紙の本
「創唱宗教」と「自然宗教」の補完関係
2011/03/19 09:32
6人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Genpyon - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本人はなぜ無宗教なのか。
著者は、日本人は「自然宗教」としては宗教心豊かであるのだが、「創唱宗教」への忌避心から自身を無宗教と規定するのだという。超自然的なものへの畏敬の念はあっても、特定の神仏への信仰は忌避されている、といった感じだろうか。
例えばクリスマスという行事がキリスト教に吸収されていったように、通常、各民族が持っていた超自然的なものへの畏敬の念は、伝来した「創唱宗教」が吸収していき、「創唱宗教」のほうが、その民族の宗教として発展していく。
ところが、日本の場合、仏教という「創唱宗教」が伝来したにも関わらず、伝来した仏教のほうが「自然宗教」を補うための「葬式仏教」として取り込まれてしまった、仏教は日常主義に妥協してしまった、と、著者は論じる。
妥協という言葉が示すとおり、「創唱宗教」が「自然宗教」を補っている状態こそが宗教的に豊かな状態、と著者は考えているようなのだが、おそらく、これは宗教者の信念のようなものだろう。本著では「創唱宗教」が浄土真宗に偏っていることもあって、形を変えた布教では?との印象を所々で感じるのが残念だ。
本著では、明治以後の国家神道の政治的導入というレベルでも日本人と無宗教についての論述が行われており、柳田国男をはじめとする多くの興味深い引用もあいまって、文量以上に読み応えがある。
紙の本
宗教アレルギーを取り除く
2001/05/07 19:53
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:矢玉四郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
政教分離の呪文におかされて、日本人は宗教という言葉さえも口にすることをためらう。およそ人間が生きている限り、広い意味での宗教と無関係ではありえない。
日本の戦後の思想は宗教をことさら無視してきた欠陥思想だ。これを冷静に検証するために、まず語句の整理をしなければならない。この本では、「自然宗教」と「創唱宗教」の二つに分けてのべている。宗教を考えるときの混乱を未然に防いでくれる。
わかりやすく書かれているので、お薦めだ。
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曖昧な日本人の宗教観はいかにして生み出されたかという解説本。
日本では、とかく宗教というと、うさんくさくとらえられがち。
でも、子どもは、親の生き様を見ながら育っていく。子どもにどんな生き様を見せ、何を伝えたいのか、それを考えるにあたって、自分の宗教観をもやもやしたままではなく、クリアにしておくことは、大切なことなのではないかと思うのですが、これを読むとかなりクリアになります。
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創唱宗教と自然宗教、そう、どっちも宗教なのだと気付く。
そして、私も宗教を持っているなぁ、と思うのでした。
日本仏教も捨てたもんじゃねぇ!っとおもう。
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日本人がためらいなく「無宗教」というのにどうしてもわだかまりが消えずにいた時、書店で手に取った本。こういう歴史があったのかと納得できた。でも宗教に対する意識の低さが明治維新後尚も続いているというのはあまりに悲惨じゃないかとも思う・・・。
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アメリカ人ってほとんどみんなキリスト教徒だったり、宗教色が濃い国だけど、日本ってホント宗教感覚があんまりないというか、気にしてないというか。宗教っていうより生活の一部になっちゃってるんだよね。
うちは無宗教です。
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著者の指摘どおり、「よくわからないけど(から)怖い」と、ただ宗教を避けているだけでは無知・思想の放棄につながり、さらには危ない宗教にころっとだまされる危険性がある、と反省。
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日本人はなぜ「無宗教」を標榜してうたがわないのか、という問いを日本という土壌から分析していった本です。浄土真宗に対する予備知識がちょっと必要かなと思いましたが、宗教心を失うことと人に対する見方が浅くなることとの結びつきなど、なるほどなと思える部分がたくさんあったのでよい買い物をしたと思いました。
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仏教葬式や神頼みをするにも関わらず、信仰について尋ねられると「無宗教」と答える日本人。では、日本人の言う「無宗教」とはいかなるものかを記した一冊。
先祖を敬い、盆や彼岸に当たり前のように墓参りをするだけでも信仰心はあるやん、と思っていた自分の宗教観?に説明をつけてもらえた感じ。
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日本人はなぜ無宗教なのか?日本人は本当に無宗教なのか?「無宗教」とは…?
そんな日本人の宗教観について歴史的な側面から考える。
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簡単にまとめてしまえば、日本人はたとえば神道や八百万の神々などの「自然宗教徒」であるのに、なぜそれを標榜せず、自らを「無宗教」であるとしてしまっているのか、といった内容です。
それについてが、今までの日本や近辺諸国の歴史に触れながら書かれています。
すごくわかりやすいし、読みやすい。
そして、自分の意見というものを持ちやすくさせる内容で、大学入学前の導入としては、最適な本だと思います。
ただ、途中でズラズラと日本の歴史について書かれていたのは、ついつい読み飛ばしてしまいたくなりましたが……。
そこはご愛敬、ということで。
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この著作で僕を印象付けた言葉がある。それは「葬式仏教徒」という言葉だった。
どうやら僕の家族もそれに相当するようだ。
たしかに自分は特定の宗教を信仰しているわけでもないわりに、初詣や墓参りや法事などといったものには参加してる。そしていづれ自分の死後は自らの意思とは離れたところで仏教徒となり、「向こう」の世界で修行に励むことになり、お寺の墓に埋葬されることになるのだろう。
本著を読んで自分の宗教観あるいは死生観というものを考えさせるきっかけのひとつとなった。
本書では日本人の多くがなぜそのような宗教の接し方になっていったのかを分析している。
詳しい内容は覚えていないが、特定の宗教を信仰していない人は一読してみるといいと僕は思う。
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日本人も感じていることとは思うんだけど、日本人の無宗教は決して非宗教ではなくて
特定の団体や宗教に所属してしまうのを嫌っているだけともいえる。
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いつも「無宗教です」と言い張っている自分にどこかしら疑問を抱いていた。
だって初詣とかお参りとかするし。
海外の友達に、 「無宗教?どうして?無宗教なのにお参りとか行くの?」
と質問されてもいつも答えられなかった。
そして、 うーん・・・と思っていた時に発見したこの本。
歴史を辿ってみれば、日本人は神仏に深く関わってきていた時期が長い間あった。
でもいつからか、私を含め「自分は無宗教」と思う人が多い今の日本。
これはどうして?
今までに一度でもこういう疑問を抱いたことがある人には、是非おすすめです。
ちょっと専門的な部分もあるから、完璧に理解できなかったけど。笑
日本という国を理解する上でも、すごく勉強になる一冊だと思います。
ためになりました!!!
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世界的には神道の信者だと思われている日本人。
でも、実際ほとんどの人は、
お葬式は仏教式。
クリスマスもバレンタインも祝い、
宗教を聞かれれば「無宗教」と答えます。
ずっと不思議でしょうがなかったそんな日本人の宗教観に、
様々な面から分析して答えを与えてくれる一冊。
背景や状況だけでなく、
失われつつある日本古来の宗教観のうつくしさも知ることが出来ます。
うつくしいカミガミの国、日本。
こんなステキな国に生まれて、よかった。