紙の本
事件記録としての価値を増す談話取材集
2021/06/07 10:54
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投稿者:719h - この投稿者のレビュー一覧を見る
かの事件は、全容の解明からはほど遠い
状態のまま、忘れ去られようとしています。
容疑者の死刑執行を持って、
司法の場での解明に終止符が
打たれてしまった現在、
あの時何が起きたのかを断片的にでも知る為の
よすがとしてのこの作品の値打ちは、今後とも、
いや増すばかりでしょう。
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地下鉄サリン事件の被害者インタビューを著者自身が丁寧に行っている力作。何度よんでも生の声の静かな迫力に心が揺れる。
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オウム真理教が引き起こした「地下鉄サリン事件」の被害者に尋ねた当時の状況を綴った作品。
一体何が起こっていたのか。
一部を過剰に騒ぎ立てるマスコミの報道により隠れてしまった真実を知る手がかりになるのではないかと思う。
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2002年10月 図書館で借りた。地下鉄サリン事件の聞き書き。重苦しい気分になったが、一気に読んだ。
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「これが事故か何かによるものなら、私だってまだ少しは納得出来るんです。そこには原因があり、それなりの理由もあります。でもこんな何の意味もない、馬鹿げた犯罪行為のために....と思うと、ほんとうにやりきれない気持ちになります。たまらないです」と達夫さんは言う。
「つらいとか、疲れたとかいう言葉を、妹はまず口にしません」と達夫さんはハンドルを握りながら言う。「この病院へ来て一年三カ月のあいだ、毎日のようにリハビリの訓練がありました。腕と脚を動かす訓練、言語の訓練、そのほか専門医がついて各種機能訓練のための訓練をします。これははたで見ていても簡単なことではありません。並大抵ではない努力と忍耐を要することですし、きっとつらい思いもしているはずです。でも「つかれた?}と先生や看護婦さんたちに尋ねられて、妹が「疲れた」と答えたことは、これまでたった三回しかないんです。たった三回ですよ」
だからこそ志津子さんはここまで回復することができたのだと、関係者は口を揃えて言う。
いったい何のために、と思いますね。たとえばIRAにしても、手段はともかくとして、その人たちの目指していることは、その立場になって考えてみれば、少しは理解出来るところもあるんです。
-----そういう点で、日本の将来に関して石野さんは楽観的ですか、悲観的ですか?
私はどちらかといったら悲観的です。
もうひとつ、この事件で思ったのは、私はもうこれで40になりましたし、これまではただがむしゃらに生きてきたわけですが、ここらあたりでひとつ自分自身を管理しなくてはならないなということでした。自分自身の命というものを、もっと深く考えなくちゃいけないんじゃないかと。そういう「恐れ」のようなものを、ここで初めて感じたということですね。ずっとこういう仕事をしてきたのですが、きっと本当の恐れというものを、幸いにもまだ自分の身のこととして感じたことがなかったんですね。
ただ「もう既に一回は死んじゃっているんだ」と思うことはあります。そうすると何かふっきれた感じがして、「そうだ。なにごとによらず迷うこともなく、前向きにやっていこう」と考えられるんですよ。
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ああ、とにかくどんなに今が絶望的でもとにかく生きなければという状況の時に手に取った本。
案の定、生きなければ、と思えました。
だけど、この事件で死んでしまった人たちの、命の意味は。
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私は日本人の個人に対してかなり誤解していたかもしれない。被害にあった方達には決して軽んじることのできないそれぞれに特有の物語が以前からあったんだ。自分、家族、会社ひいては社会のために一個人として関わっている人たちは誰一人として顔のない普通の人はいないという事実に今更驚く自分の浅はかさに気づく。こんなにモラルを持って、自分の理想を持って、家族の人生を背負って生きている人がこんなにいるんだ。そんなことも実感せずにいるくらい自分は社会性を失いつつあるのかなと思った。皆が何かのグループの一人としてではなく、個人として認識できれば自分の接し方ももっとかわるのではないか。システムのもとで他律的パワープロセスばかりが優先されてしまい、自立的パワープロセスを破壊されたと感じてしまう人が多い今、その個人の関わり方が何かの理由で阻害されている、という作者の指摘には希望が持てた。
