紙の本
ルーマー・ゴッデンの魔法
2002/07/27 17:00
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Taran - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ハロウィーンの魔法」なんて題名と表紙の魔女帽子で、お手軽ファンタジーを連想する向きもいらっしゃるかもしれませんが、さにあらず!ゴッデン特有のスピード感のある文章と展開、登場人物たちの持つ抗えない魅力に取とりつかれて、気がつくとクライマックスでおいおい泣いています、きっと。
スコットランドの田園で、駄馬のろばをはさんでその持主で主人公の少女セリーヌと、マックじいさんという2人のへそ曲がり。そこへティムという異端者も加わって話は運ばれる。さまざまな出来事で彼らも変わる、周囲も変わる。、出会いで人はこんなに変わる、人が人を変える、それもよいほうに。そのことへの確信、信頼が、ゴッデンの話にはいつも貫かれていると思う。そしてそのことのみが、物語を読む人の心をも動かすのだと思う。
小学校4年、5年あたりから大人まで、人を信じたい人にぜひおすすめです。
ハロウィーンといえばかぼちゃ、だと思っていましたが、スコットランドではかぶでやるのだそう。ちょうちんがくりぬけるほどの大きなかぶを、見てみたいものだと思いました。このおはなしのように、心のおくまであったかーく照らしてくれそう・・・。
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ハロウィーンにおこった魔法としか思えないすてきな出来事。それは、セリーナが愛馬ハギスと一緒にマックじいさんの農場に迷いこんでしまったことからはじまりました。村で評判のがんこ者マックじいさんとセリーナとのあいだにうまれた目に見えない強いきずなの物語。心の奥まであたたかくなるお話です。
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ブログでハロウィーン本を1冊くらい…と考えたときに思い出した本。
でも、再読してみたらちょっとむむむ、なところがあってお蔵入りに★
主人公のやさしさがあまり生かされていなかったり
理不尽な目にあわされているのに“当たり前”とか“よくあること”みたいに放置されるシーンが目について
ゴッデンなのになぁ~と、ちょっとがっかり。
あ、でも、出版されたのが1997年だったかな?
ハロウィンが認知されていない時代にこれを翻訳出版したのは先見の明だと思います。
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85点。超有名作家ゴッデン(ほとんど外れなし)の良作なのに、現在品切。
イラストも素敵で、ハロウィーンの時期にも展示できるかなり使える本なのに!
しかも、内容はおじいさんと子どものハートウォーミングもの。
ゴッデンだから、人物描写も確かでお涙頂戴になっていない。
バレエシリーズほどはぐいぐい読ませないが、いい作品。
残念無念。
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10月31日。ハロウィーンですね。
日本でもここ数年、ずいぶんと盛んになってきました。
元々はケルトのお祭りで、新年(11月1日)の前夜にやってくる死者の霊を迎える行事だそうです。仮装でちょっと不気味なものが多いのは、そうした由来から来るのでしょう。
ハロウィーンでお決まりのものといえば、ジャック・オー・ランタン(Jack-o'-Lantern)。かぼちゃを少し怖い顔にくり抜いて、ろうそくなどの火を灯しますね。元々、アイルランドやスコットランドでは蕪を使っていたのだそうです。アメリカに移民として入ってきたケルト系の人たちが、同様のお祭りをしようとしたところ、蕪よりもかぼちゃの方が手に入りやすかったのでこちらが多く使われるようになりました。日本でかぼちゃのイメージが強いのも、アメリカ経由で入ってきたからでしょう。ジャック・オー・ランタンの伝承はいろいろあるようですが、要は、天国へも地獄へも行けず、「境界」の世界を彷徨い続けている魂なのだそうです。ちょっと怖いですね。
さて、前置きが長くなりましたが、ジャック・オー・ランタンが元々はかぼちゃじゃなくて蕪だったというのを私は今年初めて知りました。そんな話をしていたら、教えていただいたのがこの1冊です。
スコットランドの小さな村のハロウィーンを舞台にしたお話です。
セリーナは8歳の女の子。二人姉妹の妹です。
何でもよくできてすらりとした容姿の姉マフェットに比べ、ずんぐりして思い込みの強いセリーナは、失敗も多く、家族にも叱られたり、からかわれたりすることばかりです。
ふとした幸運からポニーを飼えることになった2人。マフェットが選んだのはお利口できれいなポニー。でもセリーナは、見かけも冴えないうえに聞き分けがないポニー、ハギスを選んでしまいます。
あるとき、ハギスはどんどん自分の行きたい方に行ってしまい、セリーナは村で嫌われ者のマックじいさんの蕪畑に踏み入ってしまいます。怖いマックじいさんが出てきてしまいました。さあ、どうなってしまうのでしょう?
セリーナは言うなれば「困ったちゃん」。みんながセリーナは訳が分からないと思っています。でもね、セリーナにはちゃんとそうする理由があるのです。うまく説明できないこともあるけれど、きちんと自分の頭で考え、正しいと思うことは曲げません。それが時には幼い理屈であっても、他の人には理解できないことであっても、一生懸命考えて行動します。場合によっては、大人達の方の眼が曇っていたのだとわかることもあるのです。
等身大のセリーナに共感を覚える子ども達も多いことでしょう。
そのほかの登場人物たちもとてもリアルです。マックじいさんは「アルプスの少女ハイジ」に出てくるアルムおんじを思いださせる偏屈さですが、じいさんが近所の人とまったく交流もしない人になってしまったのはなぜだったのか、徐々にわかっていきます。
セリーナの友だちであるティムはいつも汚い恰好をしてやせ細っています。勉強もできないのでいじめられているのですが、ティムの家庭環境は問題が多いものでした。
セリーナやティムと同じ学校に通ういじめっ子達��その手口は時に荒っぽすぎて冷や冷やしますが、この年代の子ども達は、確かにちょっと盛り上がりすぎるとこのくらいのことをしてしまいそうです。
現実的な問題も絡めた物語を楽しくしているのは、ハロウィーンの風習のあれこれ。
りんご飴のようなタフィーアップル、砂糖菓子のタブレット、ポテトパイに似たシャンパーズといった、ハロウィーンにしか食べられない食べ物があります。子ども達は、仮装し、空のバスケットを手に村の家を回って、歌か詩かなぞなぞを披露します。お返しにお菓子やナッツをもらいます。
もちろん、蕪のランタンも門に飾りますよ。
物語の中では、ハロウィーンで「よい魔女」に扮したセリーナの行動が、嫌われ者だったマックじいさんやかわいそうなティム、そして村全体に、奇跡のようなよい結果をもたらします。
セリーナはその夜、「魔法」を使えたのかもしれませんね。