紙の本
<哲学>に驚いてみませんか?
2001/07/14 16:29
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投稿者:TGW - この投稿者のレビュー一覧を見る
テツガクというと、なんだか小難しい、高尚なガクモンのようにとらえられる。青白い顔をして眼鏡をかけた少し神経質そうな中年の男が、一人薄暗くカビ臭い研究室に閉じこもってすごく昔の人がいったよくわからないことに一人没頭している、そんなイメージがないだろうか。
一昔前『ソフィーの世界』なる哲学の入門書と称された小説が爆発的に売れたが、あれは先人が残したものを(しかもわかりやすいように歪めて)なぞってみせただけのものだ。正直なところ訳もそれほどよいとは言えず、何度も挑戦してはそのたび挫折する本だ。
その点、この本こそ本当の「哲学入門」にふさわしいといえる。この本は著者が自分が実際に考えたことをたどる「生きた哲学」にあふれている。哲学とは教室で先生から教わるものじゃない、疑問に思ったことにとことん真摯に付き合う態度のことだと教えてくれる。
紙の本
書評にならない書評ですが…
2002/11/24 13:20
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投稿者:PATA - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は「ぼくはなぜ存在するのか」「悪いことをしてはなぜいけないのか」という、筆者が幼少時代に抱いた2つの疑問に対してどのような考えを廻らしてきたのかについて書かれた書物です。では、その考えとは一体どのようなものであるかというと、それはここでは書くことができません。何故ならば、ある人の〈哲学〉を他人が要約することなどできないということこそが、筆者が強調して止まない点だからです。
では、評者として本書のどこを評価するのかというと、次の2点です。第1に、本書が徹底して自分(だけ)の問題を解くために哲学を行っていることです(これこそが、先ほどのカギ括弧付きの哲学の意味です)。筆者は「こう考えよう、こうしよう、と呼びかけるタイプの言説を、ぼくは決して哲学とはみなさない(202頁)」うえに、本書を哲学の入門書でありながら、「入門すべきその門は、この本の中にはなく、あなた自身の中にある(212頁)」と述べています。これこそが、筆者が本書で最も強調したい点であり、その強調が徹底されている点は多いに評価すべきでしょう。
第2に、これも筆者が読者に対して送りたいメッセージでありますが、「たとえ『哲学』と出会わなくても〈哲学〉をすることはできるし、それは有意義なことだが、逆に、〈哲学〉とつながらない『哲学』はまったく何の意味もない(70頁)」というメッセージに非常に共感を持ちました。大学で哲学の講義などを受講して感じることですが、「哲学概論」などを受講しても何一つ哲学なんて身につかないし、哲学史に詳しくなっても、それは歴史に関する知識以上の何も得ていないと思います。この思いが、全くそのまま筆者の考えとマッチしました。
「哲学」ではない〈哲学〉とは何なのかを知るだけでも、本書を読む価値はあると思います。
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最高の入門書
2000/08/19 00:09
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投稿者:TAC - この投稿者のレビュー一覧を見る
永井氏が子供のころに抱いていた二つの疑問について書かれています。二つの疑問というのは「なぜぼくは存在するのか」と「なぜ悪いことをしてはいけないのか」というものです。難しい専門用語などは一切使われていないが、とことんまで論理的に考える哲学の面白さは全く失われていないように思う。哲学の入門書としては最適の一冊ではないだろうか。
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〈子ども〉は存在そのものの不可思議さに魅せられ、〈青年〉は生き方と人生の意義を問い、〈大人〉は秩序の維持を考え、〈老人〉は死と向かい合うための哲学を欲する。このうち後者3つはそれぞれ文学・思想・宗教で代用できるが、〈子ども〉の哲学には代用品がない。それこそがほんとうの「哲学」ではないか、というのが、著者にとっての哲学観だ。これに少しでも「ドキッ」とした人、自分の中に少しでも〈子ども〉の部分を見つけた人、そういう人たちに読んでほしい本。
著者の表現をもう少し紹介する。ウィトゲンシュタインは哲学を潜水に例えたというが、人はみな、水中に潜ると自然に浮く。しかし、水中に沈んだまま浮かび上がってこれないとしたら、その人こそ「哲学」を必要としている人だ。つまり、何らかの〈子ども〉の問いに絡みとられ、それを何とかしなければ前に進めないような人、そういう人が生きるために必要とするものが「哲学」である。こう考えると、哲学というものが特別頭のいい人のためだけのものではなく、世の中の大半の人が必要としているものなのだ。
そこで、著者は自分の言葉で語る哲学を説く。この本は、生きるのに苦しんでいる人全てへの応援歌だ。こういう本に出会えたのは本当に幸せなことだと思う。
文章は易しく明快、文字も大きく簡単に手に取れる「哲学入門」入門書。
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・子どものため、というタイトルから哲学史やある哲学者の思想を平易に解説したもの、と思いがちだけれど、まったく違う。なぜならそもそも“哲学”という言葉の意味が現在の一般的意味と異なるから。永井にとっての哲学とは、「なぜ」という疑問を徹底的に考えるその過程のこと。その結果を
過去の産物として提出したものが
今言われている“哲学”(永井流でいう“思想”) ・哲学とは、永井や(恐らく)中島義道のように、根源的な問いに取り付かれてしまった人が、社会的に役立つか否かといった評価基準を一切抜きに、人生の一部として抱え込んでいくだけのもの。 ・結論。私は永井の言う哲学を実行する人間ではない。
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What are the differences between you and I. What does decide the elements?
