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「追いかけてきて。月光の東まで 私を追いかけて」
という言葉を残して去った 塔屋米花。そしてその言葉は自分にだけ残されたものではなかった。
隠れているわけでもないのに 探している塔屋米花は確かな形で姿を見せることはなく 探す人たちときちんと対面することもない。そして タイトルにもなっている謎のキーワード「月光の東」の謎もきちんと解き明かされることはない。それなのに これ以上の終わり方はないという風にどこか納得してしまうのである。それが何故なのか、塔屋米花の圧倒的な生き方を垣間見たことで 彼女を探す人たちの中のなにかが変わったことは おそらく間違いないだろう。塔屋米花が生きている限り 謎は謎として生き続けるのかもしれない。
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作中多くの人物が出てくるけれど、彼(女)らは米花を通じ、見えないところで確かに繋がっている。 他人の目を通して描かれる、1人の女性の話。
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塔屋米花という存在感のある女性の物語。
50歳という人生の境目にいる。
糸魚川・・日本海に面したさみしい街で、成長する。
杉井が、米花を探しにまわる。
杉井が、結婚するときに、
「月光の東に追いかけて」という電報をうけとる。
杉井の同級生、加古慎一郎は、カルカッタで、自殺をする。
そのホテルには、米花が同宿していた。
加古の妻 美須寿が、米花をさがしはじめる。
米花は、杉井の名前で、手紙を出していたのだ。
アイロンをかけてもらって、着たのであるが、
着ているうちによれよれになって、しまった。
シャツよりもボクの心は、よれよれであった。
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リアル過ぎたら逆にファンタジー。その逆も然り。ファンタジー過ぎたら逆にリアル。そんな感じ。物語全体はボヤッとモヤッとつかみどころがないフワフワした感じなんだけど、読んでいるその瞬間は、しっかりと一本の明瞭な線が見えている。米花と加古はカラチで何があったのか、また月光の東とは何のことなのか、不明瞭で、あらすじを紹介してといわれたらすごく困る。だけど、読んでいる瞬間瞬間のその世界に潜伏させる重力感は凄まじい。不思議な本だが、個人的には新しい読書の楽しみ方に繋がる光明。
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長編です。しかし、ドンドンと読み進めました。主人公を追い求めていた二人が結局、主人公の周りの人々から主人公の生い立ちや人柄を知るという形態が、面白かったです。