紙の本
現代社会を映した童話
2001/12/12 00:43
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mikako - この投稿者のレビュー一覧を見る
ゴミの山と化し、D−ブリッジと呼ばれるようになった横浜ベイブリッジ。幼くしてゴミと一緒にここに捨てられ、ここで数年生き、そして死んでいった少年が死の前に残したカセットテープ。容量60分のこのテープが小綺麗な会議室で再生されます。
腐った肉塊、どす黒い血の色、蠢く虫など、想像したくないような少年の現実が次々と目の前に出されて辛いです。なのにこの小説はとても無垢で美しいと感じさせます。この世で一番汚い世界で、涙が出るほど悲しい話で、それでもなお読み終わった後イメージするのは、降るような星空の下のキラキラした小さな小さな世界でした。
会議室の様子とテープの少年の言葉が箇条書きのような文章で綴られています。会議室の冷たさは強調され、次々と重ねられる少年の言葉の悲痛さが迫ってきます。読むのにはさほど時間がかかりませんが、その内容はずんと心にのしかかります。
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グロテスクな描写に顔をしかめたくなる。
ゴミ集積所に棄てられた少年の痛ましいサバイバルと、悲痛な訴え。
人によっては胸に来るものがあるんじゃないだろうか。
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沙藤一樹さん特有のグロさが生まれた作品。グロいのが苦手な人はキツいかもしれません。が、ボリュームが少ない分、ササっと読めます。
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結構設定とかえぐい。
ゴミの島に捨てられたひとりの少年の話。
おもしろいというと違うんだけど、一気に読んでしまう勢いがありました。
でも、あんま後味はよくない。
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台詞が多かったので、スラッと読めました。
所々、表現が怖い所もあったけど、人は生きる為ならここまでするのかと実感する1冊だと思います。
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沙藤一樹先生が4月の文学フリマで
久々に新刊を出されると聞いて、テンションが上がった状態で再読。
軽く読めるのに何度読んでも読み終わった後に
この世界から抜けにくい。
グロ耐性があるのと、それに到るのに理由(もしくは必要性)があるので
描写から受ける嫌悪感ない。
ただただ、精神的にキツイ。
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ゴミ捨て場と化したD-ブリッジで一人の少年の遺体が見つかった。
彼が最初で最後に残したテープ、その内容とは…。
生きるということを、そして無慈悲な世界が、短く淡々とした言葉でつづられています。
久しぶりに読み返して、胸にぐっと来ました…。
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全ての予想を覆してくれたお勧めの短編文庫でした・・・
文体が全て会話形式でページ数も少ない・・・
それなのに読み進めると、どんな状況なのか鮮明にイメージされる
それでいて、この一冊中に色んな喜怒哀楽の全ての感情が書き込まれている
グロ態勢が無い方は厳しい…特にそれを会話形式で表現しちゃっているものだから尚更で妙にリアルに…その情景が浮かぶようだった…
たぶん 個人的に今まで読んだグロ系の中でもこれが一番きつかった…
でも、グロい文はそんなに長く無いけれども…
そして激動のラスト…
全てにおいて・・・ 感動した!!!
人間の感情、本質は環境に依存するなんて言われているけれども
それだけじゃないっていう思いを感じ取ってしまった一冊だった
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たしか、第二回角川ホラー文庫の短編章を受賞した作品。
特に怪物が出てくるわけでもサイコな人物が出てくるわけでもない。
内容からも果たしてこれをホラーと読んでいいか微妙なところがある。
しかし、主人公の少年が生き延びるために、獣へと変わっていく様子は確かに純粋な恐怖だった。
我々は「人間らしい営み」を営むために社会を生きている。
もしも、そんな枠組みが突然はずれ、誰もがリアリティ溢れる「死」に対面することになったのなら、
おそらく私たちも獣へと変わっていくのだろう。誰にでもありえることだからより一層内面的に恐怖を味わえる。
ただし、主人公は常に「人間性」を失ったわけではない。
同じ境遇に立たされた盲目の少女が彼に「人間らしさ」を与えている。
彼女が最終的には悲しいラストへと誘うのだが。
やや、純正ホラーとしては物足りないのでマイナス1。
リアリティを追求したわりにところどころ現実離れしているのでさらにマイナス1で☆3つとします。
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内容は
ベイブリッジのゴミの山の中に捨てられた少年が
死ぬ時に自分の声を吹き込んだテープの内容。
食べ物がなく、ありとあらゆる生き物を食べる様
たとえば、蛾などを潰して中から出る茶色の汁を
利用して丸めて作る「虫団子」をはじめ、
数年後に死ぬまでの壮絶エピソード。
そのテープの合間合間の、会議室の大人の関心のなさ。
そして、最後の語り口がズシンとくる。
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第4回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。正直、特に面白いと思ったわけではない。すごい作品だと思った。テープの語りの必死さと会議室の無関心さが、絶妙だった。どういう人生を歩めば23歳でこんな作品が書けるのか、とも思った。才能を感じる。
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文章はつたなく、リアリティに欠け、句点で改行される文体は読みにくく、どうしてこれが賞を争うような作品に選ばれたのか不思議でならない。
幼少期にゴミ捨て場に捨てられ教育を受けていない子供なのに、語彙力がしっかりあり、社会を皮肉るような感情や思考力を持っているのが、ストーリーに入り込めなかった一因だ。
1時間もかからず読み終わった。
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23歳の若さで角川ホラー短編大賞受賞、とか、新黙示録とか、
さらには解説の高橋克彦氏の「読んで涙があふれた」という煽りに、
期待値が高すぎ、自分のキモチが追いつけなかったというよくある話。
ごみの島のような場所に打ち捨てられていたテープ、
そこにこめられていた少年の独白、
聞かされている大人たちのやる気のない態度。
描かれている内容はどうにも想定の範囲内で、
しかも文章は山田悠介チック。
で?いつ衝撃が???
って思っているうちに終わりました。
あたしにとってはこの作品、ケータイ小説以上のものではなかったけど。
なにか、見落としたのかな?
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何も響かなかった。
もしかしたら自分は何かが足りないのか、と不安だが、深くて良い話、とか文学史に残るであろう名作(笑)とかだとは思えなかった。
作者が本気でこれを書いたとしたら、失礼に当たるので申し訳ないが、なんというか、軽さのようなものを感じてしまった。
文章とか主人公のしゃべり方は嫌いではない。読みやすくはあった。
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図書館から借りました
ホラー。現代。スプラッタ、ぐろい系。
舞台は現代日本。(または近未来)
ゴミに溢れた、横浜ベイブリッジ。そこで死んだ少年のもっていた一本のテープに吹き込まれた、告白。
ゴミのように捨てられた少年。足を怪我し、腐りだし、それを自力で切断する話。
虫団子。飢えから、寄ってきた猫を殺して食う凄惨な描写。
エリハという、同じく捨てられた盲目の優しい少女との生活。
陰惨な生活が淡々と告白されていく。
気持ち悪い。ざらざらとした物語。
ホラー小説大賞受賞作だという。
その陰惨さよりも、そのテープを聴きながら居眠りする偉い人、エリハを捨てたらしい男の嘲り、等々が「醜いのは実は非現実なゴミの山にではなく、ビルの一室のここにこそあるのだ」ということが誇張されている。
なんとも。
一度読めばもうおなかいっぱいです。。