紙の本
先祖たちの激しい情念
2002/07/06 12:36
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ベリ太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
元亀文禄の遺風を残した江戸時代初期は、
我々の想像を遥かに超えた激しい情念の世界に違いない。
むしろ下克上という徹底した現実主義の中での生命の争奪戦の機会の喪失が、
恋、それも男色というものにより激しい情念をもたらしたものであろうか。
恋の為に命のやり取りに及ぶ心理、
我々の先祖たちの生き様と思う時、現代の常識では愚行とされるものであっても、
なにか憧れにも似たさわやかな印象を感じることに否定できない。
この本は、そのような情念を色々な角度からとらえた貴重な文化史である。
数々の挿話は一つ一つ何か特別の印象を読者に残してくれるものと思う。
更にこの読後に例えば西鶴の武家物を読めば興もまたひとしおであろう。
歴史、或いは時代物に少しでも興味を感じる人には、
テーマにとらわれ逡巡することなく是非とも一読をお勧めしたい。
紙の本
武士道と男色。
2002/01/27 01:41
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:凛珠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙の絵──勝川春潮の「喫煙若衆図」がとても美しい。自然味あふれる河岸に座っている少年は、煙管を片手に扇子を広げている。それは、背後からやってきた振袖の少年(年下と思われる)を、歓迎しているように見える。そこには、男と女のものとは違う、爽やかな色香が漂う。
本書は、主に近世の武士社会における、男色の変遷を考察した本である。男色は、戦国時代の武士においては、必要不可欠のものであった。しかし、江戸時代になり世情が安定してくると、男色は廃れてしまった。それは何故か──男色を通して歴史を探る。そこからは、武士道と男色の、意外なほど密着なつながりが窺えることだろう。
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衆道・男色へのとっかかりとしては入門書になると思います。江戸あたりから昭和あたりまでかな?興味ある人は是非。さほど読みにくくなかった気がします。
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江戸の男の性愛史。無類の面白さ。その道に興味のある方に絶対の自信を持ってオススメいたします。日本人の心象風景の一端がここに。
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江戸時代の武士にとって衆道は普通のものだった?仇討ち、嫉妬、義兄弟。異性を介さない、どちらかというと精神的な繋がりを求める武士の恋愛についてを扱う。
読みやすくて新たな発見ができる一冊。
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衆道は「武士道の華」そんなフレーズにしびれちゃう方にはバリッとオススメ。男同士の恋ってこんなにも多くあったんだー。とコンテンツ見ただけで感嘆の声がでました。ワタシが語ると軽く聞こえちゃいそうですが、講談社現代新書から発行されてるってコトからこの書物、とても真面目な教養本です。
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古来の性文化──ことに男色文化(衆道)について、氏家幹人氏の数点の著の中でももっとも読みやすく興味深い。
これを近代男色小説をあさる際のガイドライン代わりにしました(笑)
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現代日本では、いまだに異端視されることもある男同士の愛。しかし衆道の歴史は古く、かつてはごく一般的なものだった、というのは腐女子の常識(笑)。戦場を駆け巡る武士たちを支えた濃密な絆。やおい本は全く読めないわたしも、知られざる男性史を真面目に記したこの本なら読めます。
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まあ日本の男色文化の概説というかなんというか。とある歴史上の人物の名が出てきて吃驚したのも現在ではよい思い出。
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戦国時代の武将から近代の作家達をモデルに、日本の男色文化を考察したもの。
高校の教科書にも出てきたあの人が!?と、色々びっくりしたりすることも。
真面目だけど興味深く読める一冊。
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ジェンダー論の課題レポートを書く際に使用。
武士道における男同士の愛について知りたければどうぞ。
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一言で言えば男色文化の解説本。男女の交わりとは一味違う、なんだか濃密な精神的連帯のようなものを感じました。
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主従や義兄弟の関係の濃密さが、エロス・性愛を匂わせる。
「衆道」と聞くと「男色」と連想してしまうけれど、二人の関係の根本にあったのは強い精神的な結びつき=絆。
お互いが特別だから心も身体も愛したいと思うのだろうし、時には嫉妬や刃傷沙汰になる時も…男同士の恋は命懸けだったんだね。
今では同性愛とかゲイとかBLなんていって、なんだかオープンでカジュアルな感じになっているけど…
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男色の歴史について分かりやすくでも学術的に書かれている本。
勉強になります。
BL好きなだけで歴史に興味のない人にはおもしろくないかも。
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義兄弟って、よく聞くじゃないですか。
時代劇とか任侠の世界とかね。
あれってなんだろう、なんでだろう、というのがこの本を読んだきっかけ。
男同士の友情に必ずしもそういうのが結んでいる、わけではないのでは
とも思うんだけども、どうなんだろうね?
それでもやっぱり実際あったわけだし、学校で教えるのもアレかもしんないけど
そういうところまで日本史で教えられてたら面白かったのになあ。
オトナになってこうやっていろんな本読めば読むほど、
教科書で習った日本史ってなんだったんだろうって思う。
こういうことを前提にして歴史を見直すと、見方が広がるよね。
有名な文学作家のそんな小説なんて全然知らなかったけど、
それもやっぱ教育上よろしくないってことで除かれちゃってるのかな。