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フィクション『シートン動物記』で有名なアーネスト・トンプソン・シートンだが、この『動物誌』はノンフィクションである。
シートンは物語の作家である以前に生物学者をも唸らせるほどの動物好き。その生涯の多くの時間を北米の野生のフィールドで過ごしている。
彼の経験談や体験談、そして多くの友人・知人から寄せられた情報から野生動物の生態を読み解く。
また、動物挿絵画家でもあったシートン本人による数々の絵はそれらを観るだけでも価値がある。
情報の多くは1900年前後のものであり現代とは状況も異なると思われるが、これからフィールドを訪れる者にとっては当時と比較することでこれからの指標を考える良き資料となる。
偉大なる先人の大いなる遺産を胸に、現代を生きる我々は未来を見据えていかなければならない。
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本書は第4巻。
北米に生息するグリズリー、ヒグマ、アメリカグマ、シロアメリカグマ、ホッキョクグマなどが紹介されている。
一般的に北米のクマといえばグリズリー(灰色熊・ヒグマ)、アメリカクロクマ、ホッキョクグマの3種に大別されるが、本書では更に詳しく細かく分類される。
僕は動物学者ではないから学術的な分類に興味はないが、見た目に似ていても地域によって生態が異なることについては興味津々である。
生きている間に少しでも多くのクマに出会いたい。
彼らと時間・空間を共有できることが僕にとって最大の悦びである。
『クマ=凶暴・獰猛』といった誤った先入観をお持ちの方には是非とも読んで頂きたいが、そういう方は読もうともしないのだろうか…。
近年日本でもクマ問題が取沙汰されるようになってきた。
相手を知ろうともせず論じるのは如何なものか?
「あなたは『クマ』がどういう生きものか本当に知っていますか?」