紙の本
逆転の発送が見事!
2001/06/17 16:35
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:こじましゅういち - この投稿者のレビュー一覧を見る
久しぶりにいい本読んだなぁ、まったく。この小説は基本的には「吸血鬼ドラキュラ」の続編ですが、柳の下のどじょうに留まっていない。久しぶりに時間を忘れて読んだよ、全く。逆転の発想が見事。何が逆転かって?それはね……。
ヴァン・ヘルシング教授(「吸血鬼ドラキュラ」の主人公の一人)は敗れた。ドラキュラはイギリスに乗り込み、吸血鬼はついにイギリス全土を征服した!英国人は次々と吸血鬼に転化させられていく。だがその治政下、吸血鬼の娼婦ばかりが惨殺されるという事件が発生。闇内閣<ディオゲネス・クラブ>のエージェント、ボウルガードは命を受けて連続殺人犯<切り裂きジャック>の追跡に乗り出す。一方、ドラキュラとは血統を異にする吸血鬼、外見は16歳だが実年齢は400歳以上の少女ジュヌヴィエーヴもまたこの事件に巻き込まれていく……。
舞台にした時代柄か、作者の作柄なのか、はたまた訳がいいのか、なんというか、この本は雰囲気が上品だ。また、この小説の大きな特徴として、登場人物の実に95%が実在の人物、またはこの時代を舞台にした有名無名の小説の登場人物だということがあげられるが、そうした人物たちにも、本当にその時代に生きていたような独特の存在感がある。興味があれば、その元ネタをたどって、原作との違いを知るのも楽しい。また、切り裂きジャックに興味のある人は、それがこの小説上でどのように調理されているか見るのもいい。推理小説のような上質のストーリーを追うも良し。ロマンスに酔うも良し。巻末の登場人物辞典はそれだけで読ませる。ボウルガードかっこいい、ジュヌヴィエーヴかわいい、きゃー、もまた、良し。こういう系統が好きなら、絶対に損はさせないぞ!
紙の本
裏・吸血鬼ドラキュラ!
2001/01/17 04:30
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mamin13 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドラキュラが支配するヴィクトリア朝のロンドンで、吸血鬼の娼婦が次々惨殺される事件が起こる。闇の諜報員、ボウルガードと美少女ヴァンパイア、ジュヌヴィエーヴが切り裂きジャックの謎を探るべく動き出した。
史実と架空をとりまぜて展開していく、裏・吸血鬼ドラキュラ。
とにかくヴァンパイアだらけのこのお話!吸血鬼ファンには涎ものです!
ただ、この本を数倍楽しく読むにはブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」を読んだことがある、もしくは映画などで内容は知っている、ということが大前提になります。あとは19世紀イギリスの史実、小説などの登場人物に多少の興味があるとより楽しめるでしょう。
私も最初は登場人物の多さにビビってしまいましたが、不思議なことにある程度読み進むうち、まったく気にならなくなりサクサク読むことが出来ました(「巻末の登場人物事典」、めちゃめちゃ便利です!)。とにかく過去の小説、映画の吸血鬼が勢ぞろい!
他にも、切り裂きジャックやジキル、モロー博士、シャーロックホームズが好きな人には思わずニヤリのシーンあり!
とにかくいっぱい詰め詰めの長編大作でありました!
投稿元:
レビューを見る
「ヘルシング教授が、ドラキュラを倒すのに失敗していたら」という設定のもと、ロンドンを舞台として繰り広げられるパラレル小説。
……と言ってしまえばそれだけですが、19世紀を舞台とした古今東西の吸血鬼モノ(キョンシーも出てくる(笑))、小説、史実の登場人物や事件がぶちこまれたとんでもなく濃い一冊です。しかも内容が破綻していないのが凄い。
ストーリーの中心となるのは、吸血鬼の娼婦を狙う連続殺人事件。「切り裂きジャック」と名づけられた犯人を追うのは、マイクロフト・ホームズ率いる闇組織の敏腕調査員ボウルガードと、外見は16歳の美少女吸血鬼・ジュヌヴィエーヴ。ジュヌヴィエーヴが主人公でしょうか。一応は。
ネタとされている作品を知っていたほうが楽しめるのはもちろんですが、巻末に出典を明らかにする登場人物事典もついているので、安心して読み進むことができます。
投稿元:
レビューを見る
もし小説『ドラキュラ』のドラキュラが退治されなかったら…という設定で始まるお話。元の『ドラキュラ』をはじめ古今東西の吸血鬼たちが勢ぞろい、さらにはヴィクトリア王朝が舞台なので切り裂きジャックなど史実の人物もゾロゾロ出てきます。ちょっと複雑だけど、これだけの量の情報をきちんとまとめてしまうこの作家はすごいと思う!
