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森村誠一は 企業と人間というテーマを追求している。
汚職は 現在の資本主義社会では、避けられない問題だろう。
中国では おおっぴらに 賄賂が贈られているが。
汚職の中でも 人間らしく 生きている姿が みることが
できるのか?ということに 興味を持つ。
原子力というビッグサイエンスで、その力の発揮目覚しい
雨村が主人公のように見えて、
両刃の剣に悩むだけで、実践的解決がない。
そこに 作品のオクターブが下がるような気もする。
政治家 名取の描き方はよくできている。
人間のひとつの歯車としかみない 森村誠一の視点は
ずば抜けている。
女性の生き方 愛のとらえ方 ダミープライドという
発想は、とても面白いものがあるが、なにか物足りない。
よく考えてみると雨村という人間が、とてもパワーの弱い
人間ではないだろうか。
・冬子という一人の女性を愛するときが
世俗的で自らが身を引くという姿勢
濃縮ウランの技術開発したときに個人的な悩み方
つまり 技術者として信頼のできる友人がいない。
また 妻に対する姿勢。わからないだろうという考え。
偶発的事故からの発見
自殺しようとする姿勢。
科学技術にたいする成果・失敗は、あくまでも個人の努力
の範囲内で描かれている。
他人の成果、知識の継承と総和としての発展という認識が
どうも弱いような気がする。
努力の代償として 地位・名誉・経済的裕福になるということ。
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利権、癒着、男女のもつれ。ひとつひとつは現代社会によくある話でも、これらを腐蝕の連鎖としてまとめあげると、すごい作品になるんですね。かなりのめりこみました。
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夫の墜落事故に妻が不信に思い、真相を追いかけていくとい うお話しです。
人間という存在の腐り続けていく姿をストーリー展開に巧く織り混ぜ、完成度の高い作品に仕上がっています。密室、大町の正体、一連の事件の黒幕の正体、謎が盛り沢山で魅力的でした。
密室殺人は合理的に解明されていたものの、実行不可能な気がしたので不満が残りました。