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紙の本
年を重ねるのがますます楽しくなる
2009/03/01 00:14
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
久しぶりに夜の連続ドラマを、それもビデオに撮って見ている。木曜夜10時からの『ありふれた奇跡』。
あのテンポ、あのセリフ、あの夕日、そしてエンヤの曲、
そのどれもが私好みなのだ。
物語は回を増すごとに、いろんな秘密が明らかにされて、
ゆるやかな感じではあるけれど、面白くなっているなぁ~と思う。
で、主人公の祖母役で八千草薫さんが登場していて、それはなんと言うのか、お嬢様が奥様になって、おばあさまになりましたって感じで、なんて可愛らしいのだろうと、つくづく感じ入るのです。
はて、これは老人力の一つのカタチ、なのではないのかな?ふと思いつきました。
はい、赤瀬川原平さんが言われるところの老人力、です。
老人力とは、物忘れ、繰り言、ため息等従来、ぼけ、ヨイヨイ、耄碌として忌避されてきた現象に潜むとされる未知の力。そうです、この未知の力には年を重ねれば重ねるほど可愛くなるという項目も入っているのではと思いついたのです。どうかな?どうかな?
この赤い一冊は、読めばたちどころに老人力、その正体が分かるというもの。実に愉快で、何度も笑ってしまう内容が満載、でした。
原平さんはあるとき、財布を忘れてしまった。
そのとき、彼は、お、来たなという感慨があったそうなんです。これはすごいことだ、としみじみ思う。
自分を客観的に見る目、老人力の存在そのものを知っているという強味。
一度ならず二度忘れてしまったときも、
「しかし自分が何だか堂々とした大人物になってきたようで満足している。」とあり、さすが原平さんだ、これはますます尊敬できるぞと嬉しくなった。
老人力には、発祥の会なるものがあって、それは原平さんを中心に活動している路上観察学会。「路上をぶらぶら歩いて、ぶらぶら物件を見つけて、ぶらぶら写真を撮るという、そういうぶらぶら感覚の中から老人力は発祥した。」とある。ぶらぶら感覚、なんともいい感じである。
原平さんはこうも言う。
「人間というのは、燃え上がってこそなにかができるし、なしとげることもできる。路上観察だって、燃え上がってからが、もう面白いんですよ。
で、思いもかけないことができたりもする。
冗談が全部現実になっていくって、あのころはみんなで驚いていた。
路上観察でもあれだけ面白いんだから、もっと大きい目標、たとえばロシア革命なんてやった連中は、さぞ面白かっただろうと思う。」
さすがスケールが大きいというか、なんというか、
冗談が全部現実になっていくなんて、夢のようだが、原平さんが言うのだから本当に決まっている。
老人力の存在に気付いたおかげで、年を重ねるのがますます楽しくなるというものだ。これに気付くと気付かないでは、人生の後半、気持ちの持ちように大きく差があらわれるのは火を見るより明らかだ。
老人力、まさにありふれた奇跡、です。
紙の本
ラブリーおじいちゃん!!
2003/09/14 15:57
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投稿者:ゆう - この投稿者のレビュー一覧を見る
飄々とした文章。ところどころで「くすっ」っと笑ってしまう。
野球のチケットをなくすところは、可愛そうだけど、面白かった!
写真の撮影場所の地名が出てこなかったり、人の名前が出てこなかったり、でもそれなりに、会話は成り立っていくし、意思も通じ合っているから、大丈夫(??)
でもお財布を無くすのは、気をつけてね、おじいちゃん!。
路上観察で撮った写真も、いい感じでした。
完璧な人なんていないし、優秀な機械はツマラナイ、心を柔軟に、そして前向きに、明るく生きていこうよって言うメッセージが伝わってきました。
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