投稿元:
レビューを見る
ヴァン・ヘルシングが敗れ、ドラキュラはついに英国全土を征服した。だがその治世下、吸血鬼の娼婦ばかり惨殺される事件が発生。諜報員ボウルガードは、闇内閣の命を受け、〈切り裂きジャック〉追跡に乗り出す。一方、ドラキュラとは血統を異にする吸血鬼の美少女、ジュヌヴィエーヴもまた調査に……虚実ないまぜ、名作の続編!
投稿元:
レビューを見る
ドラキュラ伯爵は実在した。そしてブラム・ストーカーは彼に敗れ去った。伯爵は寡婦であったビクトリア女王と結婚、イギリスを手中に納め吸血鬼たちは歴史の舞台に踊り出る!物語の主人公は、美しい吸血鬼ジュヌビエーヴ。孤高な彼女は「切り裂きジャック」の事件を通じて英国のために働くボウルガードと知り合う…。架空の歴史を舞台に繰り広げられる精緻なミステリー。吸血鬼がここまで堂々として、珍しくもない物語は他にみられません。やましい所のない吸血鬼はカッコイイ!とジュヌビエーヴを見ると、そう思います。
投稿元:
レビューを見る
ブラム・ストーカー『吸血鬼ドラキュラ』で、ヴァン・ヘルシング教授がドラキュラに敗れていたら、というif世界を舞台にした小説なのです。ヴィクトリア女王の夫となったドラキュラが支配するロンドンで、続発する連続猟奇殺人(?)事件!
というかんじで、パラレルワールドでの切り裂きジャック事件を扱ってます。
投稿元:
レビューを見る
これも好きなお話です。
フィーヴァードリームが吸血鬼と人間の間の友情を描いているなら、こちらは吸血鬼と人間の恋愛。
しかも、古今東西のありとあらゆる小説や映画に登場した吸血鬼総出演となれば、面白いに決まってる(吸血鬼フリークなら)。
スパイ物の要素も含んだドキドキハラハラの展開に分厚い文庫も一気に読みきってしまいました。
投稿元:
レビューを見る
ドラキュラとタイトルにあるが、ジュヌヴィエーヴという、ドラキュラより年上の、別の一派の吸血鬼が主役の話。
十六才で吸血鬼になって、ドラキュラより長く生きている女性。読んでいるとどうしても、二十代半ばか後半ぐらいの容姿を想像してしまうが仕方がない。だって、イラストのない小説だから。中身はそれこそ何百年も生きているため、言葉の雰囲気や人生観、思考はやっぱり大人として成熟している。(だから頭の中では彼女の姿がどうしても十代半ばに描けない・笑)
この話。凄いことに、ヴラム・ストーカー(本家の作者)が投獄されている・・・・・・。
はっきり言おう。読みにくい。
神の視点で書いていて、登場人物が多い。上に、脇キャラが「姓」だったり「名」だったり、あげくにあんまりにも当然のように、愛称で書かれたりされたら。誰だかわかんないよ。
ホームズも投獄されているし、ヴィクトリア女王は散々な目にあっているし。切り裂きジャックは、ドラキュラの登場人物、精神科医だったドクターだし。ジキル博士も登場する。
この時代のイギリスのロンドンにいた(?)有名な者はほとんど出ているようだ。
吸血鬼がわんさか増えたロンドン。ドラキュラが女王と結婚して君臨している。
王宮はかなり荒んだが、下町は実のところそんなに変わっていない。
吸血鬼が混じったぐらいで、その荒みように変化はおこせない、ってことかな。
この作品で一番驚いたのは
「高潔なる議員で、電報配達の少年と一度も男色行為をおこなったことのない者など、まずおらぬのだよ」
という首相の台詞だ。英国って一体・・・・・・。
投稿元:
レビューを見る
ヴァン・ヘルシングと対決したドラキュラが、
もし勝っていたらという設定の小説。
大英帝国、名だたる王侯貴族はもちろん、
ヴィクトリア女王が大変なことに。
登場人物がほぼ怪物と化しているのだけど
舞台がイギリスなせいかどことなく上品。
日光をさけて夜にお茶会とかやってたような。
おもしろかった、と思ったことは確かなんだけど、
だいぶ前に読んだのでうろ覚え。
もう一回読まなきゃ。
投稿元:
レビューを見る
ブラム・ストーカー「ドラキュラ」でヘルシング教授が負けて吸血鬼の天下になった、という世界。
ホームズは直接関係ありませんが、主人公がディオゲネスクラブの諜報員なのです。
続編の「ドラキュラ戦記」「ドラキュラ崩御」は未読。
投稿元:
レビューを見る
19世紀末ロンドンを舞台に、古今の怪奇小説や映画、
史実からの膨大な引用をもとに描かれた、怪奇冒険小説。
その手の作品が好きな人は多々ニヤニヤできると思う。
作者のひいきっぷりがよく判るヒロイン・女吸血鬼
ジュヌヴィエーヴはともかく、主人公のボウルガードの
「まともさ」が周囲の異様な面々に押されてやや影が薄いが、
