投稿元:
レビューを見る
10年くらい前の本ですが、実態経済と金融経済の乖離が進むと、世の中とんでもないことになるというのを、歴史の様々な事例から解説しています。
特に印象的だったのは、江戸時代にはじまった米の先物取引の話。今で言う金融派生商品を米でやってたんですね。
始まったのが1730年というから、世界で初の金融システム。
もちろん儲かった人もいれば儲からなかった人もいるのだろうけど、自然災害のときに被害を広げるというのがこの本での教訓。
天命の飢饉当時、米の先物取引で失敗した弘前藩は、領内で餓死者がどんどん出ているにも関わらず、米を大阪に送り続けなければならなかった。
なぜなら、先物で取引で1年前に領内でとれた米の権利が市場で取引されていたため、自領内でとれた米にも関わらず自分たちではどうにもできなかったという事情がある。
今、デリバティブなどで大損しているのが、国の省庁・銀行・民間企業など全般的に広がっていますが、弘前藩のようになっているのかもしれない。
莫大な借金のために毎年、国・毎年省庁・銀行・民間企業が莫大な利子を払い続けるはめに・・・・。
利子こそ馬鹿馬鹿しいものありませんよね?
と、今後の日本経済について考えさせられる本でした。
最後に上杉鷹山の話が出てくるんですが、これがいいのでちょっと紹介。
一.国家は、先祖より子孫へ伝え候国家にて、我私すべきものには之れなく候。
二.人民は、国家に属したる人民にして、我私すべきものは之れなく候。
三.国家人民の為に立ちたる君にて、君の為に立ちたる国家人民は之れなく候。
鷹山の言葉はいつ見ても心に残るなと改めて思いました。
鷹山の考え方が、日本人の思想の底辺にあれば、政治の問題だけではなく、環境や文明について見直すことができるのではないかと思います。