紙の本
読者も心臓を貫かれたような気になる
2021/06/06 18:04
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投稿者:719h - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品を、村上春樹氏による
日本語の訳文で読めるというのは、
日本語人読者にとってはまさに僥倖でしょう。
深くて重い読後感は、10年以上を経ても
少しも変わりません。
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著者の幼少時代の家族背景とその実兄が殺人者になるまでのストーリー500ページ以上にも及ぶノンフィクション。村上春樹翻訳。「ある種の精神の傷は一定のポイントを超えてしまえば人間にとって治癒不能なものになる、それはもはや傷として完結するしかないのだ。」重かった。
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アメリカで暮らして、また違う角度から読むことができた。
この国に渦巻くどす黒い怒りが間違った形で噴出してしまった結果の事件なのだろうが。このマイケル ギルモアに結びつくのが、Almost Famous(映画)とジェイムズ エルロイのわが母なる暗黒。
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血は流されなくてはならない。アメリカで本当にあった殺人事件を、犯人の弟が本にしたもの。長かった。いかんせん長い。でもいい。
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今となっては日本でも残虐な事件が多発し、各方面で分析や評論がなされていますが、発売された当時はかなりの衝撃でした。文体が少々大げさで、暑苦しくもナイス。
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ひとつの物語を語りたい。
殺人の物語である。肉体の殺人であり、
精神の殺人の物語である。
僕はこの物語に出てくる
死者たちの事を知っている。
彼らがなぜ他人の死を作り出したか、
なぜ自分の死を求めたのかをしっている。
ここから立ち去りたいと望むのなら、
僕は自分の知っていることを
語らなくてはならないのだ。
だから、さあ、話をはじめよう。
僕の兄は罪のない人々を殺した。
名前をゲイリー・ギルモアという。
プロローグより
弟が書いた、虐待の連鎖の話です。
本人があがきながら、必死に道を探している。
苦しみが伝わってきて、やるせない本です。
「『心臓を貫かれて』を訳したことによって、僕が
1人の人間として学ぶことの出来たものは数多くあった。
予想を越えて数多くあった。
……
この本にはなにかしら心に深く染みつくものがある。」
訳者、村上春樹談
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かなりハードな本です。勿論ページの厚みじゃなくてね。きついです。でも、一気に読みました。言える事、言わなかった事、そうして思う事、決めた事。家族それぞれ人生があります。簡単な本ではありません。表現や言葉が難しいという事ではありません。長過ぎるという事でもありません。簡単ではないのです。
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人生が変わった作品。
どうにもこうにも読みにくく、3分の2くらいは苦痛だったけど、最後の3分の1で本当にこの本のすばらしさを思い知らされる。
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道路に面した白くてぼろい家のドアにある網戸の奥が暗い廊下。右手に奥から上がる階段がある。強いイメージ。
発売当初に読んだが、強く、本当に暗く、それでいて読むことをやめられない作品だった。
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4人の息子と父と母、その壮絶たる生き様が、
この1冊の本になった。
愛情の表現一つとっても、
やり方を間違えれば、暴力にもなる。
間違った愛情を受けながら育った子供は、
さらに間違いを重ねる。
死と隣り合わせに生きた、この一家から受けた衝撃は、かなりショッキングであり、
考えさせられる要因となった。
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殺人事件だとかに関心のあった、お馬鹿な子供だった頃読んだ本。
何気に村上春樹が翻訳しているし。何が原因で殺人を犯すのか、なんてはっきりした理由は結局誰にも分からないんだけど、なんとなく分かったような気持ちにさせてくれる本。
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自ら望んで銃殺刑に処せられた殺人犯の実弟…。
兄と家族の血ぬられた歴史、
残酷な秘密を探り、
哀しくも濃密な血の絆を語り尽くす。
全米批評家協会賞受賞。
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激しい暴力とあがらえない大きな力について。
愛を求めるたび暴力で報いられる。美しい理想を持って望まれ、暴力を持って作られ発展したアメリカ合衆国という国そのもののような小説。
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これを手に取るにあたって多少の覚悟を感じた。
しかし避けては通れぬ道だとも納得している。
なにはともあれ、辛く悲しく、そして絶望的な絆を描いたマイケル・ギルモアの強い精神に尊敬する。
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何度も読み通したい本ではないけれど、何度も読み返したい本ではある。
j結構なボリュームで読み通すのにも体力や気力が必要だけれど、
読む価値がある。価値観が変わる、とまではいわずとも
人間のある種の側面について見方が変わる、かもしれない。
村上春樹はトラウマのクロニクル、というふうに評しているけれど
確かにそうだよね。
幽霊話がいろいろとでてくるけども、そういう表現(あるいはそれは事実なのだろうけど)
が必要とされる意味がよくわかる。