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読んですごく感銘を受けた1冊です。
患者がどんな状況に陥っても「見離さない」ことを第一特性とするケア概念、その人の客観的状況と、主観的な想い・願い・価値観のズレから生じる苦しみの構造、“共に老いるべき者”、“共に病むべき者”としての援助者の姿や、その専門性について書かれてあります。
多くの福祉、看護、医療関係者に読んでほしいと思います。
・援助者として何かを「与える」のではなく、むしろ患者・クライエントの心配、気懸りを「引き受ける・担う」という発想。
・宗教というのは、人間の苦しみに独自の意味を見出してきた。そして「死」に人生の究極の完成を託し、最後の自己実現をするべく格闘してきた。
・死と直面したひとの心に必ずといっていいほどっよく見られるものは、すべてのものへの「遠のき」の現象。
・死に面したとき、人間は「二重の孤独」に見舞われる。
ひとりで別の世界に踏み込むという現実的な孤独。
今まで生きてきたこちら側の世界の人々と語り合う言葉を持たない孤独。
<ケア概念>
・ともに死に直面するものとして死に至るまで患者と歩みをともにすることで、個々それぞれの患者がその人にふさわしい生をまっとできるように配慮し援助する。
・患者がどのような状態に陥っても「見離さない」
・患者、被援助者がおかれている現実の状態を認め、援助者自身がそれを受容する。
・「意味のある生の完成」、生の意味を求める、独自の生。
・「老い・病い・死」という患者の「いま」と「ここ」を認識の基点とする。
・避けるべき、厭うべき「老い・病い・死」を受け入れ、共にそこから人間的成長の学びと発見を得ることができる援助関係。
・「上下関係」「一方向的関係」ではなくて、「並列的関係」「相互作用的関係」でなければならない。
・関係の力を使って相手の想い・願い・価値観が変わるのを支える。
・対人援助の専門職に求められるコミュニケーションスキルは、基本的なスキルとしても、共にいる・傾聴・共感・問いかけの4つがある。
・厳しい、援助実践への振り返りが対人援助専門職の専門性を問い直し、またその専門職性を支えるのではないか。
・死に際しても、つねに人間的なコミュニケーションを保つことがその人の尊厳にとっていかに重要であるか。