紙の本
仮面の下が吹雪いてる
2000/10/31 18:15
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投稿者:竹井庭水 - この投稿者のレビュー一覧を見る
吹雪の山荘に劇中劇、それに加えて男と女に渦巻く動機という、なんとも贅沢な作品がこれ。この人の書く男と女はどこか特殊な感情を持ちあわせていて、それが合うか合わないかで評価が分かれそうのなのだけど、まぁ今回は大人しい方でしょうか。
やり手の演出家が合宿に選んだのは町外れのペンション。集められたのは役者から芝居の経験がないものまでバラバラの男女7人。本格推理劇をやるという演出家は、その日の稽古の分しか台本を渡さない。登場人物の役の心情を追え、ということらしい。出世欲渦巻く中、台本に殺人事件が登場した翌日、被害者役の女性が首を吊った。
これが演出家の妻の視点から書かれてます。この演出家夫婦の関係もまた歪んでいて、読者は妻と感情を共有することになるわけ。毒気を見せたり、甘えたり、猫のような文章が刻まれていきます。この演出家のキャラが全体の核になっているんだけど、これがしっかりその役目を果たせる出来栄え。熱くて冷えてる。一見の価値あり。
ミステリ的にも劇中劇・現実共に仕掛けが用意されてるし、読み終わってみればなかなか企みに満ちた作品。それでいてサクッと読めてしまう分量がナイス。設定だけ見ると東野圭吾『ある閉ざされた雪の山荘で』を連想するかもしれないけど、まったく毛色が違うので安心して世界に浸るべし。身がよじれる動機と理由。残されたのは雪原の中の赤い結晶。
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閉じ込めらた小屋の中で、演劇のシナリオに沿った殺人が行われていく話。近藤さんの殺人は恋愛の中にだからこその気だるさがあるように思います。
デビュー作凍える島、にもすこし印象が被る。
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雪に閉ざされた別荘と、そこでおこる殺人事件。
…なのだが結構あっさり終わってしまった。途中で入るお芝居の脚本が、実際演じられてると面白かったかも。
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名演出家が、無名の俳優たちをあつめて、密室ミステリ劇を上演するという。
その合宿のためにペンションを貸し切った。
ヒロインが弱いというか、演出家が恰好良すぎる。
もう少し恰好よくなりそうだけど、そうするとリアリティなくなるんだろうか、残念。
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クローズドサークル&作中作の二重殺人。てなことで非常に好みだったものの、読んだのがかなり前でほとんど覚えていなかったので再読。
実際の事件も作中作の事件も、どろっどろの愛憎劇が炸裂。「他の人に渡すくらいなら……」てのにはどう考えても「愛=狂気」の図式を思い浮かべざるを得ない、なるほど納得の近藤さんテイスト(なんじゃそら)。でも後味は全然悪くないんだよね。ほろりとした哀切さが残る感じで。救いもあるかな。かーなりお薦めしたい作品。
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2002年3月1日読了。以下、過去の日記から抜粋。
今度は演劇が舞台のミステリ。
(昨年末に戯曲の講義を受けていたので、多少の縁を感じる。)
現実世界と戯曲のリンクが目玉となる今作品の中には、
ちょうど戯曲のようなものが入っているのであるが・・・惜しい。
どうせならば、ちゃんとした戯曲形式にすればいいのに。
小説の延長のように書かれているから、いまいち物足りない。
そして、女性が女性であることで傷付くシーンはやはりつらい。
こればかりは誰の作品であろうと、生理的に苦手なのだから仕方ない。
私的には昨日読んだ作品のほうが好きだな。
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雪に閉ざされた山小屋に合宿のため集まった舞台役者と脚本家。芝居の中では、無人の孤島で行われるオフ会を舞台にした殺人劇が進み、そして山小屋の中でも殺人が………
クローズドサークルの中で演じられるクローズドサークルでの殺人。2つのストーリーが重なり、更なる不思議な物語に……というアイデアに感心。文章も読みやすくて、スラスラ読める。…けれど、動機や盛り上げ方がちょっと弱かった感じを受けました。
「タルトタタンの夢」やモップシリーズは面白かったので、もう少し近藤さんの小説を読んでみるつもり。
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芝居の稽古のために山奥の山荘に合宿に来た麻子。
夫である演出家の匠によって集められた
無名の劇団員たちは当日まで脚本を伏せられていた。
無人島のオフ会で殺人事件が起こるという脚本と同様
劇団員たちも何者かに殺されていく。
芝居の犯人は、そして現実の犯人は誰か。
装丁:守先正+長靖
うーんいまいち。芝居と平行して起こる孤島殺人という
ありがちな設定の上にキャラが全体的に薄い。
特に女性陣が配役とも混同して誰が誰やらさっぱりです。
芝脚本をそのまま載せているのは面白いかも。
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1998年発行だから、割と初期のものではないかと思う。短い長編。図書館の本棚を見ると、この人は薄い本が多いようだ。演劇と恋愛が混ざったような殺人事件。本当にこんなやって殺せるのか?リアリティに欠ける。契約夫婦はちょっとうらやましい。
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どうしてこの人が死んでしまうの?という悲しみと、わたしには全然予想できなかった脚本&現実のラストに星4つ。結構自分には、彼の死は衝撃でした。。。
惹きこまれる文章だったのと、ミステリにしては薄いのですぐ読める。
ただ、いつまでたっても登場人物の本名と俳優名が一致せず、「この人誰だっけな?」と本文をちらちら読み直すこと数回。現実での人々の描写がもっとあったほうが、もっと感情移入できるのにな、と思った。
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すごく綺麗にまとまったお話だと感じました、ただなんという酷い話だっていう。タイトルも詠み終えて見るとまさになタイトルだなぁと思います、古い感じですが98年というともはやセンセーショナル!最近近藤先生を知り、急にぐっと昔のを読みましたが変わらない雰囲気を感じられたので悪くなかったです。