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加藤周一氏の質問に丸山真男氏が答えるという形式の本。1998年にこんな面白い本が出版されていたのか。学生時代に出会いたかった。
対談本の面白さは、対談を通して新たな知見が誕生する瞬間を追体験できるということにあると思う。
あの加藤周一氏でさえ明確な形になっていなかったものが、丸山真男氏を介することで1つの知見として形作られていく。
そのダイナミックな過程そのものが読むものを興奮させる。
もちろん内容がすべて理解できたわけではありません。
だいたい「『道理』と『物理』の区別」とかさらりと言われて、
どれだけの人が「ははん、なるほど」って言えます?
そうした難しさは当然あるのだけれど、それを超えるダイナミクスが面白い。
明治期の、ひいては現代社会の知の枠組みがどのように形成されていったか。
そんなことに興味がある人にはぜひおすすめしたい一冊だった。
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いい意味で期待を裏切られた感じ。宣長の玉勝間や太宰春台など、おもろいこぼれ話が豊富。丸山は流石だなと思わせてくれました。
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日本の近代化において、同時的にみれば翻訳主義による西洋思想の受容は大きな役割を果たしたと言えるだろうが、通時的にみればそれを可能にした江戸時代の翻訳文化まで遡る必要がある。日本思想史的には江戸期と明治期の連続性については福澤を典型とする「一身二生」で語られる事が多く、本書もそれに則る形で議論は展開されている。
ただし、本書は対談本というか問答集の形態をとっているので、議論が発散しており少々まとまりに欠ける印象がある。2人の生き生きとした会話を楽しむならいいのだが、思想史として勉強するならもう少し整理された内容の本を読んだ方がいいように思う。
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明治維新期の日本がいかに西洋の思想と対峙したかを翻訳の視点からひもといている。近代化を成し得たかつての日本にあって、今の日本にないものは何なのだろう。考えさせられる。
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1998年刊、岩波新書。再読。日本近代思想体系「翻訳の思想」編集にあたって両者が交わした問答、主に加藤が聞き役、その記録。会話なので読みやすい。
1翻訳文化の到来、2何を、どう、訳したか 3「万国公法」をめぐって 4社会・文化に与えた影響 の4章からなる。
幕末明治に政府が力を入れて、反政府系のものまで含めて懐深く政策的に大々的に翻訳出版を行っていることに感心する。