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わたし好みの一人称単視点ノワール。犯罪者としてしか生きられない主人公、その独白が非常に生々しく、同情は出来ないのに引き込まれてしまう。
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犯罪者バンカーが服役中に執筆し、出版後は高い評価を得たという曰くつきのクライムノベル。
自らの過去を基にしていることもあり、仮釈放から再び犯罪に手を染めるまでをリアリティ溢れる展開で読ませるが、やや気負い過ぎてテンポが失われているのが残念だ。だが終盤に至り、追い詰められていく男の焦燥は重苦しいまでの緊張感に満ち、仲間への不信が躊躇なく殺人へと繋がることの狂気性も見事に表現している。
ただ、バンカー自身の心境を反映したが如きラストは甘いと感じた。ノワールとは、極論を述べれば破滅の文学であり、本作はその一歩手前で逃避する。底辺で生きざるを得ない人間らを描くことで社会批判を加えながらも、最後には単なる己の悪運の強さを肯定し中和することに、真の「救い」があるはずなどないからだ。
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ムショ帰りで更生しようとしているのに世間が許さなくて、また犯罪に手を染めてしまうくだりが切ない。自身刑務所に入っていたというエドワード・バンカー描くだけにリアルです。
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十二歳にしてマリファナ、十六歳にしてヘロイン。泥棒、詐欺、武装強盗、ポン引き…悪の限りを尽くし、少年時代から拘置所と貧民窟を行き来していたマックス。
明日、八年の刑務所暮らしから晴れて仮釈放される。
が、彼の心を支配していたのは、不安と憂鬱だった。
いまさら堅気になろうとは思わなかったが、悪事には二度と手を染めたくなかった。
が、食うためには金が要る。闇の仕事ならいくらでもある。まともな職が欲しかった。
屈辱に耐え、悪の誘惑も断ち、這い上がろうとする前科者に、娑婆は容赦なかった…。
圧倒的なリアル。「レザボア・ドッグス」のエドワード・バンカー入魂のロマン・ノワール幻の傑作。
裏社会を生きるアウトローのリアルな生態(刑務所の中で自分を守る方法、身分証などの入手方法、強盗の準備や下見の方法など)、前科者の更生の困難さ、規則一辺倒の保護観察官のために無実の罪を着せられ再び犯罪の世界に戻っていくマックスの苦悩や犯罪者を再生産する社会の矛盾に対する怒りが緻密な描写で描かれ、壮絶な傑作ロマンノワールに仕上がっています。