I really want not to forget to ask "Why?".
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著者の「〈子ども〉の哲学」を、著者同様に回りくどく生まれてしまった少年少女へ向けて書いたものらしい。〈子ども〉といっても、それは幼稚であったり生意気であったりするものではなく、自己目的化された真の哲学であるという。著者はこれを、〈青年〉や〈大人〉、〈老人〉の哲学を設定することで、これらと〈子ども〉の哲学との差異について述べている。ニーチェもウィトゲンシュタインもやはり、その意味で〈子ども〉だったというから面白い。
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第3回後半:
第一の問い なぜぼくは存在するのか「一 独我論を巡って」...(06.12.28)
第15回:授業中におしゃべりをしてはいけない
第二の問い なぜ悪いことをしてはいけないのか「一 もう一つの問題」...(07.02.17)
第24回:なぜ善いことをすると褒められるのか
第二の問い なぜ悪いことをしてはいけないのか「二 誰も教えてくれなかったこと」...(07.03.06)
第41回:なぜ哲学はつまらないのか
「はじめに」「問いの前に」〜...(07.04.28)
第46回:なぜ悪いことをしてはいけいなのか
第二の問い なぜ悪いことをしてはいけないのか「三 まやかしの必要性」...(07.05.26)
第55回:今さらだけども哲学って何?
問いの後に「哲学とは?」...(07.08.11)
第67回:なぜ悪いことをしてはいけないか
第二の問い「四――ぼくが感じていた問題の本当の意味」...(07.10.11)
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著者のいう<大人>とは、「わかっていないということを忘れてしまっているひとたちのこと」を指す。哲学ができるのは、問いを手放さない<子ども>だけだ。哲学をするために大切なことはただひとつ、「子どものときに抱く素朴な疑問の数々を、自分自身がほんとうに納得がいくまで、けっして手放さないこと」である。哲学とは、ソクラテスとかデカルトとかカントとか、他人の哲学を研究し理解することとは全然ちがう。このような著者の哲学観にわたしは強く共感する。わたしもまた、子どものころにひとりで勝手に哲学をはじめてしまった者のひとりだからだ。
だが、だとしたら、この本や『子どものための哲学対話』などの本で著者の紹介するいくつかの考え方をなぞるという行為をどう考えればいいのだろう?これは上に述べた著者の哲学観に反することではないのか?という疑問が浮かぶ。とはいえ、彼が書いた彼の思考や彼が書いた対話編をなぞることは、なかなか楽しい。特に彼が独断論に関する自分の誤解を解くあたり。彼は、独断論の問題とと自分の問いを区別することによって、自分の思考をさらにつきつめて考えることが可能になったように見える。ということはきっと、自分のものではない他の人の哲学に触れることはやはり無駄ではないのだ(自分の問いを手放さないかぎり)。様々な思考の道筋を学ぶことによって、自分が思考の地図の中のどこにいるのかを知ること。自分の問いが何ではないかを知ること。そのために他の人の哲学を利用することは可能なのだろう。
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この本を読んでも、読んであれこれ考えても、一銭ももうからないだろうことは断言してもよい。それでも考えずにはいられないという方のために。
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友人に勧められて購入。
「自分とは何か?」 「なぜ良いことをしなければならないのか?」 の問いに対して、著者の考え方の展開をなぞりながら、自らも考えを展開できる本。
自分以外の周りの世界はハリボテ(作り物)ではないかと、子どもの頃思ったことがあったので、興味津々で読みました。
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哲学の本質って、こういうことなのかもしれない。小難しい哲学史の本よりも、よっぽど哲学そのものの世界へ、ぐいぐい引っぱって行ってくれる貴重な本である。問いを発し、それを徹底的に論理的に、思考をめぐらす行為が「哲学」なのだと。著者は著者の問い、〈私〉について、〈道徳〉について、みずから哲学してみせることで、読者は哲学の「現場」を目の当たりにする。日常、ほかのだれも出さないけれど、おのれにわきあがってくる問いを、「そうか、ためらわず問うてもいいのだ」という、ある意味の勇気を与えてくれる本でもある。
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哲学は内から沸いてくるものである、という主張は同感。哲学史とか確かに退屈だもの。いかにカントがすべてを述べたとはいえ。
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哲学は哲学すると哲学じゃなくなるってことがよくわかった
私は水の上にいるのかな、それとも水の中にいるのかな
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いかに生きるべきか・・・・
自分とはなにか・・・・・・・・
永遠の問い。
何が正しくて
何が間違いなのか
そんなことで悩むあたしには
ぴったりの一冊かなー。