そのことも膨大な引用を際立たせるための設定と
言えるのかもしれない。
巻末に登場人物の出典(架空作品の引用か実在か作者の創作かを
問わず)があるので、読み進めながら「これ誰だろう?」と
思ってもすぐに確認できるのは親切。
続編もあるが、本作が一番よい出来。
作者はジャック・ヨーヴェル名義でジュヌヴエーヴが
登場するダーク・ファンタジーも書いている。
投稿元:
レビューを見る
ブラム・ストーカー著「吸血鬼ドラキュラ」の結末で、もし最後にヴァン・ヘルシング教授が敗れ、ドラキュラが勝利をおさめていたら…という世界。むかーし昔に読んだドラキュラ譚は記憶に微かなのでまずはジュブナイル版で復習してから読んでみた。アルバート公亡き後のヴィクトリア女王と結婚したドラキュラは、プリンス・コンソートとして吸血鬼が闊歩、支配する新たな英国を作り上げていた。国民が次々とヴァンパイア化していく混沌としたロンドンで、吸血鬼の娼婦ばかりを狙った連続殺人事件が起きる。そこで闇内閣ディオゲネス・クラブの密命を受けたボウルガードが事件解決に乗り出す。そしてまた、遥か昔15世紀から吸血鬼として生きてきた少女ジュヌヴィエーヴも事件の渦中に巻き込まれていく…。この架空の世界に、現実におきた「切り裂きジャック事件」を柱とした物語を展開させ、ヴィクトリア朝を中心に歴史上実在した人物や、ヴィクトリア時代に書かれた小説の登場人物までもが生き生きと活躍する、史実と虚構とを絡めたボリューム満点(550頁)な物語。親切にも、巻末には登場人物事典が実在、架空問わず一通り掲載されている(これだけでも50頁!)。あらすじで触れたディオゲネスクラブとは、ご存じシャーロックホームズ譚でホームズの兄マイクロフトが属する、会話厳禁・人見知り紳士達のクラブだし、マイクロフト自身もクラブの議長として登場している。他にもSHお馴染みのキャラ多数登場。スコットランドヤードのレストレイド警部にモリアーティ「教授」、『空家の冒険』のモラン大佐など。英国文化人の名前も多数見られ、こうした名前や背景を想像しながら読むのもなかなか楽しい。だが、いかんせん人物が多すぎるのと、長生者(エルダー)や新生者(ニューボーン)、闇の父などの専門用語溢れる吸血鬼ありきの世界の仕組みがなかなか読みこめなくて苦労した。そもそも吸血鬼にガブリと血を吸われただけで即吸血鬼になると思っていたので、この世界では温血者(ウォーム・非吸血鬼)が血を売って生活の糧とする者もいるという記述に、それは成り立たない商売なのではとか疑問に思ったりして(どうやら血液の交換によって吸血鬼になるらしい)。殺人犯は最初からあからさまなので(だって名前が^^;)、犯人当てではなく、ボウルガードとジュヌヴィエーヴが犯人に迫っていく過程を楽しむのが良さそう。ANNO DRACULA by Kim Newman 1992
投稿元:
レビューを見る
かのヴァン・ヘルシング教授がドラキュラ伯爵に敗北した世界を描く架空歴史小説。吸血鬼となった人間と残った人間達とが共存するロンドンが虚実織り交ぜながら描かれます。特筆すべきはやはり登場人物の多さ。古今東西の小説や映画から数多くのキャラクターが登場し、作品世界に違和感なく溶け込んでいます。巻末には訳者による人物辞典があり、それを眺めるだけでもニヤニヤできます。作者はオタクですね。
主人公は、切り裂き魔を追う諜報員のボウルガードと、四世紀半を生きる見た目16歳美少女のジュヌヴィエーヴ。ジュヌヴィエーヴがとにかくかっこよくてかわいい。
投稿元:
レビューを見る
面白い!文句なく面白い!
ヴァン・ヘルシングは破れ、ドラキュラ伯爵はエリザベス女王と結婚し、大英帝国の権力を握り、ロンドンは吸血鬼の都と化した。
その頃、ロンドンでは吸血鬼の娼婦ばかりを襲う殺人鬼「切り裂きジャック」が現れる。
闇内閣「ディオゲネスクラブ」の諜報員ボウルガードに切り裂きジャック追跡の命が下る!
登場人物の95%が実在、あるいは他のフィクション作品の登場人物、というすさまじい小説。
巻末の人物事典がすごいことになってる。
最初は誰か出てくるとこの人物事典を見つつ読んでた。
おかげでテンポ悪くなってイマイチ。
途中から人物事典気にしなくなったら、テンポよくなって面白くなった。
作者は吸血鬼大好きなんだろうなー。
吸血鬼作品が持つ淫靡性、退廃性なんかが十分出ていて、それがまた19世紀ロンドンって舞台にあってて、良い感じ。
主人公の一人ジュヌヴィエーブもかわいいし(見た目16歳にして400年を生きたエルダー。どこのライトノベルだw)、おすすめです