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かなり早い段階で、真相は読めた。にも関わらず、また少し読み進むと疑念が。「あれ、絶対こうだと思ったんだけど……やっぱり違う?」
結局のところ、最初に予想した真相的中。よくあるネタだと言えばそれで終わり。だけどこの、私が「疑念」を感じたところ、この要素は上手かった。それが何かって……ネタバレになるから書けないんだけど。「普通なら周りの人間に認識されるはずのないことが、認識されていた」ってところ。
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サイコ・サスペンスの先駆的作品。
構成、トリックは充分練り込まれており、主な舞台となる新聞社の様子は作者自身の経験が生かされてリアリテイに富む。
ただ、本作の肝となる真相は、早い段階で分かってしまう。しかも、文庫本の解説者が、クイーンの盤面の敵との類似性を述べており、先に解説を読めば、仕掛けられた技巧に察しがついてしまうのだ。
だが、語り手に応じて変幻する凝った文体や、次第に明らかとなる殺人者の悲劇的な過去、さらに終章の一文字がもたらす余韻など、読みどころは尽きない。
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内気なランバートと、全てにおいて彼と真逆な親友チャールズの殺人劇。
一気に全てが明らかになる終盤、また最初から頁を読み返してしまう事請け合いである。
今読み返すと手垢のついた叙述トリックなんだが、これをサイコサスペンスがブームになる遥か昔、30年以上前に書いたってのが凄い。
ランバートの為だけにただひたすら殺人を犯していくチャールズが物悲しい。
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内気で引っ込み思案のランバートと積極的で自信家のチャールズ。最初は会社の同僚にすぎなかったが、だんだんと親しくなった二人は一緒に住みはじめる。自分と正反対のチャールズにランバートはすっかり魅了されるが、チャールズは徐々にその粗暴な本性を露にしはじめ、やがてランバートを愚弄した女たちをつぎつぎと殺していく――
「衝撃の結末」というのもこの作品が発表された当時ならば充分通用したかもしれない。でも悲しいかな、今このテのものを読みなれている人には半分ほどで充分予想がつくだろう。それでも後半、ジャーナリストのモーリーがチャールズの正体に気づき、ヘンリエッタに身の危険が迫る場面ではそれなりにハラハラした。時代設定が1930年代なんだけど、ニーリィがなぜこの時代にしたのかよくわからない。
衝撃度では「心ひき裂かれて」の方が上かな。とにかくとことんいじけた性格ランバートの一人称なので、それで読み進めるのがキツかった。