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テレビで見ていた凄まじい事件に立ち会った人々の話。
好奇心を満足させるというより、どうしてこんなことが?と考える本。
どうしてこんなことして、人を傷つけるんでしょう…
無差別って怖い。
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1995年3月20日の朝、東京の地下でほんとうに何が起こったのか。同年1月の阪神大震災につづいて日本中を震撼させたオウム真理教団による地下鉄サリン事件。この事件を境に日本人はどこへ行こうとしているのか、62人の関係者にインタビューを重ね、村上春樹が真相に迫るノンフィクション書き下ろし。
図:重かった。。実際の本の質量もそうだけど内容も‥。村上流に言うなら「なにげなく手に取った一冊」だったわけだけど、この厚さ(10?はあるだろうか)だし正直読みきれるとも思ってなかった。
でも実際は被害に遭われた方のインタビュー内容にぐいぐい引き込まれてあっと言う間に読みきった。やはり亡くなれてた家族の方のページではボロボロと泣いた。
いつ、自分がこのような被害にあわないともいいきれない。他人に理解できない苦しみ(後遺症や精神的ダメージ)を抱えて生きていくのも事件当日と同様に苦しいだろう‥。
何もできない。けど、忘れてはいけない。
この本を読んでいたとき、11歳の娘が『地下鉄サリン事件』や『オウム真理教』を知らなかったことに愕然とした。
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あまり村上春樹さんを読まない私ですが、図書館で手にとってそのまま連れ帰りました。 濃い内容を読み込むうちに、コーヒービート大にリンパ腺が腫れてきて、高熱が出ました。 体に細菌が入ってきたような気がして恐ろしかったです。 地下鉄サリンの被害者の肉声を一冊にまとめたような本。 こういう仕事って『龍』さんのテリトリー、というのが私のイメージで、今でも勘違いします。
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村上春樹が地下鉄サリン事件の被害者に対してインタビューを行い、それをまとめたものがこの『アンダーグラウンド』である。サリンがまかれた電車に乗っていた人、その家族、その駅で働いていた人、たまたまその外を通りかかった人、色々な人が色々な形でこの事件に遭遇し、そして人生が変わってしまった。
色々思う。信仰とは、生命とは、組織とは、支援とは、回復とは、責任とは、裁きとは、日常とは、幸福とは。
そして、62人の証言者のことを思った。
事件が起きたのは1995年。既に10年以上の時が流れている。時の流れの早さに驚くばかり。
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2009.02.22. 地下鉄サリン事件があったのは、私が小学生の頃だった。そうだったにしても、私は何も知らなさすぎる。こんな大変な事件があったこと、それによって12人もの人が亡くなったこと、今も苦しんでいる人がたくさんいること。被害者の方たちへのインタビュー。どれも生々しく、パニックとは恐ろしい。爆弾でボンッと爆発するテロと、静かに誰にもわからずに広まってしまう化学兵器テロと。こんなことが日本であったんだ。読了後、頭を抱えてしまった。悶々として眠れず、翌日電車に乗るのが非常に怖かったです。
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ひきこもりのおねえちゃんを持つ妹の・・・冒険?
暗いし救いもやさしさも無い凡作
庄司薫のさよなら快傑黒頭巾のほうが読んでて楽しいしワクサク感があると思うけどな
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これはなんというか、いろんなことを考えすぎて、書ききれない。
地下鉄ユーザーとしてのわたし、駅員としてのわたし、いろんな視点から読むことができてしまって、ほんとうに頭の中が混乱した。
もうすこし整理する時間が必要だ。
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『1Q84』がベストセラーとなっている、村上春樹の手によるオウム真理教の事件に関するノンフィクション。
かなり読み応えがあります。
基本的に裁判員制度上では、裁判員に被害が及ぶ可能性がある事件については裁かないことになっていますが、
こういった事件も裁く可能性はあるのです・・・。