紙の本
何も考えてなさそうで実は考えていそうで、やっぱり実は何も考えてない人
2001/02/14 21:14
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:つる - この投稿者のレビュー一覧を見る
私がタイトルに使ったのは、ある後輩が、卒業していくサークルの先輩に贈った言葉だ。その先輩というのが、いつもバカばかりやっていて、まじめな顔なんか見せたことなくて、だから逆に「実は心の奥でいろんな深いこと考えてる人かも」とまわりに思わせ、結構もてた人だった。しかし私の後輩だけは見抜いた。実はやっぱり何も考えてない、ただの明るいだけの人だったということを。
これと同じ誤解をこの本は起こさせるような気がする。私に言わせると、物事をわかりやすく言えない女、自分にしか通じない表現でものを言う女、優柔不断な女、まずそれを神秘的と誤解。それは無口な男が哲学的な男と誤解されるのと似ている。
なんかだまされた気分になる。
もっと本当の魅力や個性を持った人を登場させてほしかった。
電子書籍
もう少し
2021/07/12 23:43
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
後半は、おもしろくなるかな……と期待して読み進めたのですが……期待ほどではありませんでした。というか……いまいち、主人公に共感できなかったせいがあるのかもしれません。
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今まで読んできた村上作品と、一読して匂いというか、手触りというか、非常に感覚的な部分だけれども、その「何か」が「違うな」と思ったのが一番大きかったです。
タイトルをワタシなりに意訳すると、「ここではないどこか(へ行くことを焦がれている。もしくは行けなくても、ここよりましな何かが存在することを心に想像する事)」となります。
そして、それはまさにそのままこの小説の内容に通じると言えるようにワタシには思われました。
そういう話です。
主人公である「僕-はじめ」が、「そのここではないどこか」との関わりをどうしていくのか。
またはどうなっていくのか‥は、実際読んでみて、それぞれの解釈によって違うような気がすごくします。
ところで。
村上は一人称小説が多いのだけれども、この作品では「まっとうに一人称」していてワタシは内心で驚嘆しました。いわく、「僕-はじめ」が知ること以上の事は明らかにならない。のです。逆に言うと、もちろん「僕-はじめ」が知らないことは(つまり彼に語られない第三者の「話」は)わからないまま、物語は終わっていくのです。読者にも「謎」のまま。
ということは、その「謎」を「解く」事がこの作品のテーマではないということではないか。ともワタシには思えます。
おそらく、「謎」を提示された「僕-はじめ」のその心の動きや対応などの方に作品のテーマが存在しているように思われるのですが。(「謎」はこの場合単なる「自己-僕-を映す鏡」でしかない?)
その様に考えてみると、この作品はちゃんと行き着く先まで行き着いて終わっているなとワタシには思えるのです。
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喪失感漂う作品。足の悪い少女、島本さんの子供時代は読んでいて切ない。一人っ子が抱える独特の感性を共有する二人。島本さんの転校で離れるが大人になった二人は偶然再会する。主人公のハジメのようにいつでも自分は何かを損ない続けていると感じながら生きる人には妙に惹かれてしまいます。
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一番最初にこの小説を読んだとき、話の中の一人になりたいって思った。どこかで関わりたいって思った。なぜだかわからないけど。
個人的な理由で一生忘れられそうにない小説。
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珍しい1冊完結モノ。かつて一人っ子同士で惹かれあった男女が37歳になって再会し、激しく惹かれあう。若いときに惹かれあった人に会いたくなる、そんな本ですね。
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幼稚園のとき、小学校のときの記憶があまり残っていない。中学生のときに劇的な出会いをした感じがしない。幼馴染の女の子がいない僕にとっては、どこか欠落したまま読み進めることになった。将来誰かを思い出すことがあるのだろうか。
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読み終えるのに時間がかかった。 村上春樹っていうことで、最後まで読んだけど、うぅぅん。最初のほうは読みにくかった。ラスト50ページくらいは引き込まれたけど。
でも、知りたいところが書かれてなくて(島本さんについて)すごく消化不良!そこが良いところなのかもしれないけど、いや、っ無理!知りたい!
全体を通してみたら、前半はむしろつまらないし、後半は消化不良だし。
でも、まぁ、そういうもんなんでしょう?
普通の恋愛小説。ただ、村上春樹らしく、というか小説家らしく、抽象的で美しい?と言う効果を狙う発言多し。
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”今の僕という存在に何らかの意味を見いだそうとするなら、僕は力の及ぶかぎりその作業を続けていかなくてはならないだろう” 日常に潜む不安というものを捉えたこの作品は自分の心の中にも響いてくるものがある。平穏で恵まれた生活。でもそこには何か欠けたもののようなものを感じる時がある。それに手を出した時平穏な生活は全て音を立てて崩れるかもしれない。今回も村上氏らしい終わり方であった。それがなんとなくすがすがしい。
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どの作品にも、どんなテーマが違っても、
何となく「僕」の中に見つけてしまうものがある気がする。
それは、若い頃には皆が持っていて、年をとるに従って
少しずつ損なっていくもの。
失くすことは間違いではなくて、悲しいことでもなくて、
自然なことで、立ち止まる日にしか、失いつつあることに
気がつきもしないような、そんなもの。
過ぎ去って振り返れば、そういえば…といった類のもの。
生き方をずっと考えて、
取るべきものと捨てるべきものとの狭間に立ち竦む今のこの年齢の
私が読むから、感じられる何かがあるのかもしれない。
私は、年を重ねていく過程で自然に手放すべきものに、
今も囚われていて、うまく生きることができずにいるのかもしれない。
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激しくせつない。鬼せつない。
彼女は、10か0かどちらかだった。すべて取るか、あるいはまったく何も取らないか。
その点では『ノルウェイ〜』の直子と同じ人間と言えるかもしれない。二人とも、「すべて取る」ということが不可能であると分かっている。ホントにせつない。
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村上春樹の長編ファンなんですが、私にとって、これは中国行きのスローボートと並んで二大短編ベストです。
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『そしてある日、あなたの中で何かが死んでしまうの』『死ぬって、どんなものが?』『わからないわ。何かよ。東の地平線から上がって、中空を通り過ぎて、西の地平線に沈んでいく太陽を毎日毎日繰り返して見ているうちに、あなたの中で何かがぷつんと切れて死んでしまうの。そしてあなたは地面に鋤を放り出し、そのまま何も考えずにずっと西に向けて歩いていくの。太陽の西に向けて。そして憑かれたように何日も何日も飲まず食わずで歩きつづけて、そのまま地面に倒れて死んでしまうの。それがヒステリア・シベリアナ』(p245)
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いやあ、いいっすね。久しぶりにむさぼるように読書をしてしまった。目が疲れて、読むことを体が拒否しても読み続けるのをやめられなくって最後のページまで一気に読んでしまいました。
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一人っ子の僕。小学生時代、同じく一人っ子の島本さんと仲良くなる。お互い絶対的な存在だったのに疎遠になってしまい、25年後再会したとき僕にはすでに家庭が――主人公の言う欠落感や孤独に共感できる人には、読むのが辛いくらいハマる一冊。