編
ページ:382P
値 段:680円
発行日:1978年5月幻影城、1994年8月発行
出版社:創元推理文庫
評 定:★★★★
●作品データ●
----------------------------
主人公 :亜 愛一郎
語り口 :3人称
ジャンル:ミステリ
対 象 :一般向け
雰囲気 :パズル的要素有、のんびり
結 末 :1話1事件
解 説 :権田 萬治
カバーイラスト:松尾 かおる
カバーデザイン:小倉 敏夫
----------------------------
---【100字紹介】---------------------
泡坂妻夫デビュー作「DL2号機事件」を含む短編集。
長身で端麗な顔立ちなのに、運動神経はまるでなしの
青年カメラマン亜愛一郎、一旦事件に遭遇すると
独特の論理を展開し並外れた推理を展開する…魅力的な全8話。
---------------------------------------
●収録作品一覧 ()は菜の花の覚書
-----------------------------
第1話 DL2号機事件
第2話 右腕山上空 (密室もの)
第3話 曲がった部屋
第4話 掌上の黄金仮面
第5話 G線上の鼬
第6話 掘出された童話 (暗号もの)
第7話 ホロボの神
第8話 黒い霧
-----------------------------
「DL2号機事件」が泡坂妻夫氏のデビュー作であり、第1回幻影城新人賞佳作入賞作品です。以降、全8話のすべてが、雑誌「幻影城」で発表されたもの。掲載はすべて1976年~1977年。菜の花が生まれる前です。
古い作品でありますが、内容は決して古くはありません。今、まさに書かれて出版されてもおかしくないような感じ。ですが、雰囲気はとてもクラシカル。論理展開などはホームズを連想させるくらい。
主人公・亜 愛一郎(あ・あいいちろう)は、容姿端麗・頭脳明晰・長身でお洒落にキメた青年カメラマン…なのに、運動神経はまるでなしで何だか情けなーいという、現在ではそれなりにお約束?かもしれないけれど、とても魅力的なキャラであります。
ユニークなキャラの、クラシカルな論理展開。全体の雰囲気はユーモアを忘れない、一般向けなもの。誰にでも読みやすく、親しみやすく、そしてマニアでも十分楽しめる作品に仕上がっています。
解説は、雑誌「幻影城」や新人賞のこと、ミステリ作家たちの系譜の話、泡坂氏のエピソードなど、ミステリファンなら気になる話題が幾つか。読むと「へえ!」と思うこともあるでしょう。
この亜愛一郎が探偵として活躍するのは3作あり、「亜愛一郎の狼狽」「亜愛一郎の転倒」「亜愛一郎の逃亡」で3部作になっているそうです。狼狽して、転倒して、逃亡してって、まさに踏んだり蹴ったりな可哀想な主人公ですが(笑)、是非あとの2作も読みたくなりました。
短編なので、1話1話の分量はそれほど多くなく、時間のないときでもさらりと読めて、面白いミステリです。
●菜の花の独断と偏見による評���●
---------------------------------
文章・描写 :★★★
展開・結末 :★★★
キャラクタ :★★★+
独 自 性 :★★★
読 後 感 :★★★
---------------------------------
菜の花の一押しキャラ…亜 愛一郎
「…それでね、先生、そのブラキオサウルスの遺骨ですが、トレミー隊が発見したのは、どの部分の遺骨でしたか?」
(亜 愛一郎)
投稿元:
レビューを見る
とにかくユニークな探偵、亜愛一郎。切れるのかボケてるのか、運動神経良いのか悪いのかもまったく不明、つかみ所なし。外見と中身のギャップも甚だしい。でもけっこう好感が持てるなあ。
第一話「DL2号機事件」からしてやられた! この発想はとんでもない! 一瞬「んなアホな」と思いそうになるのだけれど、よく考えてみると、こういう思考ってたしかにある。ここまで極端ではないけれど、こういうこと考えたりするもの。それがこういう形になるとは、してやられた。読み終わってみると、違和感もまったくなし。
投稿元:
レビューを見る
粗筋(アマゾンから引用)
雲や虫など奇妙な写真を専門に撮影する青年カメラマン亜愛一郎は、長身で端麗な顔立ちにもかかわらず、運動神経はまるでなく、グズでドジなブラウン神父型のキャラクターである。ところがいったん事件に遭遇すると、独特の論理を展開して並外れた推理力を発揮する。作家・泡坂妻夫のデビュー作「DL2号機事件」など全8話を収録した。
投稿元:
レビューを見る
主人公の「亜」をはじめ、登場人物達がとても魅力的です。
逆説や意表を突くロジックと真相ばかりの質の高い短編集で、とても楽しいです。
投稿元:
レビューを見る
30年以上前の作品やのに全然古くなくて、情景描写がうまい。
軽いタッチで描かれているけどちゃんとミステリーやし。
短編もおもしろかったけど、今度は長編も読んでみたいな。
投稿元:
レビューを見る
心理的なトリックがなかなかおもしろい。舞台背景とか言葉に時代を感じさせるものの、アイデアには新しいと思わせるものがある。
投稿元:
レビューを見る
おっちょこちょいな美形探偵ってむっちゃ萌えキャラだと思うんだけど。
ピンクパンサーのクルーゾー警部の、なんだかドジな行動してるうちに
事件が解決しちゃった的な。
ちょっとトリックに昭和風味入ってるとこがまたイイ。
三角形の顔の老女は、私てきには牧美也子先生「悪女バイブル」の
変装顔のイメージ。(松本零士先生の奥様でしたっけ)
投稿元:
レビューを見る
とても楽しい短編ミステリ集であった。名探偵亜くんの(本当にアという名字である)ひょうひょうとしたキャラクターもとても魅力的である。が、なんといってもちょっと意表をつくようなトリックが並んでいて、それがすばらしい。
「ホロボの神」という短編がある。これは戦時中の南国の島が舞台なのだけれど、死んだばかりの妻の死体のそばで未開部族の酋長が銃で頭を撃ち抜かれて死んでいる。二人の死体があった場所は一種のテントなんだけど、儀式のものなのでまわり中を部落の者達が目を離さず囲んでいるので、絶対に人が出入りすることはできない。それなのに、自殺ではなくて他殺なのである。さすがにそれは無理だろうって思いながら読んだが、できてしまう。しかも、なんというか機械的なものではなくて、見事に盲点をつかれたって思ってしまった。
そのほかにも魅力的な話がたくさんあり、ちょっとほのぼのとしていていい感じだ。
投稿元:
レビューを見る
まず主人公の名前が良い。なにせ、苗字が『亜』の一文字で名前は『愛一郎』アアイイチロウ。
名乗られても、ほとんどの人はキョトンとしてしまうだろう。
見てくれだって整った顔立ちで女性なら誰もが頬を染めるくらいなのに、運動神経もなくグズなカメラマン。それでも、そこに謎があれば冴え渡った推理で一気に解決してしまう。
この亜愛一郎のキャラもまた良い。推理を披露する時も、オドオドビクビクと探偵というよりもむしろ気の弱い犯人のように話すのだ。
読んでいるうちにこの亜愛一郎の魅力にすっかり魅了されてしまう。時代背景が大分前なので、今の感覚と照らし合わせると違和感を感じる部分がないわけではないのだけど、それでも面白さが損なわれることがないのが素晴らしい。
投稿元:
レビューを見る
めちゃくちゃ面白い作品が揃っております。特に印象的なのが「ホロボの神」。この犯人は酷過ぎるけど、でも根っからの悪とも言い切れない……。ベストは何と言っても「掌上の黄金仮面」。これは思わぬ意表を突いております。
投稿元:
レビューを見る
名探偵字引を作ったならば筆頭に来るであろう、「亜愛一郎」(あ あいいちろう)のシリーズ第一作。
ひたすら理論で真相を解明するミステリ。まさに本格って感じがある。トリックありき、謎ありきの話なので、ストーリーやキャラクター重視の話に慣れていると、若干戸惑うのかも。
印象に残ったのは「G線上の鼬」、ぞっとしたのは「曲がった部屋」。
どの話においても亜愛一郎の素っ頓狂な存在感は、あまりにも探偵っぽくなくて新鮮だった。
投稿元:
レビューを見る
ちょいちょい出てくる三角形の顔の小柄な洋装のおばあさんが気になる~。
次の「亜愛一郎の転倒」にも出てくるかしら。
投稿元:
レビューを見る
マジシャンでもある泡坂氏のデビュー作『DL2号機事件』を含む、亜愛一郎が活躍する短編集です。
泡坂氏が産んだこの名探偵どんな人物かと言えば…
長身で端麗な顔立ちにもかかわらず、運動神経はまるでなく、グズでドジなブラウン神父型のキャラクターである。ところがいったん事件に遭遇すると、独特の論理を展開して並外れた推理力を発揮する…(本文の紹介より抜粋)
と、愛すべきキャラでした。どの作品も独特の謎があり、以前に多少聞きかじった江戸川乱歩の分類に当てはめれば「奇妙な味」に近いなぁ~と思いました。
ミスディレクションによる心理的トラップがいたるところに仕掛けられていて、高名なマジシャンでもあった著者のミステリの特徴がよくわかる作品郡でした。暗号を扱った「掘出された童話」がとくによかったと思います。
コミュニティの投稿で教えていただいた情報によれば、シリーズを通して大きな仕掛けが施されてるとのこと。読んでいくのがすごく楽しみです。
投稿元:
レビューを見る
この本を読んでなんとなく、小五郎や警察の前で事件解決のヒントを喋るコナンくんを想像しました(笑
私が気に入った話は六話の「掘出された童話」は特に面白く、意外な所が伏線だったりしていて面白かったです!