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約四十数年前に河合隼雄先生が行ったカウンセリング入門講座の参加者とのやりとりをテープ起こしした的なもの。
抽象的な説明が多いけど、時々深い部分に刺さる内容だなあと感じた。
当時先生は四十歳前後。すごい…。
・自分一人だけで考えているのと、生きた人間が真剣に相手になって聴いてくれて、真剣に質問されながら一緒にやるのとでは天と地ほどの差がある。
・相手にとっていちばん役に立つことをカウンセラーが本気で思っているかどうか。説教でも殴っても、要はそれがどれほど役に立ったかということ。
・自分の気持ちに敏感、忠実でないと駄目
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▼福岡県立大学附属図書館の所蔵はこちらです
https://library.fukuoka-pu.ac.jp/opac/volume/98330
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心理学者の河合隼雄による文字通りカウンセリングの入門書。
20年前の書籍ということで、今見ると若干記述が古いものの、参考にはなった。
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話の聞き方についてちょっと勉強してみようかと思い購入。
昭和40年ごろに行われたカウンセリング講座をそのまま文字起こししたようだ。
言葉遣いや価値観が今と異なっていて、読むのが辛いこともあるが、おおむね頷きながら読める内容だった。
相手の話をとことんまで聞く。
相手の気持ちについていく。
クライアントが思うままに話をすることで気持ちに整理をつけ、解決策を自分で見出す、
ということがカウンセリングの極意のようだ。
「どんなに辛くても立ち上がる人の強さを信じているから、これまでカウンセリングを続けられている」というお話には胸を打たれた。
不登校の学生が学校へ復帰することが長い目で見た時にプラスになるのか分からない、というようなことを言っていたのは50年前の発言にも関わらず実に現代的だった。
こういう時代を越えた目を持っているのが河合隼雄さんが支持されている所以なんだろうな。
しかし話の流れで「精神疾患の遺伝がある人とは結婚しない方がよい」という言葉が当然の認識として出てきたのはショッキングだった。
精神疾患は遺伝なのか?結婚しても子供を生まなければよいだけでは?とかなり納得がいかず読むのを中断してしまった。
しかし50年前の話だからな…と思い直した。
世間の倫理観は50年でここまでアップグレードされることは希望でもある。
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「(なぜ人は人を慰めるのか?)決着がついてこっちが悩まなくていいからです。親切な人が悲しい人を慰めているように見えるんですけど、よく考えると、本当は自分も悩むのが辛いから逃げ出したのと同じことですね。」
「もっと正面からこうだと(相手の)欠点を見る態度、それがカウンセリングだと思います。」
「人間なんて、だれだってたくさん欠点がある。けれども、欠点がいくらあったって、それは人間の尊厳ということには関係がないんです。(中略)人間的意味があるかないかということには関係がないのです。」
「本当に欲しくないときは「欲しくない」で終わります。ところが欲しくてかなわないときには、「そんな物くれなくてもいい」とか、「欲しくない」とかわざわざ大きな声で言わないといけない。」
「話をする方は非常に微妙な気持ちです。それほどのつらい話をいままでだれも聞いてくれたことがなかったので、この先生が聴いてくれるという嬉しさと、だれにも言ったことのないことを言わねばならないという辛さと、この二つがあるんです。」
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まさに入門としてオススメの本だけど、実際にカウンセリングをするとなると、ここに書かれていること以上に投影の問題など知っておかなければいけないことはたくさんあると思う。
読んでいて、カウンセリングにおいて何が大切かを色々と考えることができたので得たものは大きかった。
読みながら感じたことのメモ
○ カウンセリングは、問題と感じている外の世界を必死に整えるためにやるというより、その人の内なる想いや願いを一緒に見つめる作業なのだと思った。クライエント自身が自分の純粋なものを内側に発見できたとき、少しずつ自立のプロセスを歩みながら、自分の力でどうにかしたいと心から思えるのだと思う。逆に、表面的に物事を解決することばかりに執着して、問題を恐れるばかりだと何も見えてこないのだと思った。
○ カウンセリングで目指すのは問題を無くすことというより、問題と向き合う心を育むことなのだと思う。不安な感情をなくしたり、感じなくすることが大切なのではなく、そこから何かの気づきを得て前に進めるようにすることが大切。
○ カウンセリングは、相手の言葉をちゃんと聴き、相手が自分自身の真実と向き合うことで自然と立ち上がってくる生きる強さを見ることのできる、カウンセラーにとっても素晴らしい体験でもある。カウンセラーが自分の方が力を持って導かなければいけないと思ってしまうと、相手のそうした強さを引き出せなかったり、あるいは依存的な関係をつくることにも繋がっていくのだと思った。何より「聴く」ことが大切であり、受容的な態度で聴くことがもたらすもの、安心安全な繋がりに人は癒されるのではないかと思った。
○ カウンセリングは、カウンセラーがどのように自分の人生と向き合っているかが滲み出るものだと思った。無論、悩みがあったとしても社会に上手く足並みを揃えることができていることが大切だと考えている人と、悩んでモヤモヤしてて、周りから見るとただ停滞しているだけに見えたとしても、自分の人生と真正面から向き合うことこそ大切だと感じている人とでは、クライエントに与える影響が大きく変わるのだと思った。
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カウンセリングは、とにかく、聴くこと、という原則を、具体例で肉付けしてます。言葉に表し難い感覚的なことを、高い表現力で述べられています。実用的であり、かつ、読み物として面白いです。
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"一生懸命に忠告したり、一生懸命に教えたり、それからよい方法を考えてやったりしても、結局それを守る人というのは非常に少ないということがわかったのです。"
"僕が忠告して治るような人であれば、おそらく僕に相談しなくても治っていただろう"
"カウンセラーとしていちばん大事なこと、それは忠告するのでもなければ、叱るのでもなければ、説教でもない。「聴く」ということです。"
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実際の講義ということだが、これを実際の場でこのような形で進められるのがそもそもすごいなと思った。狭く深くではないものの浅く広くカウンセリングというものを学ぶことができる一冊。知ったかぶりにならないように他の本、専門書、自分のとの向き合いはする必要はある。
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この本を読むと、カウンセラーという職がいかに難しく、いかに出口がなく、いかに報われないか……本当に、河合さんの言うように「物好きでないと」続かない仕事だとつくづく思わされる。どこまでいっても陰の存在であり、治る時には自然とクライアントは来なくなる。来なくなったときが治った時。この世の中で最も難しい職業のうちの一つだと思わされる。そして、「聴く」ということの重要さを思い知らされる。人はこんなにも聴いてもらうことで救われるのか。あるいはそうかもしれない。すごい、、
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初めて読んだときの感想は「よくわからん」。
何を言ってるのかはわかる。だけど、何が言いたいのかわからない。本を読み終わって、一体私はこの本から何を学んだんだろうとモヤモヤ。
わからないまま、同筆者の本を読んでいくと、ぼんやりと筆者の言うカウンセリングが見えてくるような…見えてこないような…?
入門と謳われてはいるものの、私には難しい本。また何年後かに